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2024.08.13 17:51:16

出産診療報酬「50万円以内」、妊婦は自己負担ゼロ・現行一時金との差額支給も…政府検討

 政府は、出産費用への公的医療保険の適用を巡り、医療機関に支払われる診療報酬を原則として「50万円以内」とする方向で検討に入った。妊婦に対しては、通常の保険医療の場合にかかる3割の自己負担をゼロとすることに加え、50万円から出産費用を差し引いた額を一時金として支給することを検討している。

 出産費用への保険適用は、厚生労働省とこども家庭庁の有識者検討会が制度設計などの議論を進めており、2026年度の適用を念頭に、来春をめどに結論をまとめる予定だ。

 厚労省によると、正常 分娩ぶんべん の費用の全国平均は、22年度は48・2万円だった。現在は医療機関が独自に価格を設定しているため、地域差が大きいほか、人件費や物価の高騰の影響で値上がり傾向が続いている。

 保険適用は、全国一律に公定価格を決めることで出産費用の透明化を図り、これ以上の価格上昇に歯止めをかける狙いがある。政府は保険適用後の診療報酬について、現行制度で妊婦に支給される出産育児一時金(50万円)の範囲内に収め、保険財政が過度に圧迫されることを避ける必要があると判断した。

 一方、現場を担う産婦人科医からは、保険適用に伴う収入減で経営が苦しくなり、医療体制の維持が困難になるとの懸念が上がっている。産婦人科医の理解を得るため、政府内では、減収分を補助金で支援する案も出ている。

 また、政府は、保険の適用で妊婦の経済的負担がかえって増える事態とならないよう制度設計を進める考えだ。通常の保険医療の場合、患者は窓口で1~3割の自己負担分を払う必要があるが、出産費用は全額を保険でまかない、妊婦には自己負担を求めない。

 出産一時金の支給も一部存続する方向だ。現行の50万円の一時金は、出産費用が50万円を下回れば差額が妊婦の手元に残る仕組みで、家計にとっては出産だけでなく、育児費用に充てるための貴重な資金ともなっている。このため、保険適用後も、費用が50万円未満の場合は差額を一時金で支給し、制度変更の前後で不公平感が出ないよう配慮する。厚労省幹部は「保険適用は少子化対策の意味合いもあり、出産を後押しする制度にしたい」としている。

2024.08.08 12:18:55

統合で誕生する東京科学大、大学病院に「医療工学研究所」開設へ…「医工連携」研究の中核に

 東京工業大(益一哉学長)と東京医科歯科大(田中雄二郎学長)が統合し、10月1日に誕生する東京科学大が2025年度にも、「医療工学研究所」を大学病院内に開設する方針であることがわかった。科学大が掲げる「医工連携」研究の中核組織となる。

 科学大の初代理事長に就任予定の大竹尚登・東工大教授(60)が7日、読売新聞のインタビューに応じ、明らかにした。

 医療工学研究所は、現在の医科歯科大病院(東京都文京区)内に設けられる。医師や看護師らだけでなく、理工系の研究者も手術や患者のリハビリなどの現場に入り、製薬や電機など民間企業の技術者らとともに研究開発に取り組む計画だ。

 すでに両大学は医工連携の共同研究を開始しており、骨の形成を促す人工骨の開発や、人工知能(AI)を用いた画像診断システムの研究などが進んでいる。

 大竹氏は、学生教育でも医工連携を進めていくと強調した。来年4月から、学部の2年生以上を対象に「医歯理工融合プログラム」を開始。医療系の学生にロボットを制作させ、理工系の学生には医歯学の基礎を学ばせることなどを計画している。3年生からは最大6か月間、互いの分野の研究室で学ぶ機会も用意する。

 大竹氏は「学部の段階から複数の学問領域を学んで視野を広げ、多様な仲間と交流する経験を学生に積ませたい。異分野融合の研究を進め、日本の未来を切り開いていく大学を目指す」と話した。

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