神奈川県厚木市の県立障害者支援施設「愛名やまゆり園」で職員による虐待が相次ぎ、検証を進めていた第三者委員会は10日、中間報告書を発表した。約10年前から虐待の疑いがある行為が計38件確認され、虐待を受けた利用者は11人、虐待を行った職員は9人とし、「虐待が常態化していた」と指摘した。
発表によると、虐待は2014年頃から昨年まで続き、▽「ハンマーチャンス」と呼んで利用者の頭やくるぶしを木づちなどでたたく▽「 盃 チャレンジ」と称して利用者に大量の水分を取らせる▽ダイエットや運動と称し、廊下を走らせたり、スクワットをさせたりする――などの行為が確認された。
ほかにも、職員が菓子をボウルに山盛りにして「これから餌付けだからよ」などと発言したり、「死ねよ」「能なし」と暴言をはいたりしていた。他の職員が笑いながら見ていることもあった。
幹部職員は、虐待の疑いが出ても事実確認を行わず、該当職員を異動させるだけにとどめ、問題視する職員に対しては懲戒処分を示唆する威嚇を行っていたといい、報告書は「組織全体に 隠蔽 体質が 蔓延 していた」と指摘した。
施設を巡っては昨年11月、男性職員が20歳代の入所者に暴行を加え、右足骨折の重傷を負わせる傷害事件が発生。運営する社会福祉法人「かながわ共同会」からの委託を受け、弁護士ら7人でつくる第三者委が1~9月、職員らへのヒアリングなどを行っていた。