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2024.05.15 22:34:03

国内の腎細胞がん患者の7割に、日本人特有の遺伝子変異…未知の発がん要因から発症か

 国内の腎細胞がん患者の7割に、日本人特有の遺伝子変異のパターンがあるとする研究成果を国立がん研究センターなどの国際研究チームが14日、発表した。未知の発がん要因で引き起こされている可能性が高いという。世界11か国の約960人を対象にゲノム(全遺伝情報)を網羅的に調べる「全ゲノム解析」の結果で判明した。論文は、科学誌「ネイチャー」に掲載された。

 腎細胞がんは、尿をつくる細胞にできるがんで、腎臓がんの8~9割を占める。チームは、腎細胞がんで最も多い「淡明細胞型」について、日本人36人を含む962人のがん細胞から、発症を招く遺伝子変異のパターンを調べた。

 その結果、「SBS12」というパターンが、日本人患者の72%で検出されたのに対し、海外の患者では2%程度だった。このパターンの要因は、加齢や喫煙、肥満などすでに知られている発がんのリスクとは異なるとみている。

 同センター研究所の柴田龍弘・がんゲノミクス研究分野長は「今後、日本人特有のパターンを招く要因を解明することで、予防や治療薬の開発につなげたい」と話している。

2024.05.09 14:54:37

高齢者7人に1人が認知症へ、行方不明は10年で倍増…求められる見守りや活躍の場

 2040年に、高齢者の7人に1人が認知症になるとの推計結果が、8日に開かれた政府の「認知症施策推進関係者会議」で公表された。長寿社会では、誰もが認知症になりうる。住みなれた街で安心して暮らすための取り組みがさらに求められる。

 「認知症は軽度から重度まで様々だ。誰もが住みやすい共生社会作りに尽力したい」。会議に出席した当事者団体「日本認知症本人ワーキンググループ」の藤田和子代表理事は話した。

 今年1月施行の認知症基本法は、「共生社会の実現」を目的に、国や自治体の責務を定めている。自治体が支援策を作るのに際し、認知症の人や家族の意見を聞くことを努力義務とした。

 神奈川県大和市は同法に先駆け、21年9月に「認知症1万人時代条例」を施行した。本人や家族と市民が価値観を共有し、街づくりを行うことなどを理念に掲げた。認知症への理解を深めるシンポジウムに本人が参加したり、企業の製品開発に関わったりする取り組みの支援に力を入れる。

 認知症介護研究・研修東京センターの永田久美子副センター長によると、趣味や語学能力を発揮し、地域活動に参加する人もいる。「個性や能力を生かせるよう、行政が本人のしたいことをよく聞き、活躍の場を作ることが重要だ」と語る。

 認知症高齢者数の増加に伴い、行方不明になるケースも相次いでいる。警察庁のまとめによると、22年は延べ1万8709人。12年(9607人)から10年間で約2倍に上っており、地域の見守りが欠かせない。

 認知症の人と家族の会(京都市)の鎌田松代・代表理事は「同じ所を行ったり来たりして困った様子の高齢者を見かけたら、研修を受けたボランティア『認知症サポーター』を中心に、地域の人が声をかけてほしい」と話す。

2024.05.08 17:45:34

出産費用への保険適用に向け検討会設置へ…政府、妊産婦の心身支援策も議論

 政府は出産費用への公的医療保険の適用に向け、有識者らによる検討会を近く設置する方針を固めた。保険適用への課題や妊婦の支援策を議論して報告書を取りまとめ、厚生労働省やこども家庭庁による制度作りに生かしたい考えだ。

 検討会のメンバーには、産婦人科医や助産師、健康保険組合などの保険者らに加え、妊婦自身も参加する案が出ている。

 検討会では、医療措置ごとの診療報酬や保険適用の範囲、地域ごとの医療体制のあり方などについて、現場の声も聞いて協議する。妊娠中や産後にうつになる女性も多いことから、妊産婦の心身の支援策も話し合う見通しだ。

 政府は昨年12月に閣議決定した「こども未来戦略」で、2026年度をめどに正常 分娩ぶんべん の保険適用を目指す方針を明記した。

 出産費用は現在、けがや病気ではないとの理由から、帝王切開などを除いて保険適用の対象外となっており、各医療機関が独自に費用を設定している。

 政府は昨年4月、出産時に支払われる「出産育児一時金」を原則42万円から50万円に引き上げたが、費用は物価高騰の影響もあり、上昇傾向にある。病院や地域で差があり、地方より都市部の方が高い。22年度の正常分娩の出産費用は全国平均で48・2万円と、10年前と比べて約6・5万円高くなっており、一時金の超過分は自己負担を強いられている。

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