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2024.02.14 16:47:34

「大麻グミ」から幻覚引き起こす違法成分検出…販売元「WWE」を麻薬取締法違反容疑で捜索

 大麻に似た成分を含む「大麻グミ」による健康被害が相次いだ問題で、食品製造販売会社「WWE」(大阪市北区)が昨年夏に販売したグミを大阪府警が鑑定した結果、大麻の違法成分「THC(テトラヒドロカンナビノール)」が検出されていたことが、捜査関係者への取材でわかった。同社製のグミから違法な大麻成分が検出されたのは初めてとみられ、府警が詳しい経緯を調べる。

 捜査関係者によると、昨年7月、WWEの大麻グミを食べた20歳代の女性が体調不良を訴え、救急搬送された。府警が女性から残りのグミを回収し、鑑定したところ、幻覚作用などを引き起こす有害成分「THC」が検出されたという。府警は今月13日、WWEが運営する大阪市内の店舗や工場など4か所を麻薬取締法違反容疑で捜索した。

 昨年以降、東京や大阪などで大麻成分に似た合成化合物「HHCH(ヘキサヒドロカンナビヘキソール)」を含むグミを食べた人の救急搬送が相次ぎ確認された。厚生労働省は昨年11月、グミを販売していたWWEに対し、医薬品医療機器法に基づいて立ち入り検査を実施し、「販売停止命令」を出した。

 厚労省は同12月、大麻に似た有害な6成分を同法の指定薬物として包括的に指定。1月にはこれらの所持や使用、販売に対し、3年以下の懲役または300万円以下の罰金を科す規制を始めた。

2024.02.14 15:54:43

診療報酬改定、医療DXの推進後押し…「医師の働き方」効率化

 厚生労働相の諮問機関・中央社会保険医療協議会(中医協)は14日午前、2024年度の診療報酬改定内容を決定し、武見厚労相に答申した。増加する高齢者の救急患者に対応する新たな病棟の創設などが柱となる。業務の効率化に向け、電子カルテなど医療DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進も後押しする。改定内容は6月から適用される。

 診療報酬は原則2年に1度見直される。政府は昨年12月、医師や看護師らの人件費に回る「本体」部分を0・88%引き上げる一方、医薬品など「薬価」部分を1・00%下げることとし、全体で0・12%のマイナス改定を決めた。これを踏まえ、中医協が医療行為ごとの点数をまとめた。

 今回の改定では、新病棟「地域包括医療病棟」の創設が大きな目玉だ。地域の中小病院を中心に設け、治療からリハビリ、栄養管理、退院支援まで一貫して提供し、重症度の高い患者を受け入れる大病院と役割分担する。6年に1度となる介護報酬との同時改定にあたるため、医療機関と高齢者施設の連携強化も進める。

厚生労働相の諮問機関・中央社会保険医療協議会(中医協)は14日午前、2024年度の診療報酬の改定内容を決定し、武見厚労相に答申した。増加する高齢者の救急患者に対応する新たな病棟の創設などが柱となる。業務の効率化に向け、電子カルテなど医療DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進も後押しする。新しい診療報酬は6月から適用される。

 診療報酬は原則2年に1度見直される。政府は昨年12月、医師や看護師らの人件費に回る「本体」部分を0・88%引き上げる一方、医薬品など「薬価」部分を1・00%下げることとし、全体で0・12%のマイナス改定を決めた。これを踏まえ、中医協が医療行為ごとの価格をまとめた。改定の施行時期はこれまで4月だったが、6月に変わる。

 今回の改定では、高齢化とともに人口減少が進む「2040年問題」を見据えた対応を盛り込んだ。新病棟「地域包括医療病棟」の創設が大きな目玉だ。

 高齢者の救急患者は、 誤嚥性ごえんせい 肺炎や尿路感染症など軽症・中等症が9割を占めている。新病棟は地域の中小病院を中心に設け、治療からリハビリ、栄養管理、退院支援まで一貫して提供し、重症度の高い患者を受け入れる大病院と役割分担する。

 看護師は患者10人につき1人以上配置し、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士のリハビリ専門職を2人以上、管理栄養士は1人以上を常勤で置く。

 勤務医の残業時間に上限を設ける「医師の働き方改革」が4月に始まるため、業務の効率化にも力を入れる。医療DXの普及を目指し、体制を整備した場合に加算する仕組みを新設する。マイナンバーカードに健康保険証の機能を持たせた「マイナ保険証」から得られた情報を診療に活用するほか、電子処方箋や電子カルテの導入が要件となる。電子処方箋は全国の導入率が6%にとどまり、普及が課題となっている。

 患者の受診時にかかる初診料は2910円、再診料は750円と現行よりそれぞれ30円、20円高くなる。初診料の引き上げは消費増税に伴うものを除くと、06年度以来となる。初診患者が少ない一部の医療機関では、初診料がさらに上乗せされて、最大で730円高くなる場合がある。増額分は賃上げの原資にして、医療従事者の人材確保につなげる。

 6年に1度となる介護報酬との同時改定にあたるため、医療機関と高齢者施設の連携強化も進める。

  ◆診療報酬= 医療機関や調剤薬局が医療サービスの対価として受け取る報酬。国が一律に定める公定価格で、医療行為ごとに細かく点数化され、1点=10円で計算される。入院料や初診料などのほか、一定の要件を満たすと上乗せされる「加算」がある。患者が原則1~3割を自己負担し、残りは公的医療保険で賄われる。国の医療政策に医療機関を誘導する手段にもなっている。

2024.02.13 16:06:34

オースティン国防長官が再入院、医師「長期入院見込まれず」…13日には復帰か

 【ワシントン=田島大志】米国防総省は11日、オースティン国防長官がワシントン郊外のウォルター・リード軍医療センターに搬送されたと発表した。ぼうこうに関する緊急の問題を示す症状がみられ、治療のため集中治療室に入院した。オースティン氏は、前立腺がんと合併症の治療を終え1月15日に退院していた。

 国防長官としての権限は11日、キャスリーン・ヒックス副長官に引き継がれた。同センターの医師は12日に声明を発表し「今回のぼうこうの問題により、(がんの)完全回復の見込みが変わることはない。長期入院は見込まれていない」と述べ、13日には職務復帰が可能との見方を示した。

 オースティン氏は今週、ベルギーを訪問し各国国防相らによるウクライナ支援国会合と北大西洋条約機構(NATO)国防相理事会に出席予定だったが、入院を受け訪問を中止した。NATO理事会にはNATO大使が代理出席し、ウクライナ支援国会合はオンライン開催に切り替える。

 前回の入院は、昨年12月22日の全身麻酔による手術とともにバイデン大統領やヒックス氏に知らされておらず、批判が上がった。今回は、即座にホワイトハウスや国防総省と米軍の幹部らに通知された。

2024.02.13 16:00:42

人への臓器移植用に遺伝子改変したブタ誕生…来秋にも腎不全患者ら対象に臨床研究

 明治大発の新興企業などの研究チームは13日、人に臓器移植するために遺伝子改変したブタを誕生させることに成功したと発表した。ブタの臓器を人に移植する「異種移植」を行った際、強い拒絶反応が起きないように、免疫に関わる遺伝子を改変したという。チームは国内の医療機関と連携し、異種移植の臨床研究を来年秋にも実施する計画だ。

 異種移植は、移植用の臓器が不足する中、注目が高まっている。同大発の新興企業「ポル・メド・テック」は昨年9月、米バイオ企業イージェネシスが開発した異種移植用ブタの細胞を輸入した。この細胞は拒絶反応を起こしにくくするため10か所の遺伝子を改変してある。

 この細胞の核を、通常のブタの卵子に注入した約100個をメス1頭の子宮に移植。今月11日、赤ちゃんブタ3頭を帝王切開で取り出した。赤ちゃんブタはいずれも元気な様子だという。

 今後、ブタの数を増やし、実験用のサルにブタの臓器を移植する研究を進めるほか、来年秋頃には、重い腎不全や肝不全の患者らを対象にした臨床研究の実施を目指すという。ポル・メド・テック創業者の長嶋比呂志・同大教授(発生工学)は「一日も早く、新たな治療法を患者に届けたい。ブタの衛生管理のルールなど、議論の本格化にも期待している」と話している。

 イージェネシスは昨年、遺伝子改変したブタの腎臓をサルに移植したところ、最長2年以上生存したとする論文を発表。先月にはブタの肝臓を人の脳死患者の体にチューブでつなぎ、3日間血液を循環させたことを明らかにした。現在、米国での臨床試験の実施に向けた準備を進めている。

 愛知医科大の小林孝彰教授(移植外科)の話「異種移植の臨床応用に向けた大きな一歩だ。安全な実施に向けて、国の規制のあり方や審査体制の整備など、議論を加速させる必要がある」

2024.02.09 16:28:43

日本で発生例ないアフリカ豚熱、韓国で感染拡大…農水省が水際対策強化「いったん侵入すれば全国に広がる」

 日本では発生例のない家畜伝染病「アフリカ豚熱(ASF)」が日本に近い韓国南部で拡大し、農林水産省が警戒を強めている。人には感染しないものの、ワクチンがなく、日本で広がれば養豚業に大きな被害が生じる恐れがある。同省は、ウイルスの侵入リスクが高まっているとして、港や空港での持ち込み品検査や消毒の徹底など水際対策を強化している。(浜田萌、西部社会部 今泉遼)

■「なんとか防ぐ」

 「ご協力をよろしくお願いします」「カムサハムニダ(ありがとう)」

 今月8日、韓国に最も近い長崎県対馬市にある比田勝港の国際ターミナル。同省動物検疫所の職員らが、韓国の 釜山プサン から訪れた旅行客に声を掛け、「肉製品持ち込み禁止」とハングルや英語で書かれたポケットティッシュを手渡していた。

 ASFウイルスは、肉製品や人に付着して国内に持ち込まれる恐れがある。同港では1月から、家畜防疫官を1人から2人に増員し、検疫態勢を強化した。この日は、検疫探知犬も初めて投入。肉入りの韓国のり巻き「キンパ」を持ち込もうとした客に廃棄させたという。

 動物検疫所博多出張所(福岡市)の 田上たがみ 勝則所長は「ウイルスがいったん侵入すれば全国に広がってしまう可能性があり、なんとか防ぎたい」と話す。

 東京・羽田空港でも7日、動物検疫への協力を求める啓発キャンペーンが行われた。10日から中国の春節(旧正月)の休暇が始まり、出入国者の増加が見込まれるためで、動物検疫所羽田空港支所の新堀均次長は「水際対策を徹底するため、検疫と広報の両輪を強化していく」と力を込めた。

■「大打撃」

 同省によると、ASFは、すでに国内で発生している「豚熱(CSF)」とは異なり、有効なワクチンや治療法がない。豚とイノシシが感染すると致死率はほぼ100%とされる。79か国・地域で発生が報告されていて、アジアでは2018年に中国で確認されて以降、日本と台湾を除く全域に拡大した。

 韓国では19年に初めて発生し、南部の釜山で昨年12月、野生イノシシの感染が初確認された。さらに、1月下旬以降、大阪や福岡などとの定期航路がある釜山の港付近で、ASFに感染した野生イノシシが相次いで見つかり、日本への侵入リスクが高まっている。

 坂本農相は9日の閣議後記者会見で「ひとたび侵入すれば、我が国の畜産業が大打撃を受ける」と危機感をあらわにし、水際での検疫を強化する考えを示した。

 宮崎市の養豚会社「日高スワイン」専務の日高省三さん(69)は「ウイルスの侵入はもはや時間の問題」と感じている。九州は豚の飼育頭数が全国の約3割を占める「養豚王国」。同社では宮崎県内の4農場で約1万3000頭の豚を飼育していて、日高さんは「農場に入らないよう最大限の警戒を続ける」と気を引き締める。

■消毒徹底

 ASFウイルスは、精肉やハムなどの加工品で3か月から1年近く、冷凍肉だと数年単位で感染力を持つとされる。動物検疫所が渡航者の持ち込み品を検査したところ、18年10月から24年1月末までに、ASFウイルスの遺伝子が134件検出され、うち4件ではウイルスが感染力を持ったままだった。

 このため、同省は、旅行者らに対して、肉の入った食品を違法に持ち込まないよう呼びかけている。屋外に放置された肉製品を野生イノシシが食べて感染するのを防ぐため、キャンプ場などでは、余った肉や食べ残しを野外に捨てずに適切に廃棄するよう注意喚起している。

 また、靴底についたウイルスが国内に入り込まないよう、水際での消毒を強化。空港や港に設置された靴底用の消毒マットについて、1月から消毒液の濃度を高める措置をとった。フェリーにのせた自転車や車の消毒も行っている。

 同省によると、ASFが広がった中国では19年に殺処分などにより飼育豚が減り、豚肉価格が2倍以上になったという。同省幹部は「ASFが発生すると、経済的なダメージも大きい。安易に肉製品を持ち込まず、一人一人がウイルスの侵入防止への意識を持ってほしい」と話している。

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