医療ニュース 2024.05.24
機能性表示食品、健康被害の報告義務付け・怠れば販売停止…制度見直し案
小林製薬の「 紅麹 」成分入りサプリメントを巡る健康被害問題で、消費者庁の有識者検討会は23日、機能性表示食品制度の見直し案をまとめた。健康被害情報の報告やサプリの品質管理体制の構築を事業者に義務づけることなどを盛り込んだ。同庁はこれらに基づいて制度改正を進める方針だ。
機能性表示食品は安全性や機能性を示す資料を同庁に届け出れば、国の審査を受けずに事業者の責任で食品の健康効果を表示できる仕組み。小林製薬の紅麹サプリも同食品として届け出られており、問題発覚を受け、有識者検討会が制度のあり方を議論してきた。
見直し案では、同食品の届け出事業者が、医師の診断を受けた健康被害を把握した場合、因果関係や症状の軽重にかかわらず、全ての被害情報を速やかに行政機関へ報告することを求めた。医療関係者だけでなく、消費者やその家族などから寄せられた情報も報告の対象とする。報告先は同庁や保健所を想定している。
同庁のガイドライン(指針)でも健康被害が発生した際は「速やかに報告することが適当だ」としているが、報告するかどうかは事業者の判断に任され、義務化されていなかった。今回の問題では、小林製薬は1月半ばに健康被害を把握したが、国や自治体への報告は2か月以上後だった。
見直し案では、サプリの製造工程について、製品の品質を一定に保つ手法である「GMP(適正製造規範)」に基づく管理の義務化も求めている。
GMPは製品の保管や工場の点検などの方法を定めるもので、国が具体的な手順を公表している。事業者にGMPに基づく管理体制の構築を義務づけ、同庁が必要に応じて立ち入り検査する仕組みが想定されている。
機能性表示食品は現在、届け出後のチェック体制がないため、事業者が法令の順守状況を定期的に確認し、同庁に報告した上で公表することも盛り込んだ。食品のパッケージに、国が安全性などを審査する「特定保健用食品(トクホ)」や医薬品とは異なることをわかりやすく示すことも求めた。
同庁はこれらを義務づけるため、食品表示法に基づく内閣府令である「食品表示基準」の改正を検討する。同庁の担当者によると、健康被害情報の報告など、義務化された内容の実施を怠れば、機能性表示食品として販売することができなくなるという。