医療ニュース 2024.05.20
医療機器への半導体供給確保へ…経産省、メーカーの訴訟リスク懸念解消へ知識普及
経済産業省は、医療機器に欠かせない半導体や電子部品の調達対策に乗り出す。近年の半導体不足に加え、医療事故による訴訟リスクを懸念して半導体メーカーが供給を拒むケースがあるためだ。医療レベルが低下しないよう、半導体メーカーなどに正しい知識を広め、供給を確保する。
半導体は、内視鏡の画像処理や人工呼吸器の制御など多くの医療機器に使われている。一方、経産省が2022年度に行った調査(医療機器メーカー57社が回答)では、半導体や電子部品の供給を断られた事例が計15件(重複あり)に上った。コロナ禍で医療機器メーカーが、人工呼吸器やPCR検査装置を病院に十分供給できなかったこともあったという。
医療事故が発生した場合に訴訟を起こされたり、責任を問われたりすることへの懸念が背景にある。また自動車などに比べ、医療機器業界では半導体の使用量が少ないため、供給が後回しにされている実態もある。
経産省は近く、半導体メーカー向けに、医療機器メーカーへの安定供給を求める冊子を公表する。21年までの10年間で、医療機器の製造物責任に関する訴訟は4件あったが、他産業より少なく、部品メーカーの責任が認められた事例はないと紹介し、医療機器に関する法律上の責任の所在についても説明する。
このほか、契約書のひな型を公開し、損害賠償の上限額や責任範囲の制限を設け、リスクを低減する方法も周知する。