NEWS

2025.01.24 19:08:30

「年収106万円の壁」撤廃明記、改革法案の概要を厚労省が自民に提示

 厚生労働省は24日午前、通常国会に提出する年金改革関連法案の概要を自民党に提示した。パートらが厚生年金に加入する「年収106万円の壁」を巡り、年収や企業規模の要件を撤廃する。年収798万円以上(賞与を除く)の会社員らが支払う厚生年金の保険料を最大で月約9000円増額することも盛り込んだ。

 党の社会保障制度調査会に示された概要では、パートら短時間労働者が厚生年金に加入する要件のうち、「月額賃金8万8000円(年収換算約106万円)以上」の要件を関連法の公布後、3年以内に撤廃すると明記した。「従業員51人以上」の企業規模要件は、2027年10月に「21人以上」に緩和し、29年10月に廃止する。「週20時間以上」の労働時間の要件は残す。

 年収798万円以上の会社員らの厚生年金の保険料は27年9月に、現在の月5万9475円から最大で約9000円増やす。

 働く高齢者の厚生年金を減額する「在職老齢年金」を巡っては、現在は給与と厚生年金の合計額が月50万円を超えると、超過した半分の厚生年金が支給されないが、26年4月からは合計額が月62万円までは厚生年金を満額で受け取れるようになる。

 厚生年金に加入する会社員らと死別した配偶者が受け取る「遺族厚生年金」は男女の格差をなくし、18歳未満の子どもがいない場合の給付期間を男女とも原則で一律5年間とする。65歳以上で子どもがいる厚生年金受給者に一定額を加算する制度では、現在は第3子以降で加算額が減らされるが、第2子までと第3子以降の加算額を年28万1700円で一律とする。

 厚生年金の積立金を活用した国民年金(基礎年金)の底上げ策や、パートら厚生年金の保険料について会社側の負担割合を増やせる特例は次回以降の議題とし、示されなかった。

2025.01.23 11:49:51

医療機関の倒産や休廃業、昨年最多786件…コロナ禍後の行動変化や物価高騰・経営者の高齢化で

 民間信用調査会社の帝国データバンクは22日、2024年に倒産や休廃業・解散した医療機関が786件で、比較可能な00年以降で最多だったと発表した。新型コロナウイルスの流行に伴う受診行動の変化や物価高騰などによる収入減のほか、経営者の高齢化などの影響としており、増加傾向が続くとみている。

 786件のうち倒産は64件、負債総額は282億4200万円だった。これまでの倒産件数の最多は09年の52件だった。

 倒産に至った主な理由は、「収入の減少」が41件(64%)を占めた。背景には、コロナ禍をきっかけに受診控えや受診先を見直す患者が増えたことや、コロナ関連の補助金の削減、医薬品や検査キットなど医療資材の高騰があると分析した。

 休廃業・解散に至った722件のうち診療所は587件と8割にのぼった。残りは歯科医院118件、病院17件だった。

 同社が全国の診療所の経営者約1万人の年齢を調べたところ70歳以上が54・6%だった。同社は「経営者の高齢化が進み、健康問題や死亡により、急速に診療所の廃業が増えていくだろう」としている。

2025.01.22 14:35:11

資生堂の偽化粧品を販売容疑で逮捕、中国から客に直送…「健康被害のおそれも」と注意呼びかけ

 資生堂の化粧品で人気ブランド「クレ・ド・ポー ボーテ」の偽物をインターネット上で販売したとして、大阪府警は、府内に住む男2人について、商標法違反と医薬品医療機器法違反の疑いで逮捕状を取った。22日、このうち1人を逮捕した。捜査関係者への取材でわかった。模倣品は中国から客に直送されていたといい、府警は、模倣品の違法販売が組織的に行われていた可能性もあるとみて調べる。

 捜査関係者によると、男らは昨年5~6月、同ブランドの化粧下地「ヴォワールコレクチュールn」の模倣品2点をネットで2人に販売した疑いがある。

 「クレ・ド・ポー ボーテ」は人気の高級化粧品ブランドで、模倣品は正規品(税込み7700円)より安く売られていた。健康被害は確認されていないという。

 資生堂はホームページで、同ブランドなどの模倣品が出回っているとし、「効能や安全性の保証は一切できない。健康被害を引き起こすおそれもある」と注意を呼びかけている。

 消費者庁によると、通販サイトやフリーマーケットサイトなどで化粧品の模倣品が販売されるケースが相次いでいる。本物より安価だが、購入者から「使ったら肌が痛み、赤くなった。返品もできなかった」などの相談が寄せられているという。

 同庁は「模倣品は衛生状態がよくない場所で作られていたり、粗悪な原料が使われたりしている可能性がある」と警告。担当者は「定価からかけ離れて安価で商品説明が不自然な場合などは注意してほしい」と話す。

2025.01.21 14:29:13

100歳以上が「全国平均の3倍」、丹後地域の秘密探る…高齢者100人のDNA解析へ

 京都府立医大は、100歳以上の高齢者(百寿者)の割合が全国平均の3倍に上る京都府北部の丹後地域で、高齢者の遺伝情報などから健康長寿の要因を探る研究を新たに始めると発表した。高齢者の血液からDNAを抽出して80万か所を解析し、生活習慣や運動機能などと照らし合わせて長く健康的に暮らせる 秘訣(ひけつ) に迫る。(矢沢寛茂)

 丹後地域(京丹後市、宮津市、伊根町、与謝野町)は人口10万人当たりの百寿者数(昨年9月現在)が平均約228人で、府全体の平均(83・59人)や全国平均(76・49人)を大きく上回っている。

 府立医大は2017年から京丹後市立弥栄病院と協力し、65歳以上の高齢者を対象に身体測定や食生活、血管年齢など約2000項目にわたって長寿に関わる要因を詳細に調査しており、これまで約1100人が協力してきた。

 今回の研究は、DNAの分析などを手がけるバイオ企業「レリクサ」(東京都)が協力。高齢者100人から健診や検査で得られた血液2ミリ・リットル分の提供を受け、抽出したDNAを解析する。

 DNAはメチル基という物質がくっつく「メチル化」が起こることで、遺伝子の働きが変化することが知られており、老化などとの関連が注目されている。研究ではメチル化を手がかりに、腸内細菌や 口腔こうくう の状態など過去の研究成果も踏まえながら、遺伝情報の違いが健康や長寿とどのように関連しているのかを追跡する。

 内藤裕二教授(生体免疫栄養学)は「これまで食べ物やライフスタイルなどによる影響を明らかにしてきたが、遺伝情報も生かし、10年、20年後の健康状態を高い信頼性で予測できるようにしたい」と意気込みを語った。

11

投稿はありません