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2024.02.13 16:06:34

オースティン国防長官が再入院、医師「長期入院見込まれず」…13日には復帰か

 【ワシントン=田島大志】米国防総省は11日、オースティン国防長官がワシントン郊外のウォルター・リード軍医療センターに搬送されたと発表した。ぼうこうに関する緊急の問題を示す症状がみられ、治療のため集中治療室に入院した。オースティン氏は、前立腺がんと合併症の治療を終え1月15日に退院していた。

 国防長官としての権限は11日、キャスリーン・ヒックス副長官に引き継がれた。同センターの医師は12日に声明を発表し「今回のぼうこうの問題により、(がんの)完全回復の見込みが変わることはない。長期入院は見込まれていない」と述べ、13日には職務復帰が可能との見方を示した。

 オースティン氏は今週、ベルギーを訪問し各国国防相らによるウクライナ支援国会合と北大西洋条約機構(NATO)国防相理事会に出席予定だったが、入院を受け訪問を中止した。NATO理事会にはNATO大使が代理出席し、ウクライナ支援国会合はオンライン開催に切り替える。

 前回の入院は、昨年12月22日の全身麻酔による手術とともにバイデン大統領やヒックス氏に知らされておらず、批判が上がった。今回は、即座にホワイトハウスや国防総省と米軍の幹部らに通知された。

2024.02.13 16:00:42

人への臓器移植用に遺伝子改変したブタ誕生…来秋にも腎不全患者ら対象に臨床研究

 明治大発の新興企業などの研究チームは13日、人に臓器移植するために遺伝子改変したブタを誕生させることに成功したと発表した。ブタの臓器を人に移植する「異種移植」を行った際、強い拒絶反応が起きないように、免疫に関わる遺伝子を改変したという。チームは国内の医療機関と連携し、異種移植の臨床研究を来年秋にも実施する計画だ。

 異種移植は、移植用の臓器が不足する中、注目が高まっている。同大発の新興企業「ポル・メド・テック」は昨年9月、米バイオ企業イージェネシスが開発した異種移植用ブタの細胞を輸入した。この細胞は拒絶反応を起こしにくくするため10か所の遺伝子を改変してある。

 この細胞の核を、通常のブタの卵子に注入した約100個をメス1頭の子宮に移植。今月11日、赤ちゃんブタ3頭を帝王切開で取り出した。赤ちゃんブタはいずれも元気な様子だという。

 今後、ブタの数を増やし、実験用のサルにブタの臓器を移植する研究を進めるほか、来年秋頃には、重い腎不全や肝不全の患者らを対象にした臨床研究の実施を目指すという。ポル・メド・テック創業者の長嶋比呂志・同大教授(発生工学)は「一日も早く、新たな治療法を患者に届けたい。ブタの衛生管理のルールなど、議論の本格化にも期待している」と話している。

 イージェネシスは昨年、遺伝子改変したブタの腎臓をサルに移植したところ、最長2年以上生存したとする論文を発表。先月にはブタの肝臓を人の脳死患者の体にチューブでつなぎ、3日間血液を循環させたことを明らかにした。現在、米国での臨床試験の実施に向けた準備を進めている。

 愛知医科大の小林孝彰教授(移植外科)の話「異種移植の臨床応用に向けた大きな一歩だ。安全な実施に向けて、国の規制のあり方や審査体制の整備など、議論を加速させる必要がある」

2024.02.09 16:28:43

日本で発生例ないアフリカ豚熱、韓国で感染拡大…農水省が水際対策強化「いったん侵入すれば全国に広がる」

 日本では発生例のない家畜伝染病「アフリカ豚熱(ASF)」が日本に近い韓国南部で拡大し、農林水産省が警戒を強めている。人には感染しないものの、ワクチンがなく、日本で広がれば養豚業に大きな被害が生じる恐れがある。同省は、ウイルスの侵入リスクが高まっているとして、港や空港での持ち込み品検査や消毒の徹底など水際対策を強化している。(浜田萌、西部社会部 今泉遼)

■「なんとか防ぐ」

 「ご協力をよろしくお願いします」「カムサハムニダ(ありがとう)」

 今月8日、韓国に最も近い長崎県対馬市にある比田勝港の国際ターミナル。同省動物検疫所の職員らが、韓国の 釜山プサン から訪れた旅行客に声を掛け、「肉製品持ち込み禁止」とハングルや英語で書かれたポケットティッシュを手渡していた。

 ASFウイルスは、肉製品や人に付着して国内に持ち込まれる恐れがある。同港では1月から、家畜防疫官を1人から2人に増員し、検疫態勢を強化した。この日は、検疫探知犬も初めて投入。肉入りの韓国のり巻き「キンパ」を持ち込もうとした客に廃棄させたという。

 動物検疫所博多出張所(福岡市)の 田上たがみ 勝則所長は「ウイルスがいったん侵入すれば全国に広がってしまう可能性があり、なんとか防ぎたい」と話す。

 東京・羽田空港でも7日、動物検疫への協力を求める啓発キャンペーンが行われた。10日から中国の春節(旧正月)の休暇が始まり、出入国者の増加が見込まれるためで、動物検疫所羽田空港支所の新堀均次長は「水際対策を徹底するため、検疫と広報の両輪を強化していく」と力を込めた。

■「大打撃」

 同省によると、ASFは、すでに国内で発生している「豚熱(CSF)」とは異なり、有効なワクチンや治療法がない。豚とイノシシが感染すると致死率はほぼ100%とされる。79か国・地域で発生が報告されていて、アジアでは2018年に中国で確認されて以降、日本と台湾を除く全域に拡大した。

 韓国では19年に初めて発生し、南部の釜山で昨年12月、野生イノシシの感染が初確認された。さらに、1月下旬以降、大阪や福岡などとの定期航路がある釜山の港付近で、ASFに感染した野生イノシシが相次いで見つかり、日本への侵入リスクが高まっている。

 坂本農相は9日の閣議後記者会見で「ひとたび侵入すれば、我が国の畜産業が大打撃を受ける」と危機感をあらわにし、水際での検疫を強化する考えを示した。

 宮崎市の養豚会社「日高スワイン」専務の日高省三さん(69)は「ウイルスの侵入はもはや時間の問題」と感じている。九州は豚の飼育頭数が全国の約3割を占める「養豚王国」。同社では宮崎県内の4農場で約1万3000頭の豚を飼育していて、日高さんは「農場に入らないよう最大限の警戒を続ける」と気を引き締める。

■消毒徹底

 ASFウイルスは、精肉やハムなどの加工品で3か月から1年近く、冷凍肉だと数年単位で感染力を持つとされる。動物検疫所が渡航者の持ち込み品を検査したところ、18年10月から24年1月末までに、ASFウイルスの遺伝子が134件検出され、うち4件ではウイルスが感染力を持ったままだった。

 このため、同省は、旅行者らに対して、肉の入った食品を違法に持ち込まないよう呼びかけている。屋外に放置された肉製品を野生イノシシが食べて感染するのを防ぐため、キャンプ場などでは、余った肉や食べ残しを野外に捨てずに適切に廃棄するよう注意喚起している。

 また、靴底についたウイルスが国内に入り込まないよう、水際での消毒を強化。空港や港に設置された靴底用の消毒マットについて、1月から消毒液の濃度を高める措置をとった。フェリーにのせた自転車や車の消毒も行っている。

 同省によると、ASFが広がった中国では19年に殺処分などにより飼育豚が減り、豚肉価格が2倍以上になったという。同省幹部は「ASFが発生すると、経済的なダメージも大きい。安易に肉製品を持ち込まず、一人一人がウイルスの侵入防止への意識を持ってほしい」と話している。

2024.02.08 16:35:26

高齢者の救急搬送に対応「地域包括医療病棟」、中小病院に創設へ…高度医療の大病院と役割分担図る

 増加する高齢者の救急搬送に対応するため、厚生労働省は、新たな受け皿となる「地域包括医療病棟」を創設する。地域に根差した中小病院を中心に設け、高度な医療を担う大病院との役割分担を図る。看護師などを手厚く配置し、治療からリハビリ、退院に向けた支援までを一貫して提供して、早期に自宅に戻れるようにする。2024年度の診療報酬の改定に盛り込む。

 新病棟は、高齢者の救急患者の受け入れやケアに必要な体制を備えるのが特徴だ。高齢者に多い 誤嚥性(ごえんせい) 肺炎や尿路感染症などの患者を想定している。入院中は体力を維持するため、リハビリや栄養管理で支援し、退院後の生活相談、在宅復帰後に必要な介護サービスの調整までを包括的に提供する。

 看護師は、患者10人につき1人以上、夜勤は2人以上を病棟に配置するという施設基準を設ける。リハビリなどを行う理学療法士や作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士を常勤で置くことも求める。診療報酬改定では、導入した医療機関に対する新たな入院料を設けて整備を進める。

 近年、65歳以上の高齢者の救急搬送件数は増加傾向にある。総務省消防庁によると、22年は386万人に達し、10年前より100万人以上も増え、救急搬送全体の6割を占めている。搬送件数は35年にピークを迎えると見込まれている。

 一方で、高齢者の救急患者のうち、9割が軽症・中等症患者だ。大病院に運ばれて治療を受けても、入院中にリハビリなどが十分に行われず、結果的に心身の機能が低下してしまうことが指摘されている。

 厚労省はこれまで「団塊の世代」が全て75歳以上になる25年を見据え、治療後の在宅復帰を支援する「地域包括ケア病棟」を14年に新設し、拡充を進めてきた。23年5月時点で約2600病院に約10万床が整備された。高齢者の救急搬送受け入れにも対応してもらうことが期待されていた。

 しかし、症状が安定した患者を想定した病棟であるため、病院側から十分に対応できない場合があるとの声が上がっていた。地域包括ケア病棟は看護師が患者13人につき1人以上配置されている。新病棟はさらに手厚くすることで、救急患者への対応を可能にする。

  ◆診療報酬 =医療機関や調剤薬局が医療サービスや薬の対価として受け取る報酬。入院料や初診料、手術料など内容に応じて細かく点数化し、価格が設定されている。原則2年に1度見直される。国が進めたい医療政策に医療機関を誘導する手段にもなっている。2024年度から施行時期がこれまでの4月から6月になる。

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