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2024.10.07 13:56:07

市販薬「オーバードーズ」、薬局・ドラッグストアの2割が目的確認せず複数販売…厚労省が対策強化へ

 若者を中心に市販薬のオーバードーズ(過剰摂取)による健康被害が問題となる中、全国の薬局やドラッグストアの2割が、乱用の恐れがある市販薬を複数個販売する際、法令で定めた購入目的などを確認していないとする調査結果を厚生労働省がまとめた。厚労省は確認の徹底を求め、対策の強化を図る方針だ。

 厚労省は依存性のある6成分を含む風邪薬などの市販薬について、医薬品医療機器法の省令などで販売する数や方法を規制している。1人原則1個とし、複数個を購入する人には理由を確かめる。中高生ら若年者は個数を問わず氏名と年齢の確認も義務付けている。

 調査は2023年11月~24年3月に実施。委託業者の調査員が全国の薬局やドラッグストアなど1256店で対象の市販薬の複数個購入を試み対応を調べた。

 その結果、240店(19%)では質問などを受けず購入。残りは適切に対応しており、611店(49%)では1個しか購入できず、405店(32%)では必要な理由を伝えて購入できた。

 また、インターネット販売についても調べると、140サイトのうち25サイト(18%)では確認がなく複数購入できた。

 オーバードーズにより意識がもうろうとしたり、呼吸が苦しくなったりして救急搬送される事例が各地で報告されている。厚労省は、乱用の恐れがある市販薬について20歳未満には、容量の大きな製品や複数個の販売を禁じるなどの新たな規制を検討している。

2024.10.04 13:20:31

ALS新薬を承認、従来薬より生存期間延長の可能性…11月下旬にも公的医療保険適用

 厚生労働省は、全身の筋肉が衰える難病の筋 萎縮
(いしゅく)
性側索硬化症(ALS)の新薬の製造販売を承認した。従来の薬より生存期間を延ばせる可能性がある。ALSの治療薬としては9年半ぶりの承認で、11月下旬にも公的医療保険が適用される見込み。

 ALSは、運動に関わる神経細胞が失われ、筋肉が動かなくなる。発症から3~5年で呼吸が難しくなる。国内の患者は約1万2000人と推計されている。

 新薬は、製薬大手エーザイが開発した注射薬「ロゼバラミン」(商品名)で、主成分のビタミンB12は、末梢神経を修復する作用がある。週2回注射で投与する。治験を行った徳島大の梶龍児特任教授(脳神経内科)によると、発症後1年以内の患者に投与した結果、会話や歩行など身体機能の低下を抑制できた。生存期間や人工呼吸器を装着するまでの期間を約500~600日延ばせた可能性があるという。

 これまで、人工呼吸器の装着前の生存期間を3か月ほど延ばす薬と、身体機能の低下を抑える可能性がある薬が使われてきたが、効果は限定的とされる。患者や家族でつくる日本ALS協会は「治療の選択肢が広がることは喜ばしい」としている。

2024.10.02 13:36:17

認知症 タイプ別で3番目に多い「レビー小体型」の特徴は?…パーキンソン病と似た症状が出ることも

 認知症といえば「アルツハイマー型」が知られていますが、「レビー小体型」と呼ばれるタイプもあります。幻覚や運動障害などが特徴的な病気です。症状が多岐にわたるため、どの治療を優先するのか、医師と患者の意思の疎通が特に重要になります。(竹井陽平)

 異常なたんぱく質が集まってできた「レビー小体」と呼ばれる物質が大脳の広範囲にたまることで、発症すると考えられています。精神科医の小阪憲司さんがこの病気を発見し、1976年以降に論文で報告しました。

 70~80歳代に多く、女性よりも男性の方がやや多い傾向にあります。長寿医学研究所などが亡くなった人の脳を調べた研究では、レビー小体型は、認知症のタイプ別でアルツハイマー型、血管性に次いで3番目に多いことがわかりました。レビー小体が大脳と脊髄をつなぐ脳幹にたまると、体の硬直や運動障害を招く「パーキンソン病」になることが知られています。

 患者の7~8割にみられるのが存在しない人がはっきり見えるなどの幻覚で、「部屋で知らない子どもが遊んでいる」「亡くなった妻がいる」などと訴えます。

 時間の経過に伴い、認知機能が上下するのも特徴です。朝は家族と普通に会話をしていたのに、夕方になると相手が誰かわからなくなることも起こります。

 歩く速度が遅くなり、つまずきやすくなることもあります。パーキンソン病と同様に、脳からの指令を筋肉に伝える神経伝達物質のドーパミンを作る細胞が減少するためです。転倒による骨折で寝たきりになると、さらに症状が進むので注意が必要です。「パーキンソン症状」と呼ばれています。

 このほかに、寝ている時に大声を上げたり暴れたりする睡眠障害や、気分がひどく落ち込む「抑うつ症状」、自律神経の障害による便秘や尿失禁などもよくみられます。

 症状がみられたら、日本認知症学会や日本老年精神医学会の専門医を参考に医療機関を探し、早期に受診することが大切です。一度たまったレビー小体の除去は困難で根本治療はありません。それぞれの症状に対する治療を行い、生活の質を上げることが大切です。

治療に優先順位

 ある症状の治療が別の症状を悪化させる可能性があります。例えば、神経伝達物質・アセチルコリンが不足して起こる「認知機能障害」や「精神症状」の幻覚を治療しようとアセチルコリンを増やす薬を投与すると、「自律神経障害」の尿失禁や、パーキンソン症状に悪影響を与えます。パーキンソン症状を治療するためにドーパミンを増やすと、精神症状などの悪化を招くことがあります。

 そのため、どの症状を優先的に治療していくのか、主治医は患者のニーズを考える必要があります。

 しかし、近畿大や大阪大などの研究では「患者が治療してほしい症状」と「主治医が考える患者が治療を望む症状」が一致する割合は、50%ほどでした。8割の患者が何を困っているのかを答えられるのに、医師側の思い込みで軽視された場合があると考えられています。近畿大教授(精神神経科)の橋本 まもる さんは「どの症状の治療を優先したいのか、患者自身と家族もきちんと伝えてください」と話しています。

2024.10.01 15:07:39

東工大・東京医科歯科大が統合、「東京科学大学」発足…学生「研究分野広がるのはメリット」

 東京工業大学と東京医科歯科大学が統合して1日、東京科学大学が発足した。研究力や国際性などが国内最高水準である「指定国立大学法人」同士の統合は初めて。科学大は理工学と医歯学との「医工連携」で、新しい研究分野の開拓を掲げる。

 1日午前、科学大の大岡山キャンパス(東京都目黒区)では、新大学名の銘板にかぶせられていた「東京工業大学」の表示が外され、真新しい「東京科学大学」がお目見えした。

 新銘板の前で友人と記念撮影をしていた情報理工学院(学部・大学院に相当)1年の鈴木 日向ひなた さん(19)は「東京工業大の名前がなくなったのはさみしいが、研究できる分野が広がったのは大きなメリット。医療とAI(人工知能)の組み合わせなどに挑戦してみたい」と話した。

 一方、旧医歯大の湯島キャンパス(東京都文京区)に通う医学部2年の野呂 静流しずる さん(20)は「科学大発足という歴史的瞬間を学生として迎えられてうれしい。医工連携で、より多くの命を救えるようになると期待している」と話した。

 科学大は、東工大の理、工など6学院と、医歯大の医、歯学部で、学生約1万3000人が学ぶ。

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