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2024.04.02 15:57:44

がん治療薬オプジーボ、効く患者と効かない患者見分ける手法開発…「効果予測へ向けた重要な一歩」

 2018年にノーベル生理学・医学賞を受賞した本庶(ほんじょ)(たすく)・京都大特別教授や近畿大などのチームは、肺がんの大半を占める「非小細胞肺がん」に対し、本庶氏が開発に貢献したがん免疫治療薬「オプジーボ」が効く患者と効かない患者を見分ける手法を開発したと発表した。採血した血中たんぱく質から簡便に判定でき、早期の実用化を目指す。論文が2日、国際医学誌に掲載された。

 オプジーボは、がんを攻撃する免疫細胞の一種「T細胞」を活性化する一方、効果の出ない患者が一定数いるのが課題となっている。年間約12万6000人が発症する肺がんでは約2割の患者しか効かないという。

 チームの林秀敏・近畿大主任教授らは、薬が効くかどうかの鍵となる血中の「PD―L1」や「CTLA―4」などのたんぱく質に着目。非小細胞肺がんの患者50人の血液を、医療機器大手シスメックス(神戸市)が開発した検査機器で分析した結果、この2種類の濃度が低い人ほど、オプジーボの治療効果が高い傾向を示すことがわかった。

 従来、患者の肺から採取した組織のたんぱく質濃度を調べていたが、採血で検査できれば、体への負担が軽く、予測精度の向上も期待できるという。本庶氏は「がん免疫治療の効果予測へ向けた重要な一歩」とコメントしている。

 河上裕・国際医療福祉大教授(免疫学)の話「血液検査は便利で、実用化に向けて症例を積み重ね、予測精度を確認することが期待される」

2024.04.01 17:47:05

ウォーキングで脳梗塞や心筋梗塞リスク減…埼玉・毛呂山町が町民調査、糖尿病や中性脂肪数値も改善

 埼玉県毛呂山町に本部がある埼玉医科大は3月27日、町とともに2023年度に実施したウォーキング事業に関する結果報告会を開き、半年間参加した町民の脳
梗塞(こうそく)
や心筋梗塞のリスクが軽減したと明らかにした。町は新年度もこの事業を継続するとしている。

 事業には、町民56人(平均年齢69・5歳)が参加した。昨年6~11月の半年間、毎日8000歩以上を目標に散歩に取り組んだほか、椅子から立ち上がる筋力トレーニング(スクワット、各日計30回)を週3回行った。

 このうちの54人について、同大が実施前後に血液検査や体力測定を行った結果、平均体重が57・6キロ・グラムから57・0キロ・グラムに減少したほか、糖尿病の重症度を示す数値や中性脂肪の数値は下がり、善玉コレステロール値は上がり、それぞれ改善がみられた。瞬発力や持久力も向上していた。

 心筋梗塞や脳梗塞の発症リスクでは、事業開始前は「中リスク」と指摘された人が8人いたが、半年後には3人に減少し、その全員についても数値が改善していた。「低リスク」とされた町民でも数値の改善がみられたといい、同大は「ウォーキングでリスク軽減が図れることが示唆された」としている。

 一方、両下肢の筋肉量はやや減少していた。歩くうちに筋肉中のたんぱく質がエネルギー源として使われたことが原因とみられ、同大は散歩前におにぎりやバナナを食べて栄養補給をすることを勧めている。

 事業は町民の健康寿命を延ばそうと、町が同大と連携して実施した。責任者を務めた同大国際医療センターの高橋秀寿教授は「今回のような検査をウォーキングの効果判定に用いた研究は珍しく、貴重な研究成果が得られた」とコメント。同大は成果を日本リハビリテーション医学会にも報告する。事業に参加した同町のパート従業員(64)は報告会後、「ウォーキングを習慣化することができて良かった。今後も続けたい」と話していた。町は今年度も別の町民60人を対象に、この事業を継続するとしている。

2024.04.01 13:06:45

「医師の働き方改革」スタート、医療機関の6%が診療体制を縮小へ…厚労省「悪影響の可能性」

 勤務医の残業時間を規制する「医師の働き方改革」が1日、スタートした。これに先立ち、厚生労働省は、全国の医療機関の6・2%にあたる457施設が、診療体制の縮小を見込んでいるとする調査結果をまとめた。うち132施設は、自院の体制縮小が地域の医療提供体制に影響すると答えた。

 調査は昨年10月から、大学病院を除く病院や、 分娩ぶんべん を取り扱う産科の有床診療所を対象に実施し、先月13日までに7326施設から回答があった。体制縮小を見込む457施設のうち49施設では、大学病院などから派遣されている医師の引き揚げを要因として挙げた。

 調査結果が示された厚労省の検討会では、委員から「診療体制の縮小によって、いろいろな悪影響が起きる可能性がある。地域医療に与える影響について引き続き調査してほしい」との意見が出された。

 医師の働き方改革は2019年4月に施行された働き方改革関連法に基づくもので、勤務医の残業時間は原則として年960時間が上限となる。ただし、地域医療を担う病院の勤務医らは、例外的に年1860時間が上限となっている。

2024.03.29 15:23:39

子育て支援金、28年度に1人あたり月平均450円負担…野党「負担増をごまかすまやかしだ」

 こども家庭庁は29日午前、少子化対策の財源に充てる「子ども・子育て支援金制度」について、保険者別の負担額の試算を公表した。2028年度の医療保険加入者1人あたりの月平均は450円となる。

 支援金制度は企業や個人が支払う公的医療保険に上乗せして徴収する仕組みだ。徴収を始める26年度は250円、27年度は350円と段階的に引き上げ、28年度に約1兆円を確保する。

 政府はこれまで、28年度の加入者1人あたりの負担額は「月500円弱」と説明してきたが、今回は大企業の健康保険組合や、自営業者などの国民健康保険など、保険の種類ごとに詳細な試算を示した。

 負担額は公務員などの「共済組合」が最も高く、28年度では被保険者本人が月950円、扶養家族などを含めた加入者全体の平均で月600円となった。大企業の会社員などの「健康保険組合」は被保険者が月850円、加入者平均で月500円。一方、中小企業対象の「全国健康保険協会(協会けんぽ)」は被保険者が月700円、加入者平均では450円と、会社員らが加入する同じ被用者保険でも金額に開きが出た。

 自営業者らの「国民健康保険」は1世帯あたり月600円、75歳以上の後期高齢者医療制度は1人あたり月350円となっている。

 国保と後期高齢者医療制度を対象に、低所得者向けの負担軽減措置を講じる。

 制度創設を盛り込んだ子ども・子育て支援法などの改正案は4月2日の衆院本会議で審議入りする。岸田首相は支援金について、社会保障改革による保険料の抑制や賃上げによる被保険者の所得増により、「全体として実質的な追加負担は生じない」と説明しているが、野党は「負担増をごまかすまやかしだ」と批判しており、負担についての説明が論戦の焦点となりそうだ。

2024.03.29 11:47:43

「孤独感がある」4割、コロナ禍去っても2年前からほとんど変わらず…専門家「恒久的な問題になりつつある」

 政府の孤独・孤立に関する全国実態調査で、何らかの形で「孤独感がある」と回答した人の割合が4割に上ったことが分かった。2022年春と23年春に発表された過去2回の調査結果とほぼ同率で、社会活動が新型コロナウイルス禍前の状態に戻っても、孤独感を抱く人の割合が変わらない実態が示された。

 3回目にあたる今回の調査は2023年12月、全国の16歳以上の2万人を対象に行われ、29日に公表された。有効回答率は55・7%だった。

 調査結果によると、孤独を感じるかどうかを尋ねた設問(選択回答式)に「しばしばある・常にある」と回答した人の割合は4・8%だった。「時々ある」(14・8%)、「たまにある」(19・7%)を合わせ、何らかの形で孤独を感じるとする回答は39・3%に上った。

 年代別にみると、30歳代の合計が46・1%。次いで20歳代(45・3%)、50歳代(44・5%)の順で、現役世代で孤独感を抱く人の割合が高かった。

 初回と前回の調査は、コロナ禍で社会活動が抑えられていた21年12月と22年12月に実施された。それぞれ何らかの形で孤独感を感じるとする回答が「36・4%」「40・3%」と4割前後を占めていた。

 早稲田大学の石田光規教授(社会学)は「現役世代の孤独は、恒久的な問題になりつつある。政府は地方自治体と協力して支援に注力すべきだ」と語る。

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