厚生労働相の諮問機関・中央社会保険医療協議会(中医協)は13日、日本の製薬企業エーザイなどが開発したアルツハイマー病の新薬「レカネマブ」(商品名レケンビ)の保険適用を了承した。薬価(公定価格)は、1人あたり年間298万円(体重50キロの場合)で、20日から適用される。
患者の自己負担は、国の高額療養費制度により、70歳以上の一般所得層(年収156万~約370万円)で年14万4000円が上限となる。
レカネマブは、アルツハイマー病患者の脳内に蓄積する異常なたんぱく質「アミロイド β 」を取り除く新しいタイプの薬で、9月に厚生労働省が製造販売を承認した。臨床試験では、2週に1度の点滴を1年半続けた人は、症状が悪化するペースを27%抑えられた。低下した認知機能を元に戻す効果はなく、投与対象は早期患者に限られる。
厚労省は、脳の浮腫や微小出血などの副作用に適切に対応するため、投与できる医療機関を限定する。来年3月までの投与人数を400人、2024年度は7000人と予測。最多となるのは31年度の3万2000人で、同年度の市場規模は986億円と見込んでいる。
投与する医師や医療機関の要件は、ガイドライン(指針)で示した。最初の半年間は、〈1〉認知症などの診療経験が10年以上あり、新薬の研修を受けた常勤の専門医が複数いる〈2〉脳のMRI(磁気共鳴画像)検査を定期的に実施できる――施設などとした。
半年以降は連携する医療機関でも投与できる。
投与は原則1年半とし、その後は症状を評価して継続するか決めるよう求めた。
米国では1人あたり年間2万6500ドル(約380万円、体重75キロの場合)で販売されている。