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2024.12.05 15:01:48

移植希望者が施設を「複数」登録できる仕組みを今年度中に整備へ、厚労省が体制改革案を了承

 脳死者から提供された臓器を移植する施設が人員や病床の不足などで臓器の受け入れを断念している問題を巡り、厚生労働省の臓器移植委員会は5日午前、移植医療体制の改革案を了承した。移植希望者が移植を受ける施設を複数登録できる仕組みを今年度中に整備するほか、日本臓器移植ネットワーク(JOT)から臓器あっせん業務の一部を地域ごとに置く新設法人に移行する。

脳死下の臓器提供数の増加に伴い、移植施設の受け入れ態勢の 逼迫ひっぱく や、JOTの対応の遅れが指摘され、同委員会が包括的な改革の議論を7月から行ってきた。移植医療体制の抜本的な改革は、1997年の臓器移植法施行後初となる。

 移植施設の臓器受け入れ断念問題への対策として、移植希望者がJOTに登録できる施設数を現在の原則1か所から複数にする。施設を選ぶ手がかりにしてもらうため、施設ごとの待機患者数や移植実施数なども公表する。移植後の患者の生存率といった移植成績に関する情報については、関連学会で検討を進めるとして結論を持ち越した。

 臓器のあっせん業務を単独で担っているJOTから、臓器提供者(ドナー)家族への臓器提供についての説明や同意取得などを切り離し、臓器提供施設により近い法人に委ねる。委員からは「あっせん業務をスムーズに移行するための司令塔が必要」などの意見が出た。

 臓器提供の経験が浅い施設を支援する拠点施設を大阪府や北関東、甲信越などに設置する。

 また、厚労省は同日、9月に公表した臓器受け入れ断念の実態調査結果について集計を見直し、2023年に院内態勢が整わないことを理由として臓器の受け入れを断念したのは25施設から26施設に、移植が見送られた患者数は、のべ509人から803人に訂正すると発表した。

2024.12.04 15:54:09

都職員の「週休3日」実施へ、平日休みも可能にして育児との両立支援…週の勤務時間は変わらず

 東京都の小池知事は3日、都職員が「週休3日」を選択できる制度を来年4月から導入する考えを明らかにした。勤務時間を柔軟に選べる「フレックスタイム制」を活用し、毎週、平日休みを取得できるようにする。女性が子育てと仕事を両立しやすい働き方を都が示し、都内企業などに広げたい考えだ。

 この日開会した都議会第4回定例会の所信表明演説で制度導入を説明し、「出産や育児で自らのキャリアを諦めないよう、都庁の働き方を見直す」と述べ、女性が活躍できる環境づくりに意気込んだ。

 都によると、週休3日の対象は、短時間勤務や会計年度任用などを除く職員。都の現行制度では、土日祝日が休みの職員の場合、これらの休みに加えて4週間で1日、平日休みが取得できる。来年度からはフレックスタイム制の運用を変え、4週間で155時間の労働時間を確保すれば、週1日、平日に休みを取得できるようにする。例えば、月~木に1日10時間弱働けば、金曜も休みとなる。

 加えて小学3年までの子どもがいる職員には、始業時間を遅らせたり、終業時間を早めたりして、1日最大2時間の「部分休暇」を取れる制度も創設し、子育てしやすくする。

 働きやすい職場環境を実現するため、週休3日が可能な制度を導入する自治体は増えている。茨城県は今年4月、千葉県は6月に始めた。両県とも都と同様の制度で、千葉県では、1回でも週休3日を取得した職員は11月1日までに150人に上った。同県の担当者は「育児や介護など職員が抱える事情は様々なので、週休3日を利用することもできるようにした」と話した。

 このほか小池知事は所信表明で、少子化対策として、都立大塚病院(豊島区)で来年度から、不妊治療の体外受精と顕微授精を開始すると明らかにした。都立病院では初めてという。

 首都の防災強化にも言及した。能登半島地震での石川県輪島市の大規模火災を受け、都内の木造住宅密集地域の解消策をまとめた防災計画の基本方針案を年明けに、台風などに備えた河川の高潮対策方針を年度内にそれぞれ示す。小池知事は「都民の命、財産をしっかり守る」と語った。

 定例会は18日まで。10日に代表質問、11日に一般質問が行われる。

2024.12.03 19:23:42

高額療養費の自己負担、上限5~15%引き上げ案…保険料軽減狙い厚労省検討

 医療費が高額になった場合に患者の自己負担を一定額に抑える「高額療養費制度」を巡り、厚生労働省は自己負担の上限額の引き上げ幅を5~15%とする方向で検討に入った。受診控えにつながらないよう、低所得者の引き上げ幅は抑制する方針だ。4日の自民党社会保障制度調査会や、5日の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の医療保険部会で提示する。

 高額療養費制度は、1か月あたりの自己負担の上限額を超えた場合に超過額が払い戻される仕組み。現行制度では、医療費が月100万円かかった場合の自己負担額は、年収370万~770万円で約8万7000円、年収1160万円以上で約25万4000円となっている。

 11月の医療保険部会では「一定程度の引き上げ」を目指す方針が了承された。厚労省は引き上げ幅の検討を続けており、年末までに結論を得たい考えだ。

 上限額の引き上げには、現役世代の公的医療保険料の負担を軽減する狙いがある。現在、上限額は年収に応じ、70歳未満では五つ、70歳以上では六つに区分されているが、厚労省は区分も細分化する方針を示している。

 厚労省の試算によると、各区分で一律に5%引き上げた場合、1人当たりの保険料は年額600~3500円軽減される。15%引き上げた場合は、1200~5600円軽減される。厚労省は早ければ2025年夏に自己負担の上限を引き上げ、26年夏に区分の細分化にも取り組む考えだ。

 高齢化の進展や医療の高度化で、高額療養費の支給総額は12年度の2・1兆円から21年度には2・8兆円に膨らんだ。厚労省は、引き上げの理由として、賃上げなどを通じて世帯収入が増加していることや、物価上昇が続く中で現役世代を中心に保険料負担の軽減を求める声が多いことを挙げている。

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