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2024.12.12 11:04:25

膵臓がんの早期発見へ、尿をAI解析…大学発のベンチャーが3年後の承認目指す

 尿に含まれる微小物質・マイクロRNAのデータをAI(人工知能)で解析することで、 膵臓(すいぞう) がんを高い精度で検出できたとする研究成果を、慶応大や名古屋大発のベンチャー企業「Craif(クライフ)」などのチームが発表した。クライフは、この仕組みを応用した検査キットについて3年後の製造販売の承認を目指し、臨床試験を進めている。論文が国際医学誌に掲載された。

 マイクロRNAは遺伝物質の断片で、がん細胞があると種類や量が変わるとされる。論文によると、膵臓がん患者と健康な人計462人分の尿を冷凍して集め、抽出したマイクロRNAの違いをAIに学習させて解析した。集めた尿のうち患者か健康の人かを伏せたグループで検証させたところ、77・8%の確率でがんを見つけることができ、がんではない人を正しく判定する確率は95・7%だった。

 現在の膵臓がんの検査では、がん細胞で多く作られるたんぱく質「腫瘍マーカー」が血液に含まれていないかを調べている。だが、早期のがんほど検出されにくい。臨床試験では、早期の患者や膵臓がんリスクの高い慢性 膵炎すいえん 、糖尿病の患者ら計800人から冷凍した尿を集め、腫瘍マーカーを上回る精度があるか検証する。

 マイクロRNAに詳しい落谷孝広・東京医科大特任教授の話「採血を要しない検査方法を確立できる可能性が示されたことは意義があるが、さらなる検証が必要だ」

2024.12.12 10:32:18

東京都が第1子保育料を無償化へ、来年9月から…小池百合子知事が表明

 東京都議会第4回定例会は10日、主要会派による代表質問が行われた。小池知事は都内在住の全世帯を対象に、来年9月から0~2歳の第1子保育料を無償化する方針を表明した。こども家庭庁によると、都道府県では初。今年7月の知事選での目玉公約を実行することになり、都内の子育て環境の充実を推進していく考えを改めて示した。

 第1子保育料は、国が3~5歳は全世帯、0~2歳は所得制限を設けて無償化している。都によると、新たな制度は、国の無償化の対象外となっている世帯について保育料負担をなくす。公立は都と区市町村が半額ずつ、私立は都が全額負担する方向で、今後、区市町村などと協議する。

 都は所得制限のない保育料の完全無償化を段階的に進めてきた。2019年10月に第3子以降、昨年10月に第2子で実現した。

 今回の制度がスタートすると、都内で子育てする家庭では、子どもの人数や所得にかかわらず、保育料の負担がなくなる。答弁に立った小池知事は、「少子化対策は一刻の猶予もない。手を緩めず、取り組みを進める」と意義を強調した。

 このほか都は、来年4月1日に防止条例が施行されるカスタマーハラスメント対策で、中小企業への支援を明らかにした。

 中小は大企業と比べ、相対的に経営体力が弱い。企業規模にかかわらず対策を取れるようにするため、予防や検証に効果がある録音・録画機器などを導入した中小に金銭支援を検討する。

2024.12.11 17:38:15

大阪城天守閣への石段42段、車いす担ぐサービス好評…エレベーター改修工事で

 大阪屈指の観光名所・大阪城(大阪市中央区)で、天守閣へのエレベーターの改修工事に伴い、車いすの利用者を人力で担ぎ上げ、石段を上るサービスが行われている。訪日外国人客にも好評だという。(土谷武嗣)

 1931年に再建された天守閣の前には42段の石段があり、車いすの利用者向けに97年にエレベーター1基が設置された。老朽化で改修工事をすることになり、天守閣を所有する大阪市が対策を検討。一帯は国特別史跡に指定されているため、スロープの設置が難しいことなどから、人力で担ぎ上げることにした。

 大阪城の指定管理者が事業者を公募し、障害者支援に取り組むNPO法人「ちゅうぶ」(同市東住吉区)が選ばれた。委託費は40日間で約370万円。

 工事が始まった11月5日から毎日、スタッフら6~4人が車いすを担ぎ上げ、バランスに注意しながら石段を数分で上り下りしている。利用は多い日で1日15人ほどになるといい、これまでに200人以上の登城を支援してきた。利用者の大半が訪日外国人客だという。

 オーストラリアから家族で訪れたリチャード・グローバーさん(57)は「サポートがなければ、せっかく天守閣まで来たのに帰るところだった。おかげで、展示された武具や最上階からの景色を楽しむことができた」と喜んでいた。

 NPO法人事務局長の石田義典さん(65)は「せっかくの大阪旅行で、『障害者だからあきらめないといけない』という悲しい思いをしてほしくない」と話した。

 改修工事が終わる今月14日まで無料で実施している。予約不要で、石段下の受付で申し出る。天守閣内には、エレベーターが2基備えられている。

2024.12.10 16:02:16

ヘリ・飛行機の「洋上救急」一度の出動で7時間…医師・看護師・救急救命士の38人が訓練で備え

 航行中の船舶で発生した傷病者を、医師らが乗った海上保安庁などのヘリコプターや飛行機で搬送する「洋上救急」の訓練が10日、海保羽田航空基地(東京都大田区)で行われた。医師・看護師と、今年から新たに出動対象となった救急救命士を加えた7医療機関の38人が参加した。

 制度は1985年10月に始まり、今年11月末までに海保と自衛隊の航空機による救助件数は全国で1004件、1037人に上る。日本最南端・沖ノ鳥島や最東端・南鳥島より遠い海域もカバーしており、いったん出動すると、医療従事者が勤務先に戻るまでに平均7時間以上を要する。

 参加者はこの日、羽田基地でヘリに乗り込み、海保の機動救難士と一緒に心肺蘇生や点滴、気管挿管などの手順を確認。ヘリや飛行機に搭載されている救助資機材の点検なども行った。午後には駐機場でヘリのエンジンを起動して騒音の度合いを体感しながら、ヘッドセットを通じた意思疎通を練習する。

 同僚の看護師らと参加した日本医科大学付属病院・高度救命救急センターの下西颯医師(28)は「思ったよりスペースが狭く、普段と違って座りながらの処置になるが、傷病者とのポジショニング(位置取り)を含め、あらかじめ確認できてよかった」と話していた。

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