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2024.02.06 18:15:28

救急搬送に「マイナ保険証」活用、通院歴や処方薬の把握を容易に…搬送先選定の迅速化にも期待

 総務省消防庁は、マイナンバーカードに健康保険証の機能を持たせた「マイナ保険証」を活用した患者搬送を5月中旬にも開始する。これまで搬送の参考とする患者の医療情報は、口頭で聞き取ることが多かったが、マイナ保険証を利用することで、通院歴や処方薬などの情報を把握することが容易になり、救急活動の迅速化や円滑化につながると期待している。

 救急現場では、隊員が患者から通院先の医療機関や処方薬などの情報を聞き取って搬送先を決める際の参考にしている。しかし、詳細な情報を覚えていない人も多く、症状によっては会話が困難なケースもある。こうした状況を踏まえ、同庁は患者がマイナ保険証を所持している場合、その場で医療情報を閲覧できるシステムを導入する。

 具体的には、患者に同意を得た上で、隊員が専用のカードリーダーでカードを読み取り、レセプト(診療報酬明細書)処理を担う厚生労働省所管の「社会保険診療報酬支払基金」に情報照会するシステムを構築する。このシステムにより、救急車内に設置したタブレット端末で患者の氏名や住所のほか、医療機関の通院歴、処方薬、手術などの情報を閲覧できるようになる。

 このシステムの導入によって、患者から救急隊員への詳しい説明が不要になる上、隊員にとっても、正確な情報に基づき、迅速に搬送先の医療機関を選定することが可能となる。受け入れる医療機関側も事前に既往歴や処方実績などを把握することで、円滑な救命処置ができる。

 同庁は、全国の47消防本部の500隊程度で、実証事業としてこの取り組みを始める考えで、今月上旬まで参加を公募している。実際に現場でマイナ保険証を活用した救急搬送を実施する時期は大型連休明けの5月中旬を見込んでいる。将来的には意識のない重体患者のような場合でも、医療情報を閲覧できるようにすることも検討している。

2024.02.06 13:48:47

関東甲信の大雪、都内で109人搬送…交通機関の乱れ・高速道通行止めも解消へ

 関東甲信の大雪は6日未明にピークを過ぎ、同日朝には多くの地域で小康状態となった。鉄道などの交通機関の乱れは一部で続いているが、高速道路の通行止めも解消に向かう見通し。ただ、気圧の谷などの影響で6日も雪や雨が降る所があり、気象庁は路面凍結などによる交通障害に注意を呼びかけている。

 東京消防庁によると、東京都内では5日から6日午前10時までに4~92歳の男女計109人が転倒するなどして救急搬送された。

 関東甲信の9都県に出されていた大雪警報は6日朝までにすべて解除された。気象庁によると、6日午前8時現在の積雪は、前橋市7センチ、都心6センチ、さいたま市5センチなど。

 高速道路は関東甲信越、東海地方の広い範囲で通行止めが行われ、国土交通省によると、6日午前5時時点で、41路線325区間に及んだ。周辺道路などでの大規模な立ち往生は発生しなかったという。通行止めは除雪作業が完了し次第、順次解除される見通し。

 JR中央線の高尾―富士見間は始発から運転を見合わせ、6日午後1時に再開予定。西武池袋線などの一部の列車は運休している。そのほか都内を走る多くの在来線は一部で遅れはあるが始発から運行している。

2024.02.05 11:25:46

医療機関も被災した能登半島地震、広がるコンテナ型の診療所…コロナ対応で感染拡大予防に活用

 医療機関が被害を受けた能登半島地震の被災地で、コンテナ型の医療救護所での診察が行われている。避難所では新型コロナウイルスなどの感染症患者を隔離するスペースが少なく、プライバシーに配慮した対応も難しかった。感染症拡大を防ぐためウイルスを室外に出さない機能を備えたコンテナもあり、活用が広がっている。(広瀬航太郎、小山内裕貴)

 「喉に痛みがある」

 石川県 珠洲すず 市の市立 宝立ほうりゅう 小中学校に設置されたコンテナ型の医療救護所で、避難者の男性(61)がせきや鼻水などの症状を訴えた。高槻病院(大阪府)から支援に来た医師(49)は抗原検査をスタッフに指示し、新型コロナの陽性と診断した。

 男性は受診する2日前に喉の違和感を覚えて避難所を離れ、倒壊を免れた自宅物置で寝泊まりしていた。解熱剤を処方された男性は、「かかりつけ医はどこも被災していて困っていた。近くで診てもらえてよかった」とほっとした表情を見せた。

 厚生労働省と内閣府は被災地の医療態勢を補うため、コンテナを所有する病院などに派遣を要請。先月31日時点で珠洲市や輪島市、志賀町の3市町に計21基が設置された。さらに追加する予定もある。

 宝立小中学校のコンテナは幅2・4メートル、奥行き6メートルほどで、医師2人を含む7人で運用している。長引く避難の影響で高血圧や歩行障害などの訴えが多く、片付け中のけがや、やけどの患者もいるという。

 このコンテナは「発熱外来」としての使用を想定し、ウイルスや細菌を紫外線で不活性化する設備を備える。地震直後に駆けつけた医療チームは避難所を巡回し、避難者が行き来する廊下についたてを設置するなどして診察していた。

 石川県医師会によると、能登半島北部の4市町にある診療所など約30か所のうち、通常診療を再開できたのは2日現在で輪島市と能登町、穴水町の計11か所で、珠洲市の6診療所は再開できていない。

 NPO法人が運営する「空飛ぶ捜索医療団ARROWS」の一員として医療コンテナでの活動に参加した医師(救急医)は、「診療所が再開できるまで、医療コンテナが地域の医療を支えることになるだろう。在宅避難者もいるので、活動している場所を知ってもらうことが課題だ」と語った。

2024.02.02 17:41:32

保育士のモデル賃金公開、待遇改善へ「見える化」…給与低く人手不足が深刻化

 政府は都道府県に対し、保育園ごとに保育士のモデル賃金を公開するよう求める方針を固めた。「見える化」により、保育士の待遇を改善するための予算が適正に使われているか検証しやすくし、低い賃金の向上につなげるのが狙い。新たな制度を盛り込んだ改正子ども・子育て支援法案を通常国会に提出し、2025年4月の開始を目指す。

 対象は保育園のほか、認定こども園、幼稚園などで全国で4万超となる。新制度が導入されると、施設側は毎年度、職員ごとの給与額や収支などを都道府県に報告する義務が生じる。

 こうした情報には営業秘密が含まれるため、都道府県は施設ごとに、職員のモデル賃金や運営費に占める人件費の割合などについて、子育て支援情報サイト「ここdeサーチ」で公開する。

 モデル賃金などが公開されれば、保育士希望者が就職先を検討する際に参考にでき、保護者が園を選ぶ判断材料の一つになる。政府は施設側が都道府県に報告した情報をもとに、保育士の賃金向上につながっているかを検証し、今後の政策を考える際に役立てる。

 保育士は人手不足が深刻化している。重い責任に見合わない低賃金が要因で、21年の全産業の平均給与が約426万円なのに対し、保育士は約370万円だった。政府は24年度予算案で、保育士らの待遇改善の関連費用として1兆6617億円を計上した。

 ただ、待遇改善費用を巡ってはこれまで、施設の改修といった別の用途に充てられたり、一部職員に偏って使われたりするケースが相次いできた。使途に関する施設側の裁量が大きいためで、有識者などからは保育士らの賃金向上につながっていないとの指摘が相次ぎ、給与水準などの公開を求める声が高まっていた。

2024.02.02 12:36:32

美容クリニックで「やせ薬」、糖尿病治療薬の広告規制強化へ…ダイエット効果は未確認

 糖尿病の治療薬がダイエット目的で使われている問題を受け、厚生労働省は、医療機関の広告規制を強化する。薬の本来の使い方ではなく、自由診療で行う場合、未承認であることなどを明示するよう求める。医療広告ガイドライン(指針)を近く改正する。

 この薬は「GLP―1受容体作動薬」と呼ばれ、血糖値を下げるほか、食欲を抑える効果がある。主に糖尿病治療薬として、国から承認を受けているが、ダイエット目的での使用は、効果や安全性が確認されておらず、公的医療保険が適用されていない。

 しかし、美容クリニックなどが「やせ薬」として、全額自己負担となる自由診療で投与するケースが増えており、供給不足を招いている。厚労省が美容クリニックのウェブサイトを調査したところ、やせる効果を強調するなど指針に違反する事例が2021年度は50件に上り、22年度には72件に増えた。

 指針の改正案では、未承認薬を使った自由診療について、▽未承認薬であること▽入手経路▽海外での副作用情報▽重い健康被害が生じても国から医療費の支給を受けられないこと――などを医療機関のサイトで明示するよう求める。

 厚労省の担当者は「本来の目的とは異なる使用は、思わぬ副作用を招く恐れがある。慎重に判断してほしい」と話している。

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