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2024.03.22 15:47:11

遺伝子改変のブタの腎臓、世界で初めて患者に移植…専門家「機能し続けるか注視」

 米マサチューセッツ総合病院は21日、遺伝子改変したブタの腎臓を末期腎不全の患者に移植する世界初の手術に成功したと発表した。患者は順調に回復しており、近く退院する予定だ。(ワシントン支局 冨山優介)

 動物の臓器を移植する治療法は「異種移植」と呼ばれ、臓器提供者不足の解決につながると期待されている。2022年には米メリーランド大でブタの心臓を使った世界初の異種移植が行われたが、患者は2か月後に死亡した。

 同病院によると、患者は62歳の男性。糖尿病と高血圧を長年患い、18年に人の腎臓の移植手術を受けたが、約5年後に腎不全の症状を示すようになり、人工透析を再開していた。

 同病院は、他の治療法がない場合などに認められる試験的な治療として、米食品医薬品局(FDA)から承認を受け、男性の同意を得て手術を実施した。手術は今月16日に実施され、約4時間に及んだ。

 移植したブタの腎臓は米バイオ企業イージェネシスが提供した。患者の体内で拒絶反応やウイルス感染が起きにくいように計69か所の遺伝子を改変している。

 男性は病院を通じ、「自分だけでなく、生きるために移植を必要とする多くの人々に希望を与えるものだ」との声明を出した。執刀チームの河合達郎・同病院臨床移植寛容センター長は取材に「長年、透析を受けている患者らの福音となることを願っている」とコメントした。

 日本でもイージェネシス社から細胞の提供を受けた遺伝子改変ブタが誕生しており、数年内にブタの腎臓や心臓の異種移植を目指す計画が進んでいる。

 愛知医科大の小林孝彰教授(移植外科)の話「移植した腎臓が3か月後、6か月後も機能し続けているかどうかが重要で、引き続き状況を注視したい」

2024.03.21 11:38:51

大麻摘発が過去最多の6482人…20代以下で全体の7割超、若年層での蔓延が深刻化

 昨年1年間に全国の警察が大麻事件で摘発した人数が過去最多の6482人(前年比1140人増)に上り、記録が残る1958年以降で初めて覚醒剤事件の摘発者数を上回ったことが21日、警察庁のまとめでわかった。10歳代も初めて1000人を超え、同庁は若年層で大麻の 蔓延(まんえん) が深刻化しているとみている。

 発表によると、年代別では、20歳代が3545人(同692人増)、10歳代が1222人(同310人増)と20歳代以下だけで全体の73・5%を占めた。続いて30歳代が974人(同43人増)だった。

 10歳代の摘発は、年々増加しており、2014年の80人から約15倍になった。低年齢化が加速しており、高校生は前年比約1・4倍の214人、中学生も同約2倍の21人だった。

 警察庁が昨年10~11月、大麻の単純所持容疑で摘発した1060人を対象にした調査では、初めての大麻使用年齢は「20歳未満」が52・5%に上り、17年に行った同様の調査の36・4%から約16ポイント上昇していた。

 動機はどの年代も「好奇心・興味本位」が最多で、入手先を知った方法は20歳未満の半数が「インターネット経由」だった。利用したツールはX(旧ツイッター)が約9割だった。

 昨年の大麻の末端価格は1グラム5000円で、同6万6000円の覚醒剤の13分の1程度。16歳を境に摘発が増える傾向があり、警察庁は「入手が容易になり、有害性の認識も低くなっている」とみて、高校生を対象に啓発活動を強化する。

 一方、昨年1年間に覚醒剤事件で摘発された人数は5914人(前年比210人減)だった。16年以降減少が続いていたが、覚醒剤の押収量は1342・9キロ(同1053・9キロ増)と増加した。外国人による営利目的の密売が目立つ。

2024.03.15 18:32:13

コロナ助言機関、3月末で廃止…感染状況改善受け「使命を終えた」

 厚生労働省は、新型コロナウイルスの感染状況を分析してきた助言機関を3月末で廃止する。医療・公衆衛生分野などの専門家15人で構成し、開催回数は計124回に上った。昨年5月に新型コロナが感染症法上の5類となり、医療 逼迫(ひっぱく) につながる感染拡大も起きていないことから、通常体制に移行する。最後に武見厚労相との懇談会を3月下旬に開く予定だ。

 正式名称は「新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード」で、座長の脇田隆字・国立感染症研究所長、尾身茂・結核予防会理事長らがメンバーとなっている。

 国内で感染者が初めて確認されてから約3週間後の2020年2月7日に初会合が開かれた。感染状況や医療提供体制を評価し、デルタ株やオミクロン株など次々と現れた新たな変異株の特徴を分析。科学的根拠(エビデンス)に基づく感染対策を提示したり、感染症法上の位置づけ見直しに向けた見解をまとめたりしてきた。

 ピーク時には毎週開催されたが、第9波が起きていた昨年8月4日を最後に招集されていなかった。

 厚労省は今後、感染状況の分析などが必要になった場合、感染症全般を取り扱う感染症部会で議論してもらう。致死率が大きく上昇した変異株が出現したときは、速やかに新たな助言機関を発足させる方針だ。

 メンバーの一人は「最新の情報を収集し、効果的な感染対策を示すなど大きな意義のある会合だったが、使命を終えた」と話した。

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