人口戦略会議が24日に公表した報告書で、秋田県内は秋田市を除く24自治体が、最終的に消滅する可能性が高い「消滅可能性自治体」と分析された。前回2014年の同様の分析と比べると、同市が消滅可能性自治体から脱した一方、新たに大潟村が加わった。関係者らは改めて危機感を共有し、対策に取り組む意向を示した。
「非常に危機的な状況は変わっていない。人口減少を前提としながら、生活基盤をどう残すか、対策することが必要だ」。佐竹知事は同日夕方、県庁で報道陣の取材にこう語った。そのうえで、「消滅」という言葉については、「市町村、住民の皆さんに不安を与える表現だ」といぶかった。
分析では、若年女性(20~39歳)の減少率の推計は、秋田市が42%と県内で唯一5割を下回ったが、残る24自治体は最大で77・4%に達するなど上回った。消滅可能性自治体の割合は9割超で、秋田県が47都道府県でワーストとなった。
秋田市の穂積志市長は「雇用創出や子育てしやすい環境づくりなど、各種施策の展開から改善されたものと認識している」との談話を出した。同市の人口は昨年11月に30万人を割り込んだことから、「将来にわたって持続可能な『選ばれるまち』を目指し、人口減少対策に全力を挙げて取り組む」とした。
大潟村は、若年女性人口が前回の15・2%増から一転、58%減となり、落ち込み幅は全国一となった。高橋浩人村長は、「前回があまりにも高く出すぎた。今回の方が実態に即していると思う」と受け止めた。
減少率が77・4%で県内ワーストだった男鹿市の鈴木健・総務企画部長は「非常に厳しい結果。若い女性が働く場所が少ないなど様々な要因があるが、給食費や保育料の無償化といった子育て支援策などを進め、少しでも減少に歯止めをかけたい」と話した。
女性活躍推進を担当する県の丹治純子理事は「危機感はあるが、県の社会減は改善傾向にある。社会減をゼロやプラスにするのは難しく、緩和させていくのが目標」と語る。また、「秋田の自治会活動では、メインは男性、女性はお茶くみなど性別で役割が決まっていると聞く。女性からは、挑戦したいのにそうした環境がないとの声が聞かれる。こうした固定観念が女性の人口流出にもつながっているのではないか」と話した。
7月にも90万人割れ
県は24日、4月1日現在の人口が前月比4381人減の90万2060人となったと発表した。
県調査統計課が公表した「県の人口と世帯」(4月1日現在)によると、3月は県外への転出者が転入者を上回る「社会減」が3109人だった。例年3月は転勤や進学で社会減が拡大する傾向にあり、2月の社会減(165人)から大幅に悪化した。死亡数が出生数を上回る「自然減」は、1272人だった。
昨年の人口減少数は4月が304人、5月が982人、6月が1016人。昨年と同様のペースで人口減が続くと、県人口は7月に90万人を割り込むことになる。