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2024.08.01 13:36:58

小中学生の視力、外で遊ぶほど低下しにくく…パソコンなどモニター凝視も影響

 文部科学省が2021年度から3年にわたって行った小中学生の近視実態調査で、屋外で過ごす時間が長いほど視力が低下しにくいとの分析結果が出た。パソコンやタブレット端末の使用など、近距離でモニターを凝視することを長時間続ければ視力に影響することも浮かび上がった。

 調査は21~23年度、全国の小中学校29校に通う児童生徒について各年約8600~8900人を対象に実施。約5200人については3年間追跡して調べ、経年変化も分析した。文科省は7月31日に結果を公表した。

 視力は学年が上がるにつれて悪くなり、23年度調査では裸眼視力0・3未満の児童生徒の割合は、小学1年生では1%だったのに対し、中学3年生では32%にのぼった。特に近視は、小学校低学年で増える傾向にあり、1年生の12%から3年生には36%になっていた。

 視力と生活習慣との関係を分析すると、学校の休み時間に「いつも外に出る」児童生徒は、「ほとんど外に出ない」子どもに比べ視力低下のリスクが小さかった。授業や休み時間を除いた屋外活動が「90分以上120分未満」の児童生徒は、「30分未満」より視力が下がりにくかった。

 パソコンやタブレット端末の使用と関連付けた分析では、学校以外での使用時間が「120分以上」の場合は、「30分未満」に比べ、視力低下への影響が大きかった。読書や勉強でも同様の傾向がみられた。文科省は、〈1〉30センチ以上、目を離す〈2〉30分に1回は20秒以上、目を休める〈3〉背筋を伸ばし、姿勢を良くする――ことを呼びかける。

 パソコンやタブレット端末は、学習用端末として小中学校に1人1台配備されているが、今回、文科省は分析を校外での端末使用に限った。担当者は「今回は生活習慣に差が出る校外での行動を中心に調べた」としている。

2024.08.01 01:46:25

アルツハイマー病治療薬「ドナネマブ」製造販売を了承…厚労省部会、11月にも公的保険適用

 厚生労働省の専門家部会は1日、米製薬大手イーライリリーのアルツハイマー病治療薬「ドナネマブ」(商品名ケサンラ)について、製造販売の承認を了承した。病気の原因とされる物質を除去するタイプの薬では、日本の製薬大手エーザイなどが開発したレカネマブに次いで2例目。11月にも公的保険が適用される見込み。

 ドナネマブは、患者の脳内に蓄積する異常なたんぱく質「アミロイド βベータ (Aβ)」の塊を取り除き、病気の進行の抑制を図る。対象は、認知症の前段階となる軽度認知障害(MCI)の人を含むアルツハイマー病の早期の患者。点滴で月1回、最長1年半投与する。1年をめどに検査してAβの塊の消失が確認できれば投与をやめられる。

 約1700人が参加した最終段階の臨床試験では、認知機能などの低下を22%抑える効果が確認された。病状がより早期のグループでは35%の抑制効果があった。副作用として脳の微小出血や腫れがみられた。

 昨年8月、厚労省に承認申請が出され、米国では今年7月2日に承認されていた。米国での年間治療費は約3万2000ドル(約480万円)となっている。日本の薬価は厚労相の諮問機関、中央社会保険医療協議会で議論される見通し。

 レカネマブは昨年9月に国内で承認され、12月から保険診療で使われている。

2024.07.31 19:23:54

入学式で新入生の母親が心肺停止に、居合わせた看護師の保護者や教職員ら7人の連携で命救う

 今年4月、大阪府岸和田市立大芝小学校の入学式の最中に新入生の母親が倒れて、一時、心肺停止となった。緊迫した事態に、居合わせた看護師の保護者や教職員ら7人が力を合わせて救命措置を施し、母親は一命を取り留めた。市消防本部はその冷静で的確な対応を称賛。感謝状贈呈式で、無事に回復した母親が恩人たちに感謝の思いを伝えた。(松本慎平)

 市消防本部が感謝状を贈ったのはいずれも看護師の雪本弥生さん(37)、萩原未夢さん(37)、小川真理子さん(46)、宮瀬隆也さん(30)。そして会社員の原陽介さん(38)、大芝小教諭新田展央さん(50)、同小校務員小次功晃さん(53)。

 4月4日午前、大芝小体育館で、次女(7)の入学式に出席していた山内由起子さん(44)は突然意識を失い、椅子から崩れ落ちた。「バタン」という音で気づいた周囲の人たちが、一斉に動いた。

 原さんが119番をし、新田さんと小次さんは体育館の玄関に設置されたAED(自動体外式除細動器)を大急ぎで運んだ。看護師の4人は交代で、胸骨圧迫やAEDによる電気ショックを行った。その間、由起子さんの夫・健史さん(49)は妻の名前を呼び続けた。

 看護師でも突然の事態に対応することは簡単でなかったという。小川さんは「そばで協力してくれる人がいるだけでも違う」と振り返る。7人の他にも男性の出席者たちが上着を手に由起子さんを囲み、周りからの視線を遮る「パーティション」の役を担った。これによって手当てに集中できたという。

 原さんの通報から約6分後に救急車が到着。病院に向かう車中で、由起子さんは自発呼吸を回復した。翌日には集中治療室から一般病棟に移り、その後も短期間で回復し、後遺症の心配もなく退院した。

 倒れた原因は不整脈による心室細動だった。病院の医師は由起子さんに「自宅だったら亡くなっていたかもしれない」と告げるほど危険な状態だったという。6月の感謝状贈呈式で由起子さんは、「皆さまがいなければ、こうして生きていることはできなかった。助けていただいた命を大切に、これからも毎日笑顔で子どもたちの成長を見守っていける日々を大切に過ごしていきます」と話した。

導入進む映像通報システム

 今回のような事態に備えて各地の消防本部で、現場の人のスマートフォンとを映像でつなぎ、患者の状態を即座に把握できる映像通報システムの導入が進む。岸和田市消防本部も4月に導入したばかりで、原さんとは別に119番した人と連絡を取りながら現場に向かうことができた。

 同本部が運用する映像通報システム「Live119」では、スマホから通報が入ると、消防側が必要と判断した場合、通報者とビデオ通話を始めるためのURLを送信。患者を撮影してもらうほか、胸骨圧迫など救命措置の方法を説明する動画を消防側から送ることもできる。通信料は通報者が負担する。

 大阪府東大阪市や守口市門真市消防組合消防本部なども4月に映像通報システムの運用を開始。読売新聞が府内の24消防本部(局)に取材したところ、14消防本部が導入済みで、その管轄地域は31市町村に広がっていた。岸和田市消防本部の担当者は「救急車到着までの手当てによっても救命率は変わる。映像を使って助言するので救命措置に協力してほしい」と話した。

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