医療ニュース 2024.06.05

きょうだいで暴力含むいじめ受け「たすけてください」…学校の「重大事態」報告は3~6か月後

 高松市立小学校で2021~22年に起きたいじめの「重大事態」2件について、学校から市教委や市長への発生報告が、保護者の申し立てを受けてから3~6か月後だったことが、保護者への取材でわかった。文部科学省は指針などで速やかな報告を求めており、専門家は学校や市教委の対応を疑問視する。(黒川絵理)

 文部科学省は、いじめ防止対策推進法に基づく指針などで、市立校は保護者や子どもから重大事態の申し立てを受けた場合、直ちに市教委を通じて市長に報告しなければならないと定めている。特に子どもの欠席が続くケースは、7日以内の報告が望ましいとしている。

 保護者の説明や、市教委が保護者に開示した資料によると、2件の被害児童はきょうだいで、同じ市立小に通っていた。

 上の児童は2021年11月~22年1月、クラスメートから体の上に乗られたり、髪を引っ張られたりしたほか、「死ね」などの暴言を受け、別室登校になった。下の児童は22年5月、クラスメートから顔を殴られたり、膝を蹴られたりされ、登校できない日が続いた。2人ともその後、転校した。

 保護者は学校に被害を訴え、上の児童については22年6月、下の児童も同9月、学校にそれぞれ、「重大事態として取り扱ってほしい」と申し立てた。

 学校はいじめ行為があった直後から市教委と情報共有し、加害児童に謝罪させたり、教員を増やしたりしたが、市教委に2件の重大事態の発生を報告したのは、いずれも同12月だった。市教委はその10日後、大西秀人市長に伝えた。

 校長らで構成される調査委員会は23年9月、2人ともいじめがあったとする調査結果をまとめ、市教委に報告した。

 保護者は学校の対応について、「申し立てはどうなっているのかただしても、学校側からは『円満解決を目指す』と繰り返され、放置されたと感じた。調査が遅れ、ほかの児童の記憶も薄れて全容解明が難しくなった」などと主張。調査委も、発生報告の遅れについて調べていないなどとして再調査を求めている。

 市教委は学校から重大事態の報告を受けた直後の22年12月、各校に対して、重大事態への対応の流れや提出書類の様式を説明する文書を出していた。

 市教委学校教育課は取材に「個別事案は明らかにしない」としている。文科省のガイドラインは、重大事態の調査結果は「特段の支障がない限り、公表が望ましい」としているが、市教委はこれまで「児童生徒への影響を総合的に勘案している」として公表していない。

  千葉大の藤川大祐教授(教育方法学)の話 「学校も市教委も教室に入れなくなったり、欠席が続くようになったりした時点か、遅くとも転校をした時点で自ら重大事態として対応すべきだった。被害者に放置されたと感じさせたことは二次被害だ。法の趣旨を無視した対応といえる」

 ◆ 重大事態 =2013年施行のいじめ防止対策推進法で定義された。いじめで児童の生命や心身などに重大な被害が生じたり、年間30日以上欠席を余儀なくされたりしている疑いがある事案を指す。