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2025.03.14 11:38:49

投資会社の担当者から「女の人生狂わせたい」…女性起業家の半数超がセクハラ被害、声上げられず

 女性起業家に対するセクハラが後を絶たない。投資家から被害を受けるケースが多いが、出資してもらう立場から声を上げにくいのが実情だ。経営者である起業家をハラスメントから守る法整備を求め、被害者らで作る当事者団体は来週中にも国に要望書を提出する方針だ。(西村魁)

「我慢するしか……」

 「投資側との関係性を考えると、我慢するしかなかった」。横浜市で会社を経営する20歳代女性は、自身のセクハラ被害を振り返り、唇をかんだ。

 AI(人工知能)を活用したサービスを開発・提供する会社を設立した約2年前、投資会社の男性担当者から「起業のお祝い」と食事に誘われた。イタリア料理店で仕事の話をした後、男性は急に「女の人生を狂わせたい」「金を巻き上げて支配したい」などと発言。不快だったが、業務に支障を来さないよう言い返すことができなかった。

 知り合いの男性起業家に相談したものの、「投資してもらったんでしょ」と取り合ってもらえなかった。悩んだ女性は適応障害を発症。誠実な取引先など周囲の支えで立ち直ったが、女性は「セクハラを受けても我慢を強いられるのであれば、他の人に起業など勧められない」と感じている。

半数以上が被害

 起業や経営などに関する研究・教育機関「アイリーニ・マネジメント・スクール」(東京)は2024年、スタートアップ(新興企業)の起業家や役員ら計197人(うち女性153人)を対象に調査を実施。全体では41・1%が直近1年間にセクハラを受けたと回答し、女性起業家(105人)に絞ると52・4%に上った。

 加害者は「投資家や投資会社の担当者」が最も多く、内容としては「愛人にならないか」などの「不適切な発言や質問」が目立った。一方で、約8割が「人間関係が壊れるのが怖い」などの理由から、被害を周囲に相談していなかった。

 調査に関わった同機関の 柏野尊徳かしのたかのり さん(40)は「起業には投資家に頼らざるを得ない場合も多く、力関係が出やすい。被害者が投資打ち切りなどの報復を恐れ、泣き寝入りを強いられることも少なくない」と語る。

法整備求める

 総務省が22年に行った調査では、起業家全体のうち女性は103万人で22・3%。政府は第5次男女共同参画基本計画で、25年に女性割合を30%以上にする目標を掲げており、今後、増加する見通しだ。

 これ以上の被害を防ごうと、セクハラを受けた経験のある起業家らは昨年10月、当事者団体「スタートアップユニオン」を設立し、対策強化に向けて動き出した。

 セクハラを防ぐ法律としては現在、企業にハラスメント防止措置の実施を義務づけた男女雇用機会均等法があるが、保護対象は会社が雇用する労働者のみだ。同団体は経営者である起業家にも法的保護が必要だと訴えており、来週中にも福岡厚生労働相らに提出する要望書では、公的な相談窓口の設置など環境整備を推進するよう求めるという。

 早稲田大の水町勇一郎教授(労働法)は「人格権を侵害するハラスメントは誰に対してでも許されるものではない。起業家を直接守ることができるような実効性のある未然防止策が何より重要で、法の保護対象を広げる必要がある」と話す。

2025.03.14 11:02:42

オンラインカジノ対策、ネット強制遮断を検討…自民はカジノサイト誘導禁止へ調整

 政府・与党は、オンラインカジノを利用させないための対策強化の議論に乗り出している。総務省は、カジノサイトへの接続を強制的に遮断する「ブロッキング」などの検討を進めているほか、自民党もカジノサイトへの誘導行為を禁止する議員立法の今国会での実現を目指している。

 総務省は、通信事業者がネット利用者の接続先を調べ、特定サイトへの接続を遮断する「ブロッキング」などの抑止策について、有識者らを交えて検討を始める方針だ。2月28日の国会答弁で、同省の大村真一・電気通信事業部長は「早急に検討を開始できるように進めたい」と述べた。

 ブロッキングは、ネット利用者の同意なく通信を検知するため、電気通信事業法が禁じる「通信の秘密の侵害」につながるとの慎重論もある。ただ、ブロッキングは現在、児童ポルノサイトに対しては実施されており、政府は児童の人権侵害を防ぐための「緊急避難」の措置に該当するとの立場を取っている。オンラインカジノに適用する場合は、遮断する必要性を示す根拠や、実施の範囲などが焦点となりそうだ。

 自民党は13日、治安・テロ・サイバー犯罪対策調査会などの合同会議を開き、カジノサイトに誘導するネット上の行為の規制を優先する方針を確認した。

 海外のカジノサイトを国内から利用する行為は刑法上で違法性が明確な一方、サイトに誘導する広告をSNSなどに掲載したり投稿したりする行為は必ずしも違法性が明確ではなく、「抜け穴」と指摘される。自民は、ギャンブル等依存症対策基本法を改正して禁止する方向で調整しており、各党に賛同を呼びかけ、今国会での法改正を図る構えだ。同調査会の高市早苗会長は会合で、「非常に深刻な事態で、我が国の威信をかけて解決しなければならない」と語った。

2025.03.11 13:53:20

「木の実」の食物アレルギー増加、カシューナッツ表示義務化へ…意識障害など重篤な症例も

 くるみやカシューナッツといった「木の実類」が原因の食物アレルギー疾患を持つ人が近年、増えている。木の実類は菓子に使われることも多く、摂取した子供が重篤な症状に陥った事例も報告されている。消費者庁は2025年度中に、アレルギー表示が義務付けられる食品の対象にカシューナッツを加え、事業者らへの周知を図る方針だ。

 同庁が23年に行った食物アレルギーによる健康被害の実態調査では、原因となった食べ物のうち、木の実類は24・6%で、鶏卵(26・7%)に次いで2番目に多かった。14年の調査ではわずか3%程度だったが、健康志向の高まりでナッツ類を食べる機会が増えたことが要因と考えられ、約10年で大幅に割合が増加した。

 国は、摂取した際にアレルギー症状を起こす症例が多い食品などを「特定原材料」として指定し、アレルギー表示を義務付けている。現在は木の実類のくるみのほか、卵(鶏卵)、エビ、カニ、落花生などの計8品目が対象になっている。

 木の実類は砕かれた状態でケーキやアイスなどの菓子や総菜に使われることも多い。木の実類が入っているという認識がないまま食べてしまう事例もあるとみられ、特に子供では、意識障害などの重篤な症例に陥ってしまうケースが増えている。

 現在、アレルギー表示が推奨される品目に位置づけているカシューナッツについて同庁は、25年度中にもアレルギー表示の義務付け対象にすることを決めた。カシューナッツは、3~17歳がアレルギーになった原因食品の上位にあることや、17年に82件だった症例数が、23年には279件になるなど、「症例数の増加が著しい」と判断した。また、同様に症例数の増加が見られる木の実類のピスタチオも、アレルギー表示が推奨される品目に新たに加える見通しだ。

 同庁は、事業者が食品にアレルギー表示をしていなかったり、ラベルの貼り間違えをしたりする事例も多いとして、「食べた人に重篤な影響を及ぼす可能性があるので、事業者は表示のチェックに一層注意してほしい」としている。

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