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2024.05.21 18:30:30

出生届と出生証明書、スマホで提出可能に…8月にも一部の自治体でスタート

 政府は、子どもが生まれた時に提出が必要な出生届と出生証明書について、自治体の窓口に行かなくてもスマートフォンなどから入力してオンラインで提出できる仕組みを整える。8月にも省令改正し、一部の自治体で始まる見通しだ。2026年度中に全国での導入を目指す。

 出生届と出生証明書は通常、一枚の用紙となっており、出生日から14日以内に市区町村に提出しなければならない。現行でも制度上はオンラインでの提出が可能だが、その場合は出生証明書に医師の電子署名が必要となるため、実施している自治体がなかった。

 政府は段階的にオンライン化を進める。まず法務省は8月にも戸籍法施行規則を改正し、医師の電子署名を不要とする。デジタル庁もマイナンバーカードの専用サイト「マイナポータル」を改修し、医療機関が作成した出生証明書をスマホなどで撮影して画像添付できるようにする。これを受け、一部の自治体が実施に踏み切る見込みだ。

 26年度からは、マイナポータルと法務省の「戸籍情報連携システム」をつなげ、小規模な自治体でも実施しやすい仕組みを導入する。親はマイナポータルで出生届の入力・提出のみを行い、出生証明書は医療機関から直接自治体に電子データで送信できるようにする。導入した自治体では、手入力で情報をデータ化していた作業が不要となり、職員の負担も軽減される。

 こども家庭庁が23年に実施した調査によると、妊娠や出産手続きで負担軽減を求める意見のうち、2割が出生届に関するもので、「出産直後に役所まで書類を持っていくのが大変」などの声が出ていた。

 政府は昨年度から一部の自治体で、妊婦や乳幼児の健診に必要な問診票をデジタル化しており、26年度から全国展開する。保育所に入るための見学予約や入所申請なども、26年度からオンラインで簡単に手続きできるシステムを整備する。

 総務省によると、マイナカードの保有率は4月末時点で73・7%。政府はマイナカードを持ち歩かなくてもいいように、スマホに機能を搭載し、スマホのみで手続きできるサービスの拡充を図っている。

2024.05.20 10:30:08

医療機器への半導体供給確保へ…経産省、メーカーの訴訟リスク懸念解消へ知識普及

 経済産業省は、医療機器に欠かせない半導体や電子部品の調達対策に乗り出す。近年の半導体不足に加え、医療事故による訴訟リスクを懸念して半導体メーカーが供給を拒むケースがあるためだ。医療レベルが低下しないよう、半導体メーカーなどに正しい知識を広め、供給を確保する。

 半導体は、内視鏡の画像処理や人工呼吸器の制御など多くの医療機器に使われている。一方、経産省が2022年度に行った調査(医療機器メーカー57社が回答)では、半導体や電子部品の供給を断られた事例が計15件(重複あり)に上った。コロナ禍で医療機器メーカーが、人工呼吸器やPCR検査装置を病院に十分供給できなかったこともあったという。

 医療事故が発生した場合に訴訟を起こされたり、責任を問われたりすることへの懸念が背景にある。また自動車などに比べ、医療機器業界では半導体の使用量が少ないため、供給が後回しにされている実態もある。

 経産省は近く、半導体メーカー向けに、医療機器メーカーへの安定供給を求める冊子を公表する。21年までの10年間で、医療機器の製造物責任に関する訴訟は4件あったが、他産業より少なく、部品メーカーの責任が認められた事例はないと紹介し、医療機器に関する法律上の責任の所在についても説明する。

 このほか、契約書のひな型を公開し、損害賠償の上限額や責任範囲の制限を設け、リスクを低減する方法も周知する。

2024.05.17 12:43:04

iPS細胞から卵子や精子など作る研究、8割が「期待」…生まれつきの病気や不妊症の原因解明に

 iPS細胞(人工多能性幹細胞)やES細胞(胚性幹細胞)から卵子や精子などを作って活用する研究について、「期待する」との回答が8割に上ったことが、一般市民を対象にした内閣府の調査で明らかになった。

 iPS細胞などから卵子や精子、受精卵に似た構造を作って研究に利用する技術が急速に発展している。こうした研究を「強く期待する」と回答した人は18・6%、「どちらかというと期待する」は58・6%に上った。期待する理由(複数回答可)として、「生まれつきの病気の原因解明」(62・9%)や「不妊症の原因解明」(56・6%)などが上位を占めた。

 ただ、iPS細胞やES細胞を「ある程度知っていた」とした人は1割で、9割は聞いたことがある程度か、知らなかった。

 iPS細胞由来の卵子や精子を受精させる研究は現在認められておらず、受精卵に似た構造を作る研究は、国内ルールがまだ整備されていない。政府の生命倫理専門調査会が、一定の規制の下で研究を容認する方向で議論している。

 アンケートは内閣府が委託したコンサルティング会社がインターネットを通じて1月に実施し、一般市民3095人が回答した。

2024.05.15 22:34:03

国内の腎細胞がん患者の7割に、日本人特有の遺伝子変異…未知の発がん要因から発症か

 国内の腎細胞がん患者の7割に、日本人特有の遺伝子変異のパターンがあるとする研究成果を国立がん研究センターなどの国際研究チームが14日、発表した。未知の発がん要因で引き起こされている可能性が高いという。世界11か国の約960人を対象にゲノム(全遺伝情報)を網羅的に調べる「全ゲノム解析」の結果で判明した。論文は、科学誌「ネイチャー」に掲載された。

 腎細胞がんは、尿をつくる細胞にできるがんで、腎臓がんの8~9割を占める。チームは、腎細胞がんで最も多い「淡明細胞型」について、日本人36人を含む962人のがん細胞から、発症を招く遺伝子変異のパターンを調べた。

 その結果、「SBS12」というパターンが、日本人患者の72%で検出されたのに対し、海外の患者では2%程度だった。このパターンの要因は、加齢や喫煙、肥満などすでに知られている発がんのリスクとは異なるとみている。

 同センター研究所の柴田龍弘・がんゲノミクス研究分野長は「今後、日本人特有のパターンを招く要因を解明することで、予防や治療薬の開発につなげたい」と話している。

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