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2024.12.04 15:54:09

都職員の「週休3日」実施へ、平日休みも可能にして育児との両立支援…週の勤務時間は変わらず

 東京都の小池知事は3日、都職員が「週休3日」を選択できる制度を来年4月から導入する考えを明らかにした。勤務時間を柔軟に選べる「フレックスタイム制」を活用し、毎週、平日休みを取得できるようにする。女性が子育てと仕事を両立しやすい働き方を都が示し、都内企業などに広げたい考えだ。

 この日開会した都議会第4回定例会の所信表明演説で制度導入を説明し、「出産や育児で自らのキャリアを諦めないよう、都庁の働き方を見直す」と述べ、女性が活躍できる環境づくりに意気込んだ。

 都によると、週休3日の対象は、短時間勤務や会計年度任用などを除く職員。都の現行制度では、土日祝日が休みの職員の場合、これらの休みに加えて4週間で1日、平日休みが取得できる。来年度からはフレックスタイム制の運用を変え、4週間で155時間の労働時間を確保すれば、週1日、平日に休みを取得できるようにする。例えば、月~木に1日10時間弱働けば、金曜も休みとなる。

 加えて小学3年までの子どもがいる職員には、始業時間を遅らせたり、終業時間を早めたりして、1日最大2時間の「部分休暇」を取れる制度も創設し、子育てしやすくする。

 働きやすい職場環境を実現するため、週休3日が可能な制度を導入する自治体は増えている。茨城県は今年4月、千葉県は6月に始めた。両県とも都と同様の制度で、千葉県では、1回でも週休3日を取得した職員は11月1日までに150人に上った。同県の担当者は「育児や介護など職員が抱える事情は様々なので、週休3日を利用することもできるようにした」と話した。

 このほか小池知事は所信表明で、少子化対策として、都立大塚病院(豊島区)で来年度から、不妊治療の体外受精と顕微授精を開始すると明らかにした。都立病院では初めてという。

 首都の防災強化にも言及した。能登半島地震での石川県輪島市の大規模火災を受け、都内の木造住宅密集地域の解消策をまとめた防災計画の基本方針案を年明けに、台風などに備えた河川の高潮対策方針を年度内にそれぞれ示す。小池知事は「都民の命、財産をしっかり守る」と語った。

 定例会は18日まで。10日に代表質問、11日に一般質問が行われる。

2024.12.03 19:23:42

高額療養費の自己負担、上限5~15%引き上げ案…保険料軽減狙い厚労省検討

 医療費が高額になった場合に患者の自己負担を一定額に抑える「高額療養費制度」を巡り、厚生労働省は自己負担の上限額の引き上げ幅を5~15%とする方向で検討に入った。受診控えにつながらないよう、低所得者の引き上げ幅は抑制する方針だ。4日の自民党社会保障制度調査会や、5日の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の医療保険部会で提示する。

 高額療養費制度は、1か月あたりの自己負担の上限額を超えた場合に超過額が払い戻される仕組み。現行制度では、医療費が月100万円かかった場合の自己負担額は、年収370万~770万円で約8万7000円、年収1160万円以上で約25万4000円となっている。

 11月の医療保険部会では「一定程度の引き上げ」を目指す方針が了承された。厚労省は引き上げ幅の検討を続けており、年末までに結論を得たい考えだ。

 上限額の引き上げには、現役世代の公的医療保険料の負担を軽減する狙いがある。現在、上限額は年収に応じ、70歳未満では五つ、70歳以上では六つに区分されているが、厚労省は区分も細分化する方針を示している。

 厚労省の試算によると、各区分で一律に5%引き上げた場合、1人当たりの保険料は年額600~3500円軽減される。15%引き上げた場合は、1200~5600円軽減される。厚労省は早ければ2025年夏に自己負担の上限を引き上げ、26年夏に区分の細分化にも取り組む考えだ。

 高齢化の進展や医療の高度化で、高額療養費の支給総額は12年度の2・1兆円から21年度には2・8兆円に膨らんだ。厚労省は、引き上げの理由として、賃上げなどを通じて世帯収入が増加していることや、物価上昇が続く中で現役世代を中心に保険料負担の軽減を求める声が多いことを挙げている。

2024.12.03 17:19:27

「新しい認知症観」普及へ、基本計画を閣議決定…孤立解消し社会参加の機会増やす

 政府は3日、認知症施策推進基本計画を閣議決定した。認知症になっても、希望を持って暮らしていけるという「新しい認知症観」の普及を打ち出し、日常生活におけるバリアフリー化や、社会参加の機会を増やすなどの施策を掲げた。今後、自治体が当事者の声を踏まえて推進計画を作る。

 基本計画は今年1月に施行された認知症基本法に基づくもので、当事者や家族らで作る関係者会議でまとめられた。計画は2029年度までの5年間が対象。

 認知症になった人も、できることややりたいことがあり、住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けることができるという考え方を「新しい認知症観」として明記した。

 「認知症になると何も分からない、できなくなる」といった周囲の人などの誤解により、当事者の意思が十分に尊重されず、地域で孤立しがちな現状の改善につなげるのが狙いだ。

 具体的には、当事者の視点に立って12の基本的施策を推進するとした。バリアフリー化に向けては、認知症の人が便利に移動できる交通手段の整備や、使いやすい製品・サービスの開発を進める。

 社会参加の機会を増やすため、認知症の当事者同士で体験や思いを共有する「本人ミーティング」や、当事者が認知症と診断されて間もない人の相談に乗る「ピアサポート活動」を広げる。介護保険のデイサービスを利用しながら、地域で清掃などのボランティア活動に参加し、謝礼を受け取る仕組みの普及も盛り込んだ。

 また、重点的に取り組む目標として、国民の認知症への理解促進、本人の意思の尊重、地域の人と支え合いながら安心して暮らせる環境作り、研究で得られた新たな知見や技術の活用――の4項目を挙げた。

 認知症基本法は、都道府県と市区町村に対し、基本計画に沿って、認知症の人や家族の声を聞きながら推進計画を策定するよう努力義務を課している。政府は自治体向けに策定の手引を示したり、当事者の意見を聞くための会議の開催などにかかる費用を補助したりして、計画の策定を後押しする方針だ。

 政府がこうした共生社会の実現を急ぐのは、急速な高齢化に伴い、認知症高齢者が増えるからだ。

 厚生労働省研究班の推計では、22年に443万人だったが、25年には472万人、40年には584万人になる。40年には高齢者のおよそ7人に1人の割合で、認知症の前段階とされる軽度認知障害(MCI)の高齢者(613万人)を含めると、約1200万人となる。

2024.12.02 15:58:34

動物実験が難しいB型肝炎、マウスでの再現成功…感染マウスを使った実験で新薬候補も見つかる

 根治が難しいB型肝炎について、マウスでこの病気を再現することに成功したと、大阪大と国立国際医療研究センターなどのチームが発表した。原因ウイルスを減らす新薬候補も見つけており、現在、治験も計画中だ。論文が国際科学誌に掲載された。

 B型肝炎ウイルスは血液や体液を通じて感染。肝炎を発症させ、慢性化すると肝硬変や肝がんにつながる。国内では110万~140万人の感染者がいるとされる。

 根治を目指せるインターフェロン注射薬はあるが、副作用が強い上、一部の患者にしか効かない。また、症状を抑える内服薬はあるが、ウイルスが肝細胞の核の中に入り込んで居座るため、一生飲み続ける必要があった。

 よりよい新薬の開発が求められているが、このウイルスは人以外にほとんど感染しないため動物実験が難しいという課題があった。

 阪大の小玉尚宏助教、竹原徹郎教授らは遺伝子操作の技術を駆使し、B型肝炎ウイルスが持続感染した状態をマウスで再現することに成功。このマウスの免疫状態を調べると、免疫細胞の機能が低下してウイルスの増加を抑えられず、肝炎が慢性化していることがわかった。

 チームは住友ファーマなどが開発中の、免疫を活性化する薬剤に着目。マウスで効果を検証すると、免疫細胞の機能が回復して数が増え、血液中のウイルス量が4日間で10分の1に減った。人に応用できれば、一定期間の投薬で根治に持ち込める可能性があるという。

  熊本大の田中靖人教授(消化器内科学)の話 「マウスで実験ができるようになったことは有用だ。今回のような免疫に関する治療法と、ウイルスの遺伝子を標的にした治療法を併用できるようになれば、根治の可能性が広がるだろう」

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