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2024.05.17 12:43:04

iPS細胞から卵子や精子など作る研究、8割が「期待」…生まれつきの病気や不妊症の原因解明に

 iPS細胞(人工多能性幹細胞)やES細胞(胚性幹細胞)から卵子や精子などを作って活用する研究について、「期待する」との回答が8割に上ったことが、一般市民を対象にした内閣府の調査で明らかになった。

 iPS細胞などから卵子や精子、受精卵に似た構造を作って研究に利用する技術が急速に発展している。こうした研究を「強く期待する」と回答した人は18・6%、「どちらかというと期待する」は58・6%に上った。期待する理由(複数回答可)として、「生まれつきの病気の原因解明」(62・9%)や「不妊症の原因解明」(56・6%)などが上位を占めた。

 ただ、iPS細胞やES細胞を「ある程度知っていた」とした人は1割で、9割は聞いたことがある程度か、知らなかった。

 iPS細胞由来の卵子や精子を受精させる研究は現在認められておらず、受精卵に似た構造を作る研究は、国内ルールがまだ整備されていない。政府の生命倫理専門調査会が、一定の規制の下で研究を容認する方向で議論している。

 アンケートは内閣府が委託したコンサルティング会社がインターネットを通じて1月に実施し、一般市民3095人が回答した。

2024.05.15 22:34:03

国内の腎細胞がん患者の7割に、日本人特有の遺伝子変異…未知の発がん要因から発症か

 国内の腎細胞がん患者の7割に、日本人特有の遺伝子変異のパターンがあるとする研究成果を国立がん研究センターなどの国際研究チームが14日、発表した。未知の発がん要因で引き起こされている可能性が高いという。世界11か国の約960人を対象にゲノム(全遺伝情報)を網羅的に調べる「全ゲノム解析」の結果で判明した。論文は、科学誌「ネイチャー」に掲載された。

 腎細胞がんは、尿をつくる細胞にできるがんで、腎臓がんの8~9割を占める。チームは、腎細胞がんで最も多い「淡明細胞型」について、日本人36人を含む962人のがん細胞から、発症を招く遺伝子変異のパターンを調べた。

 その結果、「SBS12」というパターンが、日本人患者の72%で検出されたのに対し、海外の患者では2%程度だった。このパターンの要因は、加齢や喫煙、肥満などすでに知られている発がんのリスクとは異なるとみている。

 同センター研究所の柴田龍弘・がんゲノミクス研究分野長は「今後、日本人特有のパターンを招く要因を解明することで、予防や治療薬の開発につなげたい」と話している。

2024.05.09 14:54:37

高齢者7人に1人が認知症へ、行方不明は10年で倍増…求められる見守りや活躍の場

 2040年に、高齢者の7人に1人が認知症になるとの推計結果が、8日に開かれた政府の「認知症施策推進関係者会議」で公表された。長寿社会では、誰もが認知症になりうる。住みなれた街で安心して暮らすための取り組みがさらに求められる。

 「認知症は軽度から重度まで様々だ。誰もが住みやすい共生社会作りに尽力したい」。会議に出席した当事者団体「日本認知症本人ワーキンググループ」の藤田和子代表理事は話した。

 今年1月施行の認知症基本法は、「共生社会の実現」を目的に、国や自治体の責務を定めている。自治体が支援策を作るのに際し、認知症の人や家族の意見を聞くことを努力義務とした。

 神奈川県大和市は同法に先駆け、21年9月に「認知症1万人時代条例」を施行した。本人や家族と市民が価値観を共有し、街づくりを行うことなどを理念に掲げた。認知症への理解を深めるシンポジウムに本人が参加したり、企業の製品開発に関わったりする取り組みの支援に力を入れる。

 認知症介護研究・研修東京センターの永田久美子副センター長によると、趣味や語学能力を発揮し、地域活動に参加する人もいる。「個性や能力を生かせるよう、行政が本人のしたいことをよく聞き、活躍の場を作ることが重要だ」と語る。

 認知症高齢者数の増加に伴い、行方不明になるケースも相次いでいる。警察庁のまとめによると、22年は延べ1万8709人。12年(9607人)から10年間で約2倍に上っており、地域の見守りが欠かせない。

 認知症の人と家族の会(京都市)の鎌田松代・代表理事は「同じ所を行ったり来たりして困った様子の高齢者を見かけたら、研修を受けたボランティア『認知症サポーター』を中心に、地域の人が声をかけてほしい」と話す。

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