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2024.10.24 10:59:45

夏に流行する手足口病、季節外れの感染拡大…専門家「7月までと種類が変わった可能性」

 主に子どもの間で夏に流行する手足口病が季節外れの感染拡大を続けている。国立感染症研究所の発表によると、13日までの1週間に全国約3000の小児科定点医療機関から報告された患者数は、1医療機関あたり10・78人で、同時期では過去最多となった。

 感染研によると、例年は7月下旬頃に流行のピークを迎える。今年は7月8~14日に、過去最多の2019年の13・44人に迫る13・34人となった後、減少していたが、8月中旬から再び増加傾向になっていた。都道府県別では、愛媛県が28・25人で最も多く、山形県が26・61人、富山県が25・25人で続き、41都府県で警報基準の5人を超えた。

 手足口病は、 飛沫ひまつ などに含まれるウイルスに感染することで、手足や口の中に発疹ができる。患者は2歳以下の幼児が半数を占め、多くは軽症だが、まれに脳炎などの合併症を起こす。ワクチンや治療薬はなく、せっけんを使ったこまめな手洗いが予防に効果的だ。

長崎大の森内浩幸教授(小児科)は「現在流行中のウイルスは、7月までのものと種類が変わった可能性がある。過去にかかった人でも2度目の感染に注意を」と呼びかけている。

2024.10.24 10:54:35

心臓移植、「余命1か月以内・60歳未満」最優先に…厚労省が患者の選定基準見直しへ

 厚生労働省は23日、脳死者から提供された心臓の移植を受ける患者の選定基準を見直し、余命が1か月と予測される60歳未満の患者を最優先とする方針を決めた。待機中に病状が悪化して亡くなるケースを減らす狙いがある。同日の臓器移植委員会で、提案が了承された。来年にも運用が始まる見通しだ。

 脳死者から提供された臓器の移植については、日本臓器移植ネットワーク(JOT)が心臓、肺、肝臓、 膵臓すいぞう 、小腸、腎臓の6臓器ごとに決められた基準を踏まえて、移植を待つ患者の優先順位を決定。上位から、患者が登録する移植施設に臓器の受け入れを要請する。

 心臓の現行基準は、待機期間が長い患者が移植を受けやすくなっている。これに対し、日本心臓移植学会などが救命のため緊急性の高い患者を優先するよう要望。厚労省は「緊急に心臓移植を行わないと短期に死亡が予測される病態で、余命1か月以内の60歳未満の患者」を最優先とする案をまとめた。

 小腸などの基準も見直す。小腸では、臓器提供者が18歳未満の場合に、18歳未満の患者の優先度を高め、体格に合ったあっせんをスムーズに行えるようにする。別の病気で治療中などの理由で当面、移植を受けられない患者を一時的にあっせん対象から外す仕組みも設ける。

 さらに、肝臓、小腸、膵臓の3臓器同時移植も、条件付きで認める。

2024.10.22 15:53:37

投票所での氏名「読み上げ確認」やめる自治体が増加…有権者のプライバシーに配慮

 選挙の投票所を訪れた有権者の本人確認をする際、係員による氏名の読み上げを取りやめる自治体が増えている。不特定多数の人が集まる場で自身の氏名を明かされることを嫌がる人もいるためで、有権者のプライバシーに配慮する狙いがある。(石井一秋)

 公職選挙法は選挙人名簿に登録されていない者は投票できないと定めており、各自治体の選挙管理委員会は、有権者の入場整理券の氏名や住所を選挙人名簿と照合して、本人かどうか確認する。誤って他の家族の整理券を持参する人もいるため、氏名の読み上げが広く行われてきた。

 しかし、東京都武蔵野市選挙管理委員会は今回の衆院選(27日投開票)から、読み上げを希望しない有権者の氏名は呼ばず、係員が整理券に印字された氏名を指さし、「ご本人様で間違いありませんね」と質問する方式に変更した。整理券に、読み上げを希望しない場合はチェックを入れる欄を設けた。市選管の担当者は「読み上げに不快感を示す有権者がいたことから導入を決めた。読み上げをしなくても、きちんと本人確認はできる」と話す。

 世田谷区選管は2022年の参院選から、心と体の性が一致しない「トランスジェンダー」への配慮から、同様の取り組みをしている。区議から「社会的には別の性別を生き、通名で通していることも多いトランスジェンダーにとって、実名の暴露は生活基盤を失いかねない死活問題」との指摘があったことがきっかけだ。

 今年7月の都知事選の当日投票所では読み上げを希望しない有権者が1465人に上ったという。区選管の担当者は「トランスジェンダーに限らず、氏名を呼ばれて不快に思う人は少なからずいる。誰もが投票しやすい環境を目指したい」と話す。

 このほか、足立区選管と港区選管は、氏名の読み上げを完全にやめ、有権者全員に整理券記載の氏名を指さすなどして本人確認している。

 性的少数者を支援する認定NPO法人「虹色ダイバーシティ」の村木真紀代表は「近所の住民が来る投票所では、名前を読み上げられたくないトランスジェンダーもいる。パーティションで囲ったスペースを設けるなど、人目を気にせず本人確認できるようにしてほしい」と話した。

2024.10.21 19:24:28

「病院船」運用へ本格準備、民間カーフェリーで実動訓練…大規模災害時に海上から医療アプローチ

 政府は来年度から、医療機材や病床を備えた「病院船」の運用に乗り出す。震災など大規模災害が発生した際、入院患者の搬送やけが人らの治療を担い、現地の病院を支援する。当面は民間のカーフェリーを活用する方針で、今月には実動訓練を行い、実用化に向けた準備を本格化させた。

 内閣官房によると、病院船は被災地近くの港に接岸し、現地の病院の入院患者を離れた地域に移送したり、軽傷者らを船内で治療したりして、陸上の医療機能を補完する役割を持つ。手術室がないことなどから、重傷者には対応できない。

 米国では、1000床のベッドを備える海軍の病院船「マーシー」が、2004年のインドネシア・スマトラ島沖地震で出動した。新型コロナウイルスの流行時には、肺炎以外の患者の療養に使われた。

 国内では、1995年の阪神・淡路大震災以降、導入が議論された。その後、東日本大震災など災害が相次いだことを受け、病院船の活用を定めた「災害時船舶活用医療提供体制整備推進法」が2021年6月、議員立法で成立した。

 同法には病院船を保有することが定められたが、20年度の試算では、500床規模を新造すると約430億円かかる。このため、将来的な保有を前提に、まずは民間のカーフェリーを借りて運用し、必要な機材や設備などを見極める。

 運用を担う内閣府が複数の船舶会社に協力を要請。災害時に使用料を支払ってカーフェリーを借りることを想定している。船には日本赤十字社の医師らが乗り込み、日赤の医療機材を持ち込む。普段は車を止めるスペースに並べたテントや客室を病床とする。

 今月14日には、北海道・室蘭港で実動訓練が行われた。「DMAT」(災害派遣医療チーム)などに所属する約30人の医療従事者が参加し、フェリーに救急車が乗り入れる流れなどを確認した。結果を踏まえ、政府は、年度内に出動や活動の手順をまとめる。

 能登半島地震のように、港の地盤が隆起して座礁の恐れがある場合は接岸できず、活動できないケースもある。厚生労働省内には、巨額の建造費をかけ、病院船を保有することを懸念する声も出ている。

 災害時の医療に詳しい日赤の災害医療統括監の丸山嘉一医師は「島国の日本では、海上からのアプローチは有効だ。今後、想定される南海トラフ地震などへの備えを強化する上でも導入の意義は大きい。ただ、出動回数が見通せないため、保有については、平時にも有効活用できる方法などの議論を尽くす必要がある」と指摘する。

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