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2024.06.13 16:57:35

知的障害生徒の単独チーム、甲子園地方大会にエントリー…都立青鳥「勇気と希望を与えたい」

 知的障害のある生徒が通う東京都立 青鳥(せいちょう) 特別支援学校(世田谷区)が、今夏の第106回全国高校野球選手権西東京大会に出場登録した。日本高校野球連盟によると、知的障害のある生徒だけの単独チームが公式戦にエントリーするのは、全国でも珍しいという。

 同校は昨年、特別支援学校として初めて都の高野連に加盟を認められ、夏の西東京大会と秋の都大会1次予選に3校連合チームを組んで出場した。今年は1年生6人が入部して部員が計12人に増えたことで、単独でチームを結成できた。

青鳥校教諭の久保田 浩司(ひろし) ・ベースボール部監督(58)は「できるだけ多くの生徒に出場機会をあげたいので、人数がそろったら単独での出場を目指すことに決めていた」と説明。「全国の特別支援学校で『野球をやりたい』と思っている子どもたちへ、勇気と希望を与えるきっかけになってほしい」と願う。

 大会は7月6日に開幕する。6月15日の組み合わせ抽選会に臨む3年生の白子悠樹主将(17)は、「去年の試合は楽しかったけど、(夏、秋ともに初戦で負けて)悔しかった。まずは1勝を目指したい」と意気込んでいる。

 日本高野連は1971年から特別支援学校の地方大会参加を認めている。82年夏の沖縄大会には、耳の不自由な生徒が通っていた沖縄県立北城ろう学校(当時)が出場した。

2024.06.12 16:06:52

成長に応じて伸びる「血管修復パッチ」発売、子の心臓再手術のリスク軽減に期待

 福井市の繊維メーカー「福井 経編たてあみ 興業」と、大阪医科薬科大、大手繊維メーカー・帝人が共同で、生まれつき心臓の壁に穴が開いたり血管が狭まったりする「先天性心疾患」の新生児や幼児の治療に使う心・血管修復パッチ「シンフォリウム」を開発した。帝人のグループ会社が12日から全国の医療機関に販売する。体の成長に合わせて最大2倍に伸び、再手術の必要性を減らせると期待される。福井経編は「培った技術で子どもの命を救いたい」とする。(荒田憲助)

ニット技術活用

 シンフォリウムは、体内に吸収される糸(吸収性 (し) )と吸収されない糸(非吸収性糸)を一緒に編み込み、ゼラチンの膜で覆ったシート状の製品。心臓や血管に用いると、ゼラチン膜と吸収性糸が徐々に溶けて細胞組織に置き換わるとともに、非吸収性糸の編み目の一部がほどけ、すべての方向に最大2倍に広がる仕組みだ。

 一般的に新生児の心臓はピンポン球ほどの大きさで、中学生の頃には大人と同程度まで成長する。シンフォリウムは心臓や血管の成長に応じて、パッチも大きくなる自在さを実現した。

 吸収性糸は、手術の縫合に用いる糸と同じ素材で、非吸収性糸は細胞が心臓や血管を修復する足場として機能するという。今回の編み方は福井経編のアイデアで、衣料用のニット生地などを長年作ってきた技術が生かされた。

 開発を主導した大阪医科薬科大の根本慎太郎教授(59)(小児心臓血管外科)によると、先天性心疾患は約100人に1人の新生児が持つとされる。しかし、従来使われたパッチは伸縮しないため、体の成長に合わせて交換する再手術が必要なケースもあり、患者や家族には重い負担になっていたという。

 根本教授は「体力の少ない子どもにとって、手術の数を減らせる意義は大きい。患者の命に関わる医療機器の開発に、覚悟を持って手を貸してくれた福井経編には感謝している。実績を重ねて信頼をつかみ、世界中で選ばれるパッチになってほしい」と語る。

小説のモチーフに

 福井経編は2012年、別の研究者から依頼され、絹を使った直径6ミリ以下の人工血管を完成。絹に特殊な加工を施して編み方を工夫し、伸縮性を高めていた。同年から新しいパッチの研究を始めた根本教授もその技術力を知り、協力を依頼。福井経編の高木義秀社長(70)は「子どもを救える技術が福井にあると示したい」と参加を決めた。

 14年には帝人も参入。編み目から血液が漏れ出すことを防ぎ、血管の組織などに置き換わるゼラチンを編んだ糸と一体化させることに成功するなど開発は加速した。

 福井経編の考案で2種類の糸を編む方法が採用され、人間より臓器の成長が速いとされる犬とブタを使った実験でも安全性を確認。19~22年の臨床試験では、0歳の赤ちゃんから成人までの30人以上に手術を実施し、手術後1年間でパッチの不具合による死亡事例や再手術が必要になる例はなかったという。23年7月に厚生労働省から製造販売の承認を受け、今年3月に公的医療保険が適用された。

 一連の開発は、医師や町工場の技術者が心臓の人工弁の開発に奮闘する池井戸潤さんの小説「下町ロケット2 ガウディ計画」のモチーフにもなった。

 12日に発売されるシンフォリウムは、英語の「シン」(共に)とラテン語の「フォリウム」(葉)を組み合わせ、「葉のように修復部分を守り、治療を受けた子どもとともに成長していくように」との願いを込めた。

 高木社長は「市場のニーズを把握し、新技術を生み出して製品を作るのがモットーで、今回の開発はその集大成だ」と強調。「今後もこのチームで研究を重ね、命を救う医療機器の発展に貢献していきたい」と意気込む。

2024.06.12 09:00:00

膵臓がん、薬品投与で光らせ1センチ以下で検出へ…国立がん研究センターなど早期発見へ治験開始

 国立がん研究センターなどの研究チームは11日、微小な 膵臓(すいぞう) がんを発見できる新しい画像診断技術を使った治験を始めたと発表した。従来の検査法では難しい0・3~1センチのがん検出を目指す。実用化されれば、初期に自覚症状がほとんどない膵臓がんの早期発見につながることが期待される。

 研究チームは、がん細胞の表面にあるたんぱく質にくっつきやすい性質を持つ新しい放射性医薬品を開発した。治験ではこれを 腹腔ふくくう 内に投与し、PET(陽電子放射断層撮影)検査で撮影すると、がん細胞が光って見える。マウスを使った実験では0・3センチ程度のがんが検出できたという。現状ではCT(コンピューター断層撮影装置)やMRI(磁気共鳴画像装置)などの検査方法では1センチ以下の検出は困難となっている。

 第1段階の治験は2025年9月までを予定しており、転移のない膵臓がんと診断された患者7~18人を対象とする。新しい放射性医薬品の安全性や投与量を調べる。

 同センター中央病院の肱岡範・肝胆膵内科医長は「小さい病変や転移を検出でき、正確なステージ(病期)を判断して、患者に適切な治療法を提案できることになる」と話している。

2024.06.11 15:43:53

心臓移植の断念は全国計16件、国立循環器病研究センターでも…患者数や手術数が特定施設に偏り

 東京大、京都大、東北大の3大学病院が、人員や病床の不足などを理由に、脳死者から提供された臓器の受け入れを断念していた問題で、2023年に全国の移植施設で心臓の断念例が計16件あったことが11日、日本心臓移植学会の緊急調査で分かった。内訳は東大15件と国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)の1件。3大学以外での断念例が判明したのは初めてとなる。

 読売新聞の1月1日の報道を受けて実施した日本移植学会の実態調査は、3大学のみが対象で、心臓、肺、肝臓で計62件の報告があった。

 今回の緊急調査は、心臓移植を手がける全施設(11か所)に、23年に施設側の事情で臓器の受け入れを断念したケースを尋ねた。

 その結果、東大と同センターから計16件の報告があった。東大は、日本移植学会の調査では10件と回答していたが5件増えた。

 16件の断念の理由として、手術を執刀する移植医や看護師らスタッフの不足のほか、手術後の患者が入る集中治療室(ICU)の満床などの回答があった。

 日本心臓移植学会によると、2施設が見送った心臓は、別の施設に登録されているあっせん順位の低い患者に移植されたという。

 断念例が相次ぐ背景には、脳死者からの臓器提供件数が増える中、待機患者が多い移植施設に、臓器の受け入れ要請が集中している現状がある。

 同学会は11日午後、記者会見を開き、緊急調査の詳細を公表する。同学会の澤芳樹代表理事は読売新聞の取材に対し、「移植を待つ患者数や手術数が、施設間で偏っていることが問題だ。学会も対策を講じたい」としている。

 日本臓器移植ネットワーク(JOT)の公開データを基に、読売新聞が行った集計によると、昨年、国内では115件の心臓移植手術が行われた。同センターは最多の32件を実施し、東大の25件が続いた。

 武見厚生労働相は11日午前の閣議後記者会見で、臓器受け入れの断念問題について「JOTから全ての移植実施施設の実態について辞退の件数や原因の報告をさせる。その内容を踏まえて移植医療の推進に取り組む」と話した。

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