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2024.01.25 18:40:32

認知症がん患者の対応、拠点病院の97%「困ったことがある」…治療方針説明しても判断できず

 全国のがん診療連携拠点病院の9割以上が、認知症のがん患者への対応に苦慮した経験があるとする調査結果を日本対がん協会(東京)がまとめた。患者本人が治療に関する判断ができない、在宅での治療の支え手がいないなどのケースが目立った。専門家は、超高齢社会で認知症のがん患者が増える中、支援体制の強化の重要性を訴えている。

 調査は昨年4~6月、全国のがん拠点病院約450施設にアンケートを実施、256施設が回答した。その結果、97・7%にあたる250施設が「認知症のがん患者への対応に困ったことがある」と答えた。

 困ったと答えた施設に状況を複数回答で尋ねたところ、「(医師が治療方針を説明しようと思っても)治療について判断できない」が93・2%と最多で、「在宅での治療を支える家族がいない」が76・7%と続いた。「在宅での抗がん剤治療中に下痢や発熱などの副作用を周囲に伝えられない」も多かった。

 結果の分析に協力した小川朝生・国立がん研究センター東病院精神腫瘍科長は「治療に関する意思決定や、退院後の暮らしを支える仕組みづくりを進める必要がある」と指摘している。

2024.01.25 15:49:16

がん10年生存率上昇53・5%、小児がんは「5年」と大差なし…国立がん研究センター

 国立がん研究センターは25日、2011年にがんと診断された患者約36万人の10年生存率が53・5%だったと発表した。前回調査(10年)より0・2ポイント上昇した。あわせて、小児(15歳未満)と、思春期以降のAYA世代(15~39歳)の10年生存率を初めて公表、小児がんは約7~9割と、5年生存率と大きな差がなかった。

 全国のがん診療連携拠点病院などが参加する「院内がん登録」の大規模データから集計した。前回に続いて、純粋にがんのみが死因となる場合を推定した「純生存率(ネット・サバイバル)」を算出した。部位別の10年生存率は、前立腺がんで85・4%、乳がん(女性)で82・9%、大腸がんで57・9%、胃がんで56・8%などだった。

 また、小児がんとAYA世代のがんは、全ての死因による死亡者数を計算に含めた実測生存率を算出し、5年生存率と比較した。

 小児の10年生存率は、白血病で86・2%、脳腫瘍で71・5%。いずれも5年生存率との差は約2ポイントとなり、わずかな低下にとどまった。

 一方、AYA世代の10年生存率は、子宮がん(子宮 けい 部・子宮体部)が、5年生存率より1・4ポイント減の87・2%だったのに対し、脳・脊髄腫瘍は同5・7ポイント減の77・8%など、がんの種類によって低下の幅に差がみられた。

 同センター院内がん登録分析室の石井 太祐たいすけ 研究員は「治療が大きく進歩しているがんでは、現在はもっと生存率が向上している可能性がある。今回、小児がんで、5年以降の死亡リスクが低いことを初めて示せた。患者の希望になる明るいデータになる」と話している。

2024.01.23 18:52:34

大学病院での医師の教育や研究は「労働」、厚生労働省が曖昧な「自己研さん」通達を改正

 厚生労働省は、医師が知識や技能を習得するための「自己研さん」に関する2019年7月の通達を一部改正し、労働に該当する具体例として、大学病院での教育や研究を明示した。従来の通達は、自己研さんと労働の線引きが曖昧で、 恣意しい 的な運用を懸念する声が医療現場から上がっていた。医師の残業時間を制限する「医師の働き方改革」が4月から始まるのを前に、解釈を明確化する狙いがある。改正は15日付。

 同省は、診療などの本来業務と直接関連がなく、上司の指示もない自己研さんは、労働に該当しないとの考え方を通達で示し、その運用方法については別の通達で説明していた。

 しかし、昨年8月、甲南医療センター(神戸市)の専攻医が過労自殺した問題が発覚。労働基準監督署が認定した長時間労働について、センター側は「自己研さんが含まれる」と反論し、各地の医師から、本来は労働にあたる時間が自己研さんとして処理されているとの声が相次いでいた。

 こうした状況を受け、自己研さんの考え方に関する通達は維持した上で、運用方法に関する通達を改正した。大学病院の教育や研究は本来業務にあたると明示。具体的には、▽試験問題の作成・採点▽学生の論文作成に対する指導――などを挙げた。

 一般病院については、具体例は示さなかった。その理由について同省は「自己研さんと業務の区分が難しい」としているが、今回の改正で「医師と上司の理解が一致するよう双方で十分に確認すること」を求める文言を新たに加えた。

 同省は「一般病院も、大学病院の考え方に準じて業務との関連性を適切に判断してほしい」としている。

2024.01.23 15:53:26

出生前検査、ダウン症など3種類からの拡大ルール案…日本医学会の認証施設での実施など盛り込む

 妊婦の血液から胎児の病気を調べる「新型出生前検査」について、こども家庭庁は、臨床研究として現在の3種類の病気以外に検査対象を広げて実施する際のルールの素案をまとめた。検査対象は一律でなく、胎児に病気がある可能性が高い妊婦とすべきことや認証施設での実施などを求めている。同庁の専門委員会が年度内にもとりまとめる予定だ。

 検査は現在、日本医学会の運営委員会から認証された施設で、ダウン症など3種類の病気に限って調べている。しかし、認証されていない施設では3種類以外の病気まで検査しているところもある。検査対象を広げる場合、現時点では検査精度などが十分に確立されていないため、臨床研究として進め、検査の妥当性を評価する必要がある。

 素案では、3種類以外の病気を対象とする場合、〈1〉胎児の病気を早期に発見し、早期治療につなげることを念頭に置く〈2〉遺伝カウンセリングやサポートを受けられる認証施設で行う〈3〉各施設の倫理審査委員会で審査を受け、日本産科婦人科学会に報告する――ことなどを盛り込んだ。

 委員からは、より慎重な審査体制を望む声も出ている。こうした意見も踏まえ、最終的にルールをとりまとめ、認証施設で臨床研究を行う際の参考にしてもらう。

新型出生前検査 妊娠9~10週頃以降の妊婦から採血し、胎児にダウン症などの疑いがあるかどうかを調べる。病気が分かると、人工妊娠中絶を選択する妊婦も多く、倫理的な課題がある。日本医学会の運営委員会が認証していない施設で検査し、メールで検査結果を送るだけで相談に応じないなどのトラブルも起きている。

  ◆新型出生前検査 =妊娠9~10週頃以降の妊婦から採血し、胎児にダウン症などの疑いがあるかどうかを調べる。病気が分かると、人工妊娠中絶を選択する妊婦も多く、倫理的な課題がある。日本医学会の運営委員会が認証していない施設で検査し、メールで検査結果を送るだけで相談に応じないなどのトラブルも起きている。

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