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2024.07.08 18:40:15

水俣病マイク切り問題受けて再懇談スタート、伊藤環境相が被害者団体に謝罪…回答に反発も

 水俣病の患者・被害者団体と伊藤環境相との懇談で、環境省職員が団体側の発言中にマイクを切った問題を受け、伊藤氏と団体側の再懇談が8日、熊本県水俣市で始まった。伊藤氏は、問題が起きた5月の懇談時に団体側が提出した共同要求書に回答したが、団体側は、具体的な中身がないとして「ゼロ回答だ」と反発した。

 再懇談は8、10、11日の3日間で行われ、初日は5月の懇談に参加した8団体のうち、水俣病被害者・支援者連絡会に所属する6団体が対象。5月の懇談では「1団体3分間」が持ち時間だったが、今回は発言時間は制限しない。

午前8時20分頃に会場に到着した伊藤氏は、6団体の代表ら一人一人に頭を下げた。冒頭、マイクを切ったことを「 真摯しんし に耳を傾ける意識が欠如していたことは遺憾だ。大いに反省している」と改めて謝罪。「十分な時間で丁寧な意見交換をしたい」と述べた。

 団体側は要求書で、現行の水俣病の認定制度を「被害の実態を無視している」として見直しを求めていた。未認定患者の救済を目指した2009年の被害者救済法に明記され、実施されていない不知火海(八代海)沿岸の健康調査の早期実施なども主張していた。

 これに対し、伊藤氏は、水俣病に関する過去の判決を踏まえ、水俣病の認定基準は否定されていないとした。健康調査に関しては「手法を開発中。遅くとも2年以内をめどに開始できるように必要な準備を進める」としたが、団体側は「これまでの交渉と同じもの」などと批判した。

 伊藤氏はこの日、1956年の水俣病公式確認のきっかけとなった「原点の患者」とされる小児性患者・田中実子さん(71)とも対面した。関係者によると、歴代の環境相で田中さんと会うのは伊藤氏が初めてという。

 残る2団体との懇談は10、11日に行われる。鹿児島県長島町の離島・獅子島などを訪問し、団体の島民らと面会する。

2024.07.05 16:02:50

日本で未承認の医薬品、国主導で臨床試験要請へ…海外からの導入を迅速化

 海外で承認された薬が日本で使えない「ドラッグロス」問題を改善するため、厚生労働省は、必要性の高い医薬品の臨床試験を日本で行うよう、国が主導して製薬企業に要請する新たな仕組みを設ける調整に入った。5日午後に開かれる有識者検討会に提案し、了承されれば今年度中に開始する。

 厚労省によると、昨年3月時点で、欧米で承認されているが日本では未承認の医薬品は143品目ある。日本での承認申請には、薬の有効性や安全性を調べる臨床試験を国内で行う必要があるが、86品目で始まっていなかった。

 こうした未承認の薬の数を迅速に削減するため、厚労省は、国内で未承認となっている薬を定期的に把握する取り組みを始める。あわせて、〈1〉学会の考え〈2〉臨床試験に向けた動き〈3〉対象となる患者数――などの調査を行う。

 その上で有識者検討会で議論し、命に関わり生活への影響が著しい病気の薬で「医療上の必要性が高い」と判断された場合は、厚労省が製薬企業に、日本で臨床試験を行うことなどを要請する。

 国内で試験が始まっていない86品目のうち、米国などの新興企業の製品が48品目を占めるが、こうした企業は日本に支社がなく、日本市場への進出も計画していないことが多い。厚労省は、こうしたケースでは公募を行い、主に国内企業が試験などを担うことを想定している。要請や公募に応じた企業には、試験費用の助成などを行う。

 これまでも学会や患者団体が要望した場合に、企業に要請する仕組みはあったが、海外での薬の承認状況の把握に時間がかかるという課題があった。厚労省は、ドラッグロスの拡大を防ぐため、国が主導する、より迅速な仕組みが必要だと判断した。

2024.07.03 19:07:48

「64歳まで国民年金納付」案見送りへ、負担増に国民理解を得にくいと政府判断

 政府は、2025年に実施する公的年金制度改革で、国民年金の保険料納付期間を現在の40年(20~59歳)から5年延長して45年(20~64歳)とする案を見送る方針を固めた。延長は年金額が増える利点があるが、追加で保険料負担を求めることは国民の理解を得にくいと判断した。

 複数の政府関係者が明らかにした。24年度の基礎年金の受給額は年81・6万円で、厚生労働省が3日に公表した年金の財政検証では、納付期間を5年延長すれば、将来的に約10万円増える。

 年金額をその時の現役世代の平均手取り収入と比較した所得代替率でみると、6ポイント以上の押し上げ効果があって老後保障が手厚くなるものの、5年間の追加の保険料負担は総額約100万円が見込まれる。国民年金は半分が国庫負担のため追加財源も必要となる。

 政府は25年の年金制度改革案として、厚生年金の加入者を増やして年金の支え手を増やすことや、年金額の上昇を抑制する仕組みの改善なども検討している。改革案の中でも、納付期間の延長は国民の負担増が目立ち、批判を招きかねないため、今回は除外してほかの施策を優先する方針だ。

2024.07.03 17:56:59

顔の表情などから熱中症のリスク判定、米沢市が「AIカメラ」を全中学校に導入へ…ポーラ化成工業開発

 山形県米沢市の近藤洋介市長は6月26日の定例記者会見で、新たな熱中症予防策として、顔の表情などから熱中症のリスクを判定する「AIカメラ」(製品名「カオカラ」)を、市内の全7中学校に導入すると発表した。

 肌研究を通して蓄積した、顔に表れる疲労の兆候の知見などを活用し、ポーラ化成工業(横浜市)が開発した製品。3秒ほど顔をカメラにかざすと、顔画像から生徒の体調を解析し、熱中症リスクを4段階で知らせてくれる仕組みだ。

 各学校に2台ずつ配備し、登下校時や体育の授業、部活動の後などに利用を促す。

 熱中症リスクが高いと判定された生徒については、教諭に申告してもらったうえ、養護教諭が脈拍を測ったり、休息を促したりする。

 機器は同社からの提供を受け、7~10月に実証事業として行う。利用した生徒の顔画像はデータとして蓄積されるため、保護者の理解を得て行う。

 近藤市長は「熱中症は自己申告だけでは客観的な判断ができない。これで熱中症対策が取りやすくなる」と強調した。自治体単位では全国初の導入だという。

 同市では昨夏、女子中学生が熱中症の疑いで搬送され、その後亡くなる事案があった。

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