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2024.04.09 12:45:31

新型コロナ特例貸付、昨年の返済は37%…今後も同率推移なら6000億円以上が回収不能の可能性

 新型コロナウイルスの感染拡大期に生活困窮者らの暮らしを支えるため、計1兆4431億円の貸し付けが行われた国の特例貸付制度で、2023年の返済額は、予定された1047億円の37%にとどまったことが、厚生労働省のまとめでわかった。現状のまま推移すると、回収できない貸付金は将来的に数千億円に上る可能性がある。

 20年3月~22年9月に実施された特例貸付は国費で賄われた。対象はコロナ禍による休業などで収入が減少した人で、都道府県社会福祉協議会から、1世帯あたり計200万円まで、無利子で借りられた。

 返済は23年1月から全国で始まり、同12月末までに約1047億3300万円が返済期限を迎えた。返済されたのは37%にあたる約387億6800万円で、未回収は約659億6500万円に上る。

 返済は34年頃まで続く見込み。厚労省によると、返済率が4割ほどで推移した場合、未回収は将来的に数千億円に上り、6000億円以上になる恐れもある。

 全国社会福祉協議会は、困窮者がほかに借金を抱えていたり、収入がコロナ禍前まで回復していなかったりする事情があるとみている。各地の社協は、返済を促すため、督促の書類送付や自宅訪問をしている。

 一方、返済が低調なのは、国が当時、迅速な貸し付けを打ち出したことが背景にあるとの指摘がある。各地の社協からは「申込者の返済能力や返済の意思を十分に見極められないまま、貸し付けざるを得なかった」との声が上がる。

 厚労省は今年度、返済率の向上に取り組む。困窮者の生活再建に向けた相談体制の強化や、家計の改善などを進める自治体や社協に人件費を補助する。

 日本福祉大の角崎洋平准教授(社会福祉学)は「借りた人が少しずつでも返せるよう、返済の期間や金額について国は柔軟に対応してほしい。特例貸付が支援に役立ったかどうか詳しい検証も必要だ」と指摘する。

 ◆ 特例貸付制度 =一時金の「緊急小口資金」と、生活再建のための「総合支援資金」があり、およそ160万世帯が利用したとみられている。住民税の非課税世帯などは、返済が免除される。

2024.04.08 18:17:13

気管支ぜんそくの診断、血中の分泌物質検査で高精度に…阪大などのチームが実用化目指す

 血液に含まれる分泌物質内の「ガレクチン10」と呼ばれるたんぱく質が気管支ぜんそくの診断や進行の予測に活用できることを確認したと、大阪大などのチームが発表した。従来の診断方法より精度が高まるといい、数年後の実用化を目指すとしている。論文が国際医学誌に掲載された。

 気管支ぜんそくは空気の通り道である気管支が慢性的に炎症を繰り返すことで狭くなり、呼吸困難などの発作が生じる病気。世界保健機関(WHO)などによると、世界の患者数は2億6200万人、国内では推定で1000万人とされる。血中の白血球の一部「好酸球」の量などで診断しているが、肺の機能が低下する「慢性 閉塞へいそく 性肺疾患(COPD)」との区別が難しいなどの課題があった。

 阪大の武田吉人准教授らは、採血で得る血液中の分泌物質「エクソソーム(細胞外小胞)」が体内の情報を伝達している役割に着目。エクソソームを解析し、含まれる約3000種類のたんぱく質とぜんそくとの関連を調べた。

 その結果、炎症などに関わるたんぱく質のガレクチン10の量が増えると、ぜんそくの傾向が強いことを確認。診断の精度を調べると好酸球の73%に対して80%に高まったという。

 気管支ぜんそくに詳しい佐野博幸・近畿大教授の話「重要な研究だ。ガレクチン10の量に応じて適切な薬が選べるようになれば、治療の効率化につながる」

2024.04.04 18:06:15

男性育休取得率が都内で過去最高38・9%、期間も長期化…「産後パパ育休」制度が後押しか

 東京都内の事業所を対象に都が昨年行った従業員の育児休業に関する調査で、男性の育休取得率が38・9%に上り、2002年度の調査開始以来、最高を更新した。育休期間も前年度より長期化した。

 調査は昨年9月、都内2500事業所(従業員30人以上)とそこに勤務する男女5000人を対象に行い、622事業所と1133人から回答を得た。

 昨年3月までの1年間で配偶者が出産した男性は3116人で、このうち1212人が育休を取得した。取得率は前年(26・2%)から12・7ポイント上昇した。22年10月、子どもの出生後、8週間以内に父親が休みを最長4週間取得できる「産後パパ育休」制度が始まったことも取得率を押し上げたとみられる。

 取得期間は、「1か月以上3か月未満」(32・4%)が最多。次いで「3か月以上6か月未満」(14・4%)、「6か月以上1年未満」(11・7%)の順で多かった。前年も首位は「1か月以上3か月未満」だったが、2番目が「5日以上2週間未満」、3番目が「2週間以上1か月未満」で、取得期間が前年より延びる傾向がみられた。

 男性の育休取得の課題について、事業所と従業員それぞれに尋ねた質問(複数回答)では、労使ともに、「代替要員の確保が困難」が首位、「休業中の賃金補償」が2番目に多かった。ただ、3番目は、事業所の回答が「男性自身に育休を取る意識がない」だったのに対し、従業員は「職場がそのような雰囲気ではない」を挙げ、認識のずれがあることがわかった。

 都の担当者は「更なる育休取得率向上に向けて、引き続き育休を取りやすい職場環境作りを後押ししていきたい」としている。

2024.04.04 10:49:35

児童虐待の8割、性被害・DVの5割「相談しなかった」…警察庁「被害が潜在化の恐れ」

 児童虐待やドメスティックバイオレンス(DV)などの犯罪被害者の約4割が、警察や家族など誰にも相談をしていない実態が警察庁の調査でわかった。政府は犯罪被害者への支援を強化しており、警察庁は有識者検討会を設けて、対策の見直しを議論している。

 調査は、第4次犯罪被害者等基本計画(2021~25年度)に基づき、被害者が置かれた状況把握のために行われ、インターネットを通じて20歳以上の当事者819人から回答を得た。

 警察庁によると、被害に遭った際に「相談しなかった」人は、児童虐待で84%、性被害で51%、DVで51%に上った。ストーカー行為や交通事故、財産被害などを含む全体では44%だった。

 相談しなかった理由は「相談先がわからなかった」「何もしてくれないと思った」などが多かった。

 一方、被害者の80%は犯罪被害者等給付金や自治体からの見舞金などを受けていなかった。加害者側と損害賠償に関する訴訟や交渉などを行っていない人が88%で、加害者から賠償を受けた人は3%だった。

 警察庁の担当者は「被害が潜在化している恐れがあり、相談窓口の周知を図りたい」としている。

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