【第57回】救った子供が未来を救う、だからこそ救いたい
2022年03月15日 公開29歳のアメリカ人、ダニエル・カンといえば、米LPGAのスター選手の1人だ。今年1月の米女子ツアー開幕戦、トーナメント・オブ・チャンピオンズで最終日に4つスコアを伸ばして逆転優勝を飾り、2年ぶり、通算6勝目を挙げたばかり。現在、世界ランキングは6位に付けている。
生涯4度目の腰の手術から戦線復帰したタイガー・ウッズが昨年9月に復活優勝を遂げ、通算80勝目をマークして大いに盛り上がっているアメリカ・プロゴルフ界。2019年はウッズのさらなる優勝、そしてメジャー15勝目に期待が集まっている。
そんなウッズはもちろんのこと、華々しい舞台で戦う欧米ツアー選手たちの大半が、実は社会貢献活動に非常に熱心に取り組んでいることをご存じだろうか。
世界のトッププレーヤーたちは、なぜ社会貢献活動に力を入れるのか。「朝日新聞」「新潮社フォーサイト」「ALBA」「Number」など数々のメディアに連載を持つゴルフジャーナリストの舩越園子氏が、在米26年の見聞に基づき、その理由を解き明かしていく。
講師 舩越 園子
ゴルフジャーナリスト
東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。
百貨店、広告代理店勤務を経て1989年にフリーライターとして独立。93年渡米。
在米ゴルフジャーナリストとして新聞、雑誌、ウエブサイト等への執筆に加え、講演やテレビ、ラジオにも活動の範囲を広げている。
『王者たちの素顔』(実業之日本社)、『ゴルフの森』(楓書店)、『松山英樹の朴訥力』(東邦出版)など著書訳書多数。
アトランタ、フロリダ、NY、ロサンゼルスを経て、現在は日本が拠点。
29歳のアメリカ人、ダニエル・カンといえば、米LPGAのスター選手の1人だ。今年1月の米女子ツアー開幕戦、トーナメント・オブ・チャンピオンズで最終日に4つスコアを伸ばして逆転優勝を飾り、2年ぶり、通算6勝目を挙げたばかり。現在、世界ランキングは6位に付けている。
昨夏に開催された東京五輪・女子ゴルフで日本の稲見萌寧とのプレーオフに破れ、銅メダリストになったニュージーランドのリディア・コーが、表彰式でもメダリスト会見でも終始、穏やかな笑顔だったことが、昨日のことのように思い出される。
2022年の年明けを世界ランキング1位で迎えたのは、スペイン出身のジョン・ラームだった。2021年終盤には、王座が何度か脅かされそうにもなったのだが、結局、ラームは1位を守り通し、4月に誕生した長男ケパくん、愛妻ケリーとともに幸せいっぱいでニューイヤーを迎えた。
メキシコ出身の女子プロゴルファー、マリア・ファッシと言われて、すぐさま名前と顔が一致する方は、かなりのゴルフ通だけかもしれない。しかし、霞ヶ関カンツリー俱楽部で開催された東京五輪女子ゴルフの初日と2日目に、日本の稲見萌寧と同組で回り、ミニスカート姿でかっ飛ばしていたロングヒッターと言われたら、「ああ、あのスラリとして陽気そうな選手のこと?」と思い出すゴルフファンは多いのではないだろうか。
米男子ツアーは早くも9月から新しいシーズンが始まっている。その開幕第2戦、サンダーソン・ファームズ選手権で25歳の米国人、サム・バーンズが勝利し、通算2勝目を達成した。
パトリック・カントレーという選手をご存じだろうか。コロナ禍で2つのシーズンが統合された2020-2021年シーズンの終盤から、突然、スポットライトを浴び始めた29歳のアメリカ人選手だ。以前は、あまり目立たない存在だったが、昨季は2020年10月のZOZOチャンピオンシップを制すると、2021年6月のメモリアル・トーナメントでも優勝。
米国で長年の人気を博している女子プロゴルファー、レクシー・トンプソンは、日本のゴルフファンの間でもお馴染みの存在だ。ただ最近は「少々苦戦している」という印象があるように思う。
3年前の春。世界選手権のWGCメキシコ選手権で、インド出身のまったく無名の21歳(当時)、シュバンカル・シャルマという選手が2日目も3日目も単独首位に立ち、大きな注目を集めた。
今年の全米オープンはスペイン出身の26歳、ジョン・ラームが大混戦を制してメジャー初優勝を挙げ、大いに盛り上がった。難コースのトーリー・パインズでは初日からスター選手たちによる熱戦が繰り広げられ、文字通り、最後の最後まで誰が勝つかわからない接戦だったが、2日目が終わったとき、リーダーボードの最上段にあったのは見慣れない名前だった。
ブライソン・デシャンボーといえば、1日にステーキを中心とした食事6食を平らげ、プロテイン・ドリンク6杯を飲み、体重を30ポンド以上も増やし、そうやって肉体を巨大化して飛距離アップを実現した米ツアー選手だ
米PGAツアーで戦う選手たちの中で、大学でアートを専攻してプロになったのは、私が知る限りでは、ルーク・ドナルド、ただ一人だ。英国出身のドナルドは、イリノイ州シカゴにあるノース・ウエスタン大学へ留学し、大好きなアートを学びながら、ゴルフ部で腕を磨いた。
セルジオ・ガルシアと言えば、2017年にマスターズを見事に制したメジャー・チャンピオンだが、かつて「神童」「天才」と呼ばれていた彼が、メジャーを制覇するまでの道程は、あまりにも長く、そして険しかった。
スティーブ・ストリッカーという米国人選手がいる。すでに53歳でシニア入りしているが、米ツアー通算12勝を誇り、メジャー4大会では何度も優勝争いに絡んだ。2010年には世界ランキング2位まで上昇し、世界一の王座ににじり寄ったが、そのとき世界ナンバー1だったタイガー・ウッズとはことさらに仲良しだった。
1年前。2020年の年明けにハワイで開催された米ツアーの新年初戦、セントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズでヤングプレーヤーたちが優勝争いを演じていた。 コリン・モリカワ、マシュー・ウルフといった期待の若者たちとともに、一番明るい笑顔を輝かせていたのは、ホアキン・ニーマンだった。
ローリー・マキロイと言えば、ゴルフファンの誰もが知る世界のトッププレーヤーだ。北アイルランド出身で現在31歳。すでにメジャー4勝を含む米ツアー通算18勝、欧州や世界でも8勝を挙げ、米ツアー年間王者や世界ランキング1位にも輝くなど目覚ましい実績を築き上げている。
1999年の全英オープン覇者であるスコットランド出身のポール・ローリーが、51歳になった今年、レギュラーツアーからの引退を表明すると、米メディアから発信された記事には、こんな見出しが躍った。「ノー・ファン(観客は無し)、ノー・ファンファーレ(ファンファーレも無し)」
「僕の両親はブルーカラー出身で、毎日、長時間労働で、身を粉にして働いて働いて、僕ら兄弟3人を育ててくれた。貧しい生活だったけど、僕にゴルフをさせてくれた」
「今こそ、恩返しのときだ」ハウエルは、そう言って、あるチャリティ活動を始めたことを明かしたが、それは単に今年がツアー歴20年の節目の年だからというだけの理由ではない。
米ツアーの最終戦、ツアー選手権の開幕前日には、毎年、会場のイーストレイクGCでペイン・スチュワート・アワードの表彰式が行なわれる。古くからのゴルフファンはご存じだと思うが、優しく楽しい人柄ゆえに誰からも愛されていたスチュワートは、1999年10月、飛行機事故で突然、この世を去った
新型コロナウイルス感染拡大の影響で3月半ばから休止状態に陥っていた米ツアーは、米国の主要なスポーツの先陣を切って、6月11日から再開された。