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2023.12.28 07:21:54

イヌの尿からiPS細胞作製、病気の治療や創薬に期待…大阪公立大など研究チーム

イヌのiPS細胞(人工多能性幹細胞)を効率良く作製する方法を開発したと、大阪公立大などの研究チームが発表した。採取しやすい尿の中に含まれる細胞を活用した。イヌの病気の治療や創薬への応用が期待される。論文が科学誌ステム・セル・リポーツに掲載された。

人やマウスのiPS細胞は、主に皮膚や血液の細胞から作る。イヌの場合も、皮膚の細胞に4種類の遺伝子を導入する方法などが試みられていたが、iPS細胞になる効率は細胞1万個あたり2個程度と低かった。

 チームは、尿の中の細胞に着目。尿から集めた細胞に6種類の遺伝子を導入する方法でiPS細胞を作製した。ビーグル犬で試したところ、最大でこれまでの約120倍という高い効率で作製できた。

 同大の鳩谷晋吾教授(獣医学)は「イヌの病気でも、iPS細胞による再生医療が実現できる可能性がある。iPS細胞の作製が難しい他の動物にも応用していきたい」としている。

 麻布大の久末正晴教授(獣医内科学)の話「動物を傷つけず、これまでより簡単な方法で効率良くiPS細胞を作ることができたのは大きな成果だ。治療につなげるには、目的の細胞にどう変化させるかの研究を進める必要がある」

2023.12.26 07:12:53

メンタルヘルス検定、受検者が16年で5倍に…「心を病む人」増加で管理職に推奨する企業も

 心の不調に対処する方法を学ぶ「メンタルヘルス・マネジメント検定試験」の受検者が増えている。昨年度は全国で約5万人が申し込み、開始から16年で約5倍に増加した。職場のストレスなどで心を病む人が多くなっていることが背景にあり、管理職に受検を推奨する企業もある。(大森篤志)

試験は3種類

 「検定で身につけた知識があったから、適切に対応できた」。クッキーの製造販売会社「アントステラ」門真センター(大阪府門真市)に勤める 悴山かせやま 健二さん(55)は、そう振り返る。

 合格したのは、労務管理の担当だった2014年11月。その後、職場内の人間関係の悩みからアルバイトの男性が休職した際、家族を介して男性からの相談に乗り、復職プログラムなどの制度についても説明したところ、男性や家族から感謝され、男性は職場に復帰したという。

 検定試験は、大阪商工会議所(大商)が06年10月から始めた。長時間労働などで労働者のストレスが拡大しているとして、厚生労働省が職場でのメンタルヘルスケアの指針を策定したことを受けたものだ。

 一般社員、管理職、人事労務担当向けの3種があり、産業医や弁護士らが問題を作成。微熱が出るなど心の不調が原因の症状や、専門医への受診を促すなど上司としての適切な対応に関する知識が問われる。年2回、大阪や東京、広島など全国15都道府県で行われ、受検料は4220~1万1550円。事前に勉強するためのテキストも販売している。

 申し込みは右肩上がりで増え、22年度は検定試験が始まった06年度の4・8倍の5万489人。管理職向けの伸びが5・4倍と大きい。ポータルサイト「日本の資格・検定」が利用者へのアンケートなどを基に集計した22年度の検索回数ランキングで3位となり、初めてトップ10入りした。

 合格者は累計で約32万6000人。合格率は一般社員向けが7割前後、管理職向けが5割、人事労務担当向けが2割弱という。

労災認定、過去最多

 検定の利用が進む背景には、心の不調に苦しむ人が増えていることがある。厚労省によると、精神障害での労災認定は22年度が710件で過去最多となり、06年度(205件)の3・5倍に増えた。

増加の理由について、山本晴義・横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長は「長時間労働は人手不足で解決しておらず、ストレスをためやすい職場環境になっている。コロナ禍で悩み、孤立を深めた労働者も多い」と指摘する。

 労働契約法は、労働者が健康や安全を確保しながら働けるよう使用者の安全配慮義務を定めている。違反した場合、使用者が高額の損害賠償を求められることもある。JR西日本の男性社員(当時28歳)が長時間労働でうつ病を発症して自殺したケースでは、大阪地裁が15年3月、同社に対し、遺族に約1億円を支払うよう命じた。

 大商人材開発部で検定を担当する山崎千尋さん(24)は「従業員が心を病むと、生産性の低下を招くだけでなく、対外的なイメージダウンにもなるという認識が浸透してきた」と指摘する。

取得率98%

 組織全体で受検を勧める企業もある。

 大同生命保険(大阪市)は17年から、係長などの一定の職位以上に取得を推奨している。今年3月時点で取得している人は対象者1893人中1861人(取得率98・3%)に上る。

 同社の担当者は「企業が成長するには、従業員1人ひとりが心身ともに健康であることが必要だ。資格を取ることで、普段と違う部下の様子に気づくことの大切さなどに対する意識が高まった」と話す。

 日本郵便(東京)は19年10月から「業務に役立つ資格を取得した社員の努力に報いる」として、合格者に報奨金を出しているという。

2023.12.26 07:09:58

iPS細胞使ったパーキンソン病治療、米国で臨床試験開始…住友ファーマ・京大など

 製薬大手の住友ファーマなどは26日、人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製した神経細胞をパーキンソン病の患者の脳へ移植する臨床試験を、米国で開始したと発表した。対象患者が推定で国内の3~5倍いる米国での実用化を目指す。

 パーキンソン病は、運動に関わる神経伝達物質「ドーパミン」を分泌する脳の神経細胞が減り、手の震えや歩行困難などの症状が表れる病気。50歳以上で多く発症し、同社などによると国内に約20万~30万人、米国では約100万人の患者がいると推定されている。

京大iPS細胞研究所や同社などは2018年、健康な人のiPS細胞からドーパミンを出す細胞を作って移植する臨床試験に着手。これまでに7人に移植し、現在、安全性と有効性の確認を行っている。

 米国での臨床試験はカリフォルニア大サンディエゴ校で実施。住友ファーマが日本で製造した細胞を空輸し、京大で行われている臨床試験とほぼ同じ方法で7人に移植する計画で、2年間経過を観察する。

 米国では、iPS細胞と似た性質を持つES細胞(胚性幹細胞)を使ったパーキンソン病の臨床試験が先行している。

 今回は、大学病院などが中心となって行う比較的小規模な臨床試験。より人数を増やした試験も米国で今年度中に開始する方針で、同社は32年度末までの実用化を目指すという。

2023.12.25 13:41:07

アルツハイマー病の新薬レカネマブ、東京・大阪でさらに数人投与予定…50代患者2人に投与

東京都健康長寿医療センター(東京都板橋区)は25日、アルツハイマー病の新薬レカネマブ(商品名レケンビ)の治療を、都内の50歳代女性に行ったと発表した。大阪公立大病院(大阪市)でも21日に50歳代男性に投与したことがわかった。20日に新薬の保険診療が可能になり、認知症診療の拠点病院で治療が始まった。

レカネマブは、日本の製薬企業エーザイなどが開発。アルツハイマー病患者の脳内に蓄積する異常なたんぱく質アミロイド βベータ を取り除くことで、認知症の進行を遅らせる効果が初めて認められた薬だ。ただし、低下した認知機能を戻す効果はなく、対象は早期の患者に限られる。

 都内の女性は、昨年秋に早期のアルツハイマー病と診断された。脳内のアミロイドβの蓄積も検査で確認された。

 25日は午前9時半過ぎから1時間余りかけて点滴を受けた。今後も2週間ごとに通院、点滴する。定期的にMRI(磁気共鳴画像)検査も受け、脳内に微小出血などの副作用が起きていないか確認する。

 同センターの岩田淳副院長によると、年明け以降、早期アルツハイマー病と診断されている数人に投与する予定だ。

 大阪公立大病院では、21日に、若年性認知症外来に通っていた50歳代男性に投与した。同病院の脳神経内科によると、事前に、画像診断に当たる放射線科や看護部などと副作用対策の検討会を開くなどし、投与に向けた準備を進めてきた。3月末までに数人に投与するとしている。

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