性的少数者(LGBT)のカップルを公的に認める都の「パートナーシップ宣誓制度」の利用者が、制度開始の2022年11月から今年7月末までに計1290組に達した。利用者には証明書が交付され、一部の行政サービスで夫婦と同等に扱われる。同様の制度を独自に設ける都内の自治体も増えている。
都人権部によると、証明書交付件数は、導入1か月の22年11月末時点で309組、23年3月末時点で654組、今年3月末時点は1139組だった。都はLGBTの支援団体を通じて制度をPRしており、当事者への周知が進んでいるとみている。
都の制度は、少なくとも一方が都内在住・在勤のLGBTの成人カップルが対象で、オンラインで申請できる。申請が認められると、「受理証明書」が交付され、証明書で家族向けの都営住宅に申し込めたり、都立病院で家族として診療の説明を受けたりできる。
一方、都のまとめでは、同様の制度を独自に設けている都内の自治体は今年4月1日現在、13区10市で、22年11月末から3区4市増えた。都と導入自治体は協定を結び、どちらかの証明書があれば双方のサービスを受けられるようにしている。独自制度がなくても都の証明書を利用できるようにしている自治体もある。また、生命保険や住宅ローンなどの分野で、証明書の利用を認める民間企業も増えている。
都はLGBTが働きやすい環境作りにも力を入れる。昨年11月には人事・採用担当者ら向けの情報発信サイトを開設した。都の担当者は「誰もが暮らしやすい社会の実現に向け、引き続き取り組みたい」と話す。
当事者の立場から都に制度創設を働きかけていた港区の会社員の女性(39)は「周りにも制度を利用している人がいて、認知が進んでいると感じる」と話す。一方、LGBTへの社会の理解や取り組みはまだまだだとし、「中小企業への働きかけや当事者から直接意見を聞いて施策に反映するなど、都はより力を入れてほしい」と訴えた。
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パートナーシップ制度を設けている都内の区市は次の通り(4月1日現在)。
港、文京、墨田、世田谷、渋谷、中野、杉並、豊島、北、荒川、板橋、足立、江戸川、武蔵野、三鷹、府中、調布、町田、小金井、日野、国分寺、国立、多摩