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2024.09.09 16:33:03

「甘いカフェイン」摂取、体内時計乱れる恐れ…コーヒー飲料など「いつ飲むのがいいか検討必要」

 カフェインと甘味料を加えた水をマウスに与えると体内時計が乱れたとする研究成果を広島大などのチームがまとめた。エナジードリンクやコーヒー飲料には両方の成分を含んでいるものがあり、甘いカフェイン飲料を摂取する時間帯には注意が必要になりそうだ。論文が国際科学誌に掲載された。

 茶やコーヒーに含まれるカフェインには、眠気を覚ます効果があるが、1日約24時間の生活リズムを保つ体内時計への影響はよくわかっていなかった。

 チームは、一般的なエスプレッソの半分の濃度のカフェイン水▽甘味料も加えたカフェイン水▽通常の水――の3種類を準備。マウスを3グループに分け、それぞれ自由に飲ませて1週間以上観察した。

 その結果、甘いカフェイン水のグループは、1日のリズムが26~30時間周期と乱れ、昼夜逆転に陥るケースもあった。摂取をやめると元のリズムに戻ったという。残り2グループに生活リズムの大きな変化は見られなかった。

 カフェインと甘味料には、覚醒に関わる脳内物質ドーパミンの分泌を活性化させる働きがあり、何らかの相乗効果が生じている可能性がある。チームの田原優・広島大准教授(時間栄養学)は「カフェインには生活上の利点もある。ただ甘いカフェイン飲料をいつ飲むのがいいのか、詳細な検討が必要だ」と指摘している。

  産業技術総合研究所の大石勝隆・食健康機能研究グループ長(時間生物学)の話 「カフェインと甘味料の組み合わせに関する報告は少なく、インパクトのある成果だ。影響の大きさはマウスと人で異なる可能性があり、人での投与試験やメカニズムの解明が望まれる」

2024.09.06 15:38:51

東京都、全公立小中学校の給食費「完全無償化」目指し支援拡充…「財政的に厳しい」の声を受け

 東京都は公立小中学校の給食費について、減額や無償化に取り組む市町村への財政支援を拡充する方針を固めた。都の支援額を増やすことで市町村の取り組みをさらに後押しし、都内全ての自治体で学校給食の完全無償化を実現させたい考えだ。

 給食費の支援拡充は、7月の知事選で小池知事が公約に掲げていた。都は今月開会する都議会定例会に、関連費を盛り込んだ補正予算案を提出する。

 子育て世帯の負担を軽減するため、都は今年度、区市町村が給食費の減額や無償化に取り組む場合、区市町村が負担するコストの半額を都が補助する制度を始めた。都の制度もあり、9月1日現在で全23区が完全無償化を実現し、39ある市町村でも27市町村が完全無償化に踏み切った。

 一方、11市町は「第2子以降のみ」などと条件を付けた無償化や、物価高騰分を支援する形の減額を行い、残る1市は未実施のままだ。財政規模の大小が無償化するかどうかの判断に影響しているとみられ、物価高騰分のみを支援している東村山市の担当者は取材に「できれば完全無償化したいが、今の補助額では財政的に厳しい」と明かす。完全無償化に踏み切った自治体でも、財政負担が大きく他の事業へのしわ寄せを懸念する声が出ている。

 こうした状況を受け、都は補助の拡充を決めた。都関係者によると、都の補助割合を現在よりも増やし、市町村が負担するコストの8分の7を都が補助する方向で調整している。追加の補助は、都が市町村に振興目的で交付している「市町村総合交付金」を増額する形で支給するという。

 学校給食に関する財政支援を巡っては、都市長会が7月末の都への来年度予算要望で、現行制度の拡充を求めていた。都議会の自民党や都民ファーストの会、公明党も要望していた。物価高騰で家計負担が大きくなっていることもあり、都は早期の実施が必要だと判断した。

2024.09.05 19:29:07

ほうきを振り回す・髪の毛を引っ張る…密室化する訪問ケア現場でハラスメント深刻、相談窓口など対策強化

 高齢者や障害者の在宅生活を支える訪問看護や介護の現場で、利用者らによる暴言などのハラスメントが深刻化している。自宅という「密室」で1対1のケアにあたるため、介護職員や看護師らは不安を感じやすく、離職につながるケースもある。事態を重く見た自治体が相談窓口を設置するなど対策を強化している。(手嶋由梨)

不満のはけ口に

 「何も分からんくせに」「この高級スタッフ」

 福岡県内の訪問看護ステーションは数年前、脳 梗塞こうそく で車いす生活を送る50歳代男性の攻撃的な言動に悩まされた。女性職員が狙われ、大声でほうきを振り回されることもあった。思うように外出できない不満のはけ口にされたという。

 別の事業所に所属する男性担当のケアマネジャーに改善を訴えたが、「看護師の仕事は傾聴と共感」と問題視されなかった。職員は「病院と違って自宅は利用者や家族のテリトリー。どうしても権利意識は強くなる」とため息をつく。

 福岡市の訪問介護事業所では、女性職員が認知症の80歳代女性から髪を引っ張られたり、排せつ介助で「きれいにしていない」とどなられたりした。2週間担当した職員は「もう介護の仕事はしたくない」と離職した。

 管理者の女性(60)は「在宅ケアは見えない部分が多い。私たちのケアが原因の可能性もあり、介護施設のようにカメラを導入することも考えるべきでは」と頭を悩ませる。

警察OBら協力

 こうした事態を受け、自治体も対策に乗り出した。

 埼玉県では2022年1月、訪問診療の医師らが撃たれて死傷する事件が発生した。事件後、県が在宅ケアの従事者に調査したところ、回答者(665人)の半数以上にハラスメント被害の経験があり、県は専用の相談窓口を設置した。

 福岡県も今年6月、九州で初めて相談センターを開設した。警察OBらが相談員を務め、緊急性や悪質性が高ければ警察に協力を求める。弁護士も助言するほか、従業員の訴えを管理者が聞き入れない場合は保健所が介入する。2か月余りで49件の相談があったという。

 筑紫医師会立訪問看護ステーション(福岡県太宰府市)で管理者を務める長尾靖子さんは「小規模の事業所も多く、自分たちだけでは解決が難しいこともあり、相談できる体制は心強い」と話す。

 兵庫県は複数人での訪問を後押しするため、市町を通じて、事業所に費用の一部を補助。1人で訪問する場合も警備会社の通報システムの導入費用などを助成している。

契約解除難しく

 厚生労働省が作成した「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」では、事業所が利用者側に示す文書に「暴力やハラスメントがあれば契約解除を行う」と明記するよう促している。

 ただ、命や暮らしを支えるサービスだけに「一方的な契約解除は難しい」という声も。ある訪問介護職員は「代わりの事業所が見つからなければどうしようもない」と漏らす。

 関西医科大の三木明子教授(精神保健看護学)は「ハラスメントはエスカレートするので、こじれる前に『こういう要求や言動は受け入れない』と 毅然きぜん と伝えることが重要」とした上で、「まずは管理者や職員が『何がハラスメントにあたるか』を知る必要がある。相談窓口の設置や研修会の開催など、行政の支援が広がってほしい」としている。

高まる需要足りぬ人手 訪問看護利用10年で倍

 高齢化に伴い、在宅ケアの需要は高まっている。厚生労働省の調査では、2023年4月時点の訪問看護の利用者は約63万人で、10年前の2・1倍に上る。訪問介護も1・2倍の約109万人に膨らんでいる。

 一方、人手不足は深刻だ。同省によると、22年度の訪問介護職員の有効求人倍率は15・53倍で、全職種平均(1・31倍)を大きく上回る。日本看護協会の調査では、22年度の看護職の有効求人倍率は訪問看護ステーションが3・88倍となり、施設種類別で最も高かった。

 福岡県の23年の調査では、在宅ケアの従事者約2400人のうち、4割にあたる926人が「暴力やハラスメント被害を受けた」と回答。このうち、3人に1人が「仕事を辞めたいと思った」と答えており、ハラスメント対策は喫緊の課題となっている。

2024.09.04 19:23:38

室内でビアガーデン、冷感グッズが定着…「夏の定番」記録的猛暑で変化

 9月に入っても暑い日が続く。8月は記録的な猛暑となり、涼しい室内で楽しむビアガーデンが人気となるなど、酷暑仕様で夏の過ごし方にも変化が見えた。気象庁は引き続き熱中症への注意を呼びかけており、すっかり定着した冷感グッズはまだ手放せそうにない。(南部さやか、西井遼)

屋外避ける

 冷房の利いた室内の「ビアガーデン」で8月下旬、団体客が笑顔で乾杯していた。関西の飲食店関係者らでつくるグループは毎夏、ANAクラウンプラザホテル大阪(大阪市北区)で100人規模の宴会を開いている。同ホテルのビアガーデンには屋外と室内があり、幹事役の男性(58)は「例年は屋外だが、あまりに暑いので今年は室内にした」と話した。

 8月下旬までに同ホテルのビアガーデンを利用した客は前年同期比の1・3倍。木下智子マーケティングマネージャーは「特に室内が好調。途中で室内に移るグループもいる」と話す。

稼ぎ時伸び悩み

 日本生産性本部(東京)のレジャー白書によると、海水浴客は1985年の約3790万人が最多だが、2022年は約360万人にまで落ち込んでいる。レジャーの多様化やコロナ禍に加え、暑さも影響しているとみられる。

 神戸市の8月の平均気温は30・2度で、記録が残る1897年以降で最も高かった。須磨海水浴場(神戸市須磨区)の海の家で働いていた男性(39)は「稼ぎ時のお盆時期も客足が伸び悩んだ印象。屋内施設に出かけた人が多かったのでは」と話した。

 屋外プールも異常な暑さに苦しんだ。大分市の市民プールでは、7月31日から18日間続けて臨時休業したところもあった。水温が34度を超えた時には熱中症予防で遊泳を中止しているためだ。

冷感グッズ好調

 大阪市では8月、日ごとの最低気温の平均が26・9度だった。各地で寝苦しい夜が多かった。

 ホームセンターのカインズでは、4月から冷感素材の掛け布団や敷きパッドを販売し始め、8月中旬までの売り上げが昨年同期と比べ、それぞれ3割と1割増えた。同社の担当者は「エアコンをつけたまま寝る人が多いこともあり、タオルケットなど薄手のものより掛け布団の需要が上がっているようだ」と説明する。

 冷感グッズの売れ行きも好調だ。梅田ロフト(大阪市北区)では、携帯の小型扇風機や冷やして首に巻き付けるネックリングなどが7月下旬に品薄の状態になった。特に小型扇風機が人気で、7月1日~8月26日の冷感グッズの売上高トップ10はすべて小型扇風機だったという。

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