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2024.04.04 18:06:15

男性育休取得率が都内で過去最高38・9%、期間も長期化…「産後パパ育休」制度が後押しか

 東京都内の事業所を対象に都が昨年行った従業員の育児休業に関する調査で、男性の育休取得率が38・9%に上り、2002年度の調査開始以来、最高を更新した。育休期間も前年度より長期化した。

 調査は昨年9月、都内2500事業所(従業員30人以上)とそこに勤務する男女5000人を対象に行い、622事業所と1133人から回答を得た。

 昨年3月までの1年間で配偶者が出産した男性は3116人で、このうち1212人が育休を取得した。取得率は前年(26・2%)から12・7ポイント上昇した。22年10月、子どもの出生後、8週間以内に父親が休みを最長4週間取得できる「産後パパ育休」制度が始まったことも取得率を押し上げたとみられる。

 取得期間は、「1か月以上3か月未満」(32・4%)が最多。次いで「3か月以上6か月未満」(14・4%)、「6か月以上1年未満」(11・7%)の順で多かった。前年も首位は「1か月以上3か月未満」だったが、2番目が「5日以上2週間未満」、3番目が「2週間以上1か月未満」で、取得期間が前年より延びる傾向がみられた。

 男性の育休取得の課題について、事業所と従業員それぞれに尋ねた質問(複数回答)では、労使ともに、「代替要員の確保が困難」が首位、「休業中の賃金補償」が2番目に多かった。ただ、3番目は、事業所の回答が「男性自身に育休を取る意識がない」だったのに対し、従業員は「職場がそのような雰囲気ではない」を挙げ、認識のずれがあることがわかった。

 都の担当者は「更なる育休取得率向上に向けて、引き続き育休を取りやすい職場環境作りを後押ししていきたい」としている。

2024.04.04 10:49:35

児童虐待の8割、性被害・DVの5割「相談しなかった」…警察庁「被害が潜在化の恐れ」

 児童虐待やドメスティックバイオレンス(DV)などの犯罪被害者の約4割が、警察や家族など誰にも相談をしていない実態が警察庁の調査でわかった。政府は犯罪被害者への支援を強化しており、警察庁は有識者検討会を設けて、対策の見直しを議論している。

 調査は、第4次犯罪被害者等基本計画(2021~25年度)に基づき、被害者が置かれた状況把握のために行われ、インターネットを通じて20歳以上の当事者819人から回答を得た。

 警察庁によると、被害に遭った際に「相談しなかった」人は、児童虐待で84%、性被害で51%、DVで51%に上った。ストーカー行為や交通事故、財産被害などを含む全体では44%だった。

 相談しなかった理由は「相談先がわからなかった」「何もしてくれないと思った」などが多かった。

 一方、被害者の80%は犯罪被害者等給付金や自治体からの見舞金などを受けていなかった。加害者側と損害賠償に関する訴訟や交渉などを行っていない人が88%で、加害者から賠償を受けた人は3%だった。

 警察庁の担当者は「被害が潜在化している恐れがあり、相談窓口の周知を図りたい」としている。

2024.04.02 15:57:44

がん治療薬オプジーボ、効く患者と効かない患者見分ける手法開発…「効果予測へ向けた重要な一歩」

 2018年にノーベル生理学・医学賞を受賞した本庶(ほんじょ)(たすく)・京都大特別教授や近畿大などのチームは、肺がんの大半を占める「非小細胞肺がん」に対し、本庶氏が開発に貢献したがん免疫治療薬「オプジーボ」が効く患者と効かない患者を見分ける手法を開発したと発表した。採血した血中たんぱく質から簡便に判定でき、早期の実用化を目指す。論文が2日、国際医学誌に掲載された。

 オプジーボは、がんを攻撃する免疫細胞の一種「T細胞」を活性化する一方、効果の出ない患者が一定数いるのが課題となっている。年間約12万6000人が発症する肺がんでは約2割の患者しか効かないという。

 チームの林秀敏・近畿大主任教授らは、薬が効くかどうかの鍵となる血中の「PD―L1」や「CTLA―4」などのたんぱく質に着目。非小細胞肺がんの患者50人の血液を、医療機器大手シスメックス(神戸市)が開発した検査機器で分析した結果、この2種類の濃度が低い人ほど、オプジーボの治療効果が高い傾向を示すことがわかった。

 従来、患者の肺から採取した組織のたんぱく質濃度を調べていたが、採血で検査できれば、体への負担が軽く、予測精度の向上も期待できるという。本庶氏は「がん免疫治療の効果予測へ向けた重要な一歩」とコメントしている。

 河上裕・国際医療福祉大教授(免疫学)の話「血液検査は便利で、実用化に向けて症例を積み重ね、予測精度を確認することが期待される」

2024.04.01 17:47:05

ウォーキングで脳梗塞や心筋梗塞リスク減…埼玉・毛呂山町が町民調査、糖尿病や中性脂肪数値も改善

 埼玉県毛呂山町に本部がある埼玉医科大は3月27日、町とともに2023年度に実施したウォーキング事業に関する結果報告会を開き、半年間参加した町民の脳
梗塞(こうそく)
や心筋梗塞のリスクが軽減したと明らかにした。町は新年度もこの事業を継続するとしている。

 事業には、町民56人(平均年齢69・5歳)が参加した。昨年6~11月の半年間、毎日8000歩以上を目標に散歩に取り組んだほか、椅子から立ち上がる筋力トレーニング(スクワット、各日計30回)を週3回行った。

 このうちの54人について、同大が実施前後に血液検査や体力測定を行った結果、平均体重が57・6キロ・グラムから57・0キロ・グラムに減少したほか、糖尿病の重症度を示す数値や中性脂肪の数値は下がり、善玉コレステロール値は上がり、それぞれ改善がみられた。瞬発力や持久力も向上していた。

 心筋梗塞や脳梗塞の発症リスクでは、事業開始前は「中リスク」と指摘された人が8人いたが、半年後には3人に減少し、その全員についても数値が改善していた。「低リスク」とされた町民でも数値の改善がみられたといい、同大は「ウォーキングでリスク軽減が図れることが示唆された」としている。

 一方、両下肢の筋肉量はやや減少していた。歩くうちに筋肉中のたんぱく質がエネルギー源として使われたことが原因とみられ、同大は散歩前におにぎりやバナナを食べて栄養補給をすることを勧めている。

 事業は町民の健康寿命を延ばそうと、町が同大と連携して実施した。責任者を務めた同大国際医療センターの高橋秀寿教授は「今回のような検査をウォーキングの効果判定に用いた研究は珍しく、貴重な研究成果が得られた」とコメント。同大は成果を日本リハビリテーション医学会にも報告する。事業に参加した同町のパート従業員(64)は報告会後、「ウォーキングを習慣化することができて良かった。今後も続けたい」と話していた。町は今年度も別の町民60人を対象に、この事業を継続するとしている。

2024.04.01 13:06:45

「医師の働き方改革」スタート、医療機関の6%が診療体制を縮小へ…厚労省「悪影響の可能性」

 勤務医の残業時間を規制する「医師の働き方改革」が1日、スタートした。これに先立ち、厚生労働省は、全国の医療機関の6・2%にあたる457施設が、診療体制の縮小を見込んでいるとする調査結果をまとめた。うち132施設は、自院の体制縮小が地域の医療提供体制に影響すると答えた。

 調査は昨年10月から、大学病院を除く病院や、 分娩ぶんべん を取り扱う産科の有床診療所を対象に実施し、先月13日までに7326施設から回答があった。体制縮小を見込む457施設のうち49施設では、大学病院などから派遣されている医師の引き揚げを要因として挙げた。

 調査結果が示された厚労省の検討会では、委員から「診療体制の縮小によって、いろいろな悪影響が起きる可能性がある。地域医療に与える影響について引き続き調査してほしい」との意見が出された。

 医師の働き方改革は2019年4月に施行された働き方改革関連法に基づくもので、勤務医の残業時間は原則として年960時間が上限となる。ただし、地域医療を担う病院の勤務医らは、例外的に年1860時間が上限となっている。

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