香川県は小学4年生と中学1年生を対象に実施した2022年度「小児生活習慣病予防健診」の結果を発表し、小学4年生で糖尿病リスクの高い児童が16%、脂質異常は11%と、いずれも過去10年で最悪だった。コロナ禍での運動不足や生活習慣の乱れなどが要因とみられる。中学1年生でも、糖尿病リスクは前年度より増え2割超となり、県は「啓発に取り組んできたが、悪化している」と危機感を募らせている。(山本貴大)
生活習慣病リスクの高い子どもの早期発見につなげようと、小学4年は2012年度から、中学1年は19年度から毎年調査している。
今回は、県内17市町の小学4年7131人と、14市町の中学1年2974人が対象。血液検査を行い、脂質、糖代謝、肝機能などを調査した。合わせて食事や運動など生活習慣のアンケート調査も行った。
健診結果によると、糖尿病となるリスクが高い割合では、小学4年が過去10年で最大の16・2%(前年度比3・9ポイント増)、中学1年も20・6%(同3・0ポイント増)となり、いずれも前年度から増えた。
肥満の割合は、小学4年が12・7%(同0・2ポイント増)で増加傾向が続いている。男子は14・7%、女子は10・5%で、男子の方が肥満傾向は高かった。
中学1年はここ数年ほぼ横ばいで11・6%(同0・4ポイント減)だった。
脂質(コレステロール、中性脂肪)の異常については、小学4年が過去10年で最大の10・7%(同1・0ポイント増)で、中学1年は8・8%(同0・9ポイント減)だった。
県健康福祉総務課は、小学生で数値が悪化している要因について、「ゲームやスマートフォンなどのメディアの利用時間が長かったり、体を動かす量が少なかったりするなど、コロナ禍の生活習慣を引きずっている可能性がある」と指摘。一方、中学生は「行動制限が緩和され、部活動が再開されたことで改善につながった部分はある」と分析している。
また、生活習慣のアンケート調査の結果によると、小学4年では「加糖飲料を毎日飲む」(30・3%)、「夕食後の間食をほぼ毎日食べる」(12・4%)、「情報メディアの利用時間が2時間以上」(50・6%)といった項目が前年度より増加した。
中学1年は「いつもおなかいっぱい食べる」(54・6%)、「1週間のうち、1人で食事をとることがある」(26・7%)、「情報メディアの利用時間が2時間以上」(66・6%)などだった。
同課の担当者は「今回の結果を受け止め、改めて自身の健康について見直す機会にしてもらいたい」とし、「大人や子どもを問わず、健診で異常が見つかれば、症状がなくても受診してほしい」と呼びかけている。