【第36回】スネデカーは「超ナイスガイ」!
2020年06月15日 公開世界のトッププレーヤーが集結する米ツアーに、ついに辿り着いた若き選手たちの中には、鼻高々で生意気な態度を取る者も時折り見受けられる
生涯4度目の腰の手術から戦線復帰したタイガー・ウッズが昨年9月に復活優勝を遂げ、通算80勝目をマークして大いに盛り上がっているアメリカ・プロゴルフ界。2019年はウッズのさらなる優勝、そしてメジャー15勝目に期待が集まっている。
そんなウッズはもちろんのこと、華々しい舞台で戦う欧米ツアー選手たちの大半が、実は社会貢献活動に非常に熱心に取り組んでいることをご存じだろうか。
世界のトッププレーヤーたちは、なぜ社会貢献活動に力を入れるのか。「朝日新聞」「新潮社フォーサイト」「ALBA」「Number」など数々のメディアに連載を持つゴルフジャーナリストの舩越園子氏が、在米26年の見聞に基づき、その理由を解き明かしていく。
講師 舩越 園子
フリーライター
東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。
百貨店、広告代理店勤務を経て1989年にフリーライターとして独立。93年渡米。
在米ゴルフジャーナリストとして新聞、雑誌、ウエブサイト等への執筆に加え、講演やテレビ、ラジオにも活動の範囲を広げている。
『王者たちの素顔』(実業之日本社)、『ゴルフの森』(楓書店)、『松山英樹の朴訥力』(東邦出版)など著書訳書多数。
アトランタ、フロリダ、NY、ロサンゼルスを経て、現在は日本が拠点。
世界のトッププレーヤーが集結する米ツアーに、ついに辿り着いた若き選手たちの中には、鼻高々で生意気な態度を取る者も時折り見受けられる
新型コロナウイルス感染拡大の影響で大勢の人々が自粛生活を送っている今、ビジネスに従事する人々はオンライン会議で仕事を進め、アーチストや音楽家はオンライン・コンサートで人々に勇気や元気をもたらしてくれている。
米女子ツアーのLPGAでプレーしている42歳の米国人選手、アンジェラ・スタンフォードをご存じだろうか。テキサス州フォートワースで生まれ育ったスタンフォードは、ジュニア時代に数々のタイトルを獲得し、テキサス・クリスチャン大学を経て、2000年にプロ転向した。
今年2月。オーストラリアのメルボルンでユニークなプロゴルフ大会が開催された。男子の欧州ツアーと女子の米ツアー(LPGA)の共催大会「ISPSハンダ・ビック・オープン」。男女が同じコース上でプレーする形式はプロゴルフ界で初めての試みとあって、大きな注目を集めていた。
「天才少女、現る」――そんな見出しが全米のメディアで踊った。全米各地で行なわれた地方予選に挑み、大勢の大人のプロゴルファーやトップアマチュアたちを抑えて女子ゴルフの最高峰の舞台に上がったプレッセルは、堂々たるプレーぶりで予選通過を果たし、4日間を見事に戦い抜いて世界の注目を集めた。
かつて、アメリカの女子ゴルフ界で長年、女王の座に君臨していたのはスウェーデン出身のアニカ・ソレンスタムだった。そして、ソレンスタムの引退後、女王の座を引き継いだのはメキシコ出身のロレーナ・オチョアだった。
米ツアーの新シーズン開幕第3戦、「セイフウエイ・オープン」を制し、通算2勝目を挙げたキャメロン・チャンプの優勝物語は、父親や祖父を想う家族愛の話であり、その背景には、アメリカという国が辿ってきた歴史の裏側の悲しい事実があった。
日本ではIR(カジノを含む統合型リゾート)の誘致や建設が横浜や大阪、福岡など各地で物議を醸している。その良し悪しや是非については、私はまったくの門外漢だが、アメリカでは米PGAツアーの取材でさまざまな州へ赴くたびに、大型カジノの建物やきらびやかなサインが視界に飛び込んできた。
ブルックス・ケプカは「メジャー男」と呼ばれている。それもそのはず、2017年の夏以降、わずか3年足らずの間に次々にメジャー4勝を挙げたのだから、メジャー優勝に迫っては惜敗している「メジャータイトル無きグッドプレーヤー」たちからすれば、まさに妬ましいほど羨ましい勝ち方を遂げている。
米PGAツアーで9年目を迎えているブレンダン・スチールは現在36歳。米ゴルフ界においても、世界においても、決してその名を轟かせるような華々しいスター選手ではない。平たく言えば、地味な選手だが、米ツアー通算3勝を誇る実力派だ。
2020年の東京五輪ではゴルフ競技が霞が関CCで行なわれる予定になっており、今年のマスターズを制してメジャー通算15勝目を挙げたタイガー・ウッズも「是非とも参加したい」と積極的な姿勢を見せている。
米国人選手のダスティン・ジョンソンが屈指のロングヒッターであることは、ゴルフ好きなら誰もが知るところであろう。2016年全米オープンを制したジョンソンは現在34歳。米ツアー通算20勝を挙げ、世界ナンバー1にも昇り詰めたスター選手である。
ジェイソン・デイは2015年の全米プロを制したメジャー覇者。米ツアー通算12勝を誇り、世界一に輝いた実績もある。だが、彼がそんな光り輝く世界に到達するまでには壮絶な日々があった。そして、辛酸を舐めた人だからこそ、その後の彼は誰よりも優しい。
オハイオ州ダブリンの名門、ミュアフィールド・ビレッジで開催される米PGAツアーのメモリアル・トーナメントは、ゴルフ界の「帝王」ジャック・ニクラスがホストを務める大会だ。1976年の創設以来、数々の名勝負が歴史に刻まれ、ニクラス自身も2度、勝利を挙げた。松山英樹が2014年に初優勝を飾った大会として記憶している日本人ファンは多いことだろう。
あれは2015年の初夏だった。米マサチューセッツ州の6歳の男の子が1日に100ホールをプレーするチャリティゴルフをたった1人で行ない、大きな話題になった。
米PGAツアーにケビン・キスナーという34歳の中堅選手がいる。2011年にツアーデビューした当時は、彼の名前を初めて耳にした関係者やファンの大半が、「えっ?ケビン・コスナー?」と思わず聞き返していた。
「類は友を呼ぶ」という言葉がある。その通り、米ゴルフツアーで仲良くしている選手たちを眺めていると、なるほど。類は友を呼ぶものなんだなあと頷かされる場面に頻繁に出会うから面白い。
今年の全英オープンを制したイタリア人のフランチェスコ・モリナリは、12歳のとき、テレビ観戦した1995年の全英オープンで母国の英雄コンスタンチノ・ロッカが米国の当時のスター、ジョン・デーリーに惜敗した姿を眺め、「いつか自分がイタリア国旗を揚げてみせる」と心に誓ったそうだ。
今でこそ、欧米ツアーの選手やキャディ、関係者の間では「社会貢献をしてこそ一流」という考え方が根付き、広まっている。初優勝したらビッグな優勝賞金で自分自身の財団を設立してチャリティ活動を行なうことは当たり前になっている。
29歳のアメリカ人選手であるファウラーと36歳だったオーストラリア人選手のライルが、互いを「親友」と思い合うほど深い親交があったことは、ほとんど知られていなかった。