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2024.05.30 12:48:41

臓器摘出手術の7割超が休日に集中、平日は人員や病床が逼迫…受け入れ断念が増加する恐れ

 脳死下の臓器提供を巡り、今年に行われた摘出手術の7割超が休日に集中していることが、読売新聞によるデータ分析でわかった。移植施設への臓器の受け入れ要請が休日に集中することで、人員や病床が 逼迫(ひっぱく) し、この傾向が続けば受け入れの断念が増加する恐れがある。

 本紙は、日本臓器移植ネットワークの資料を分析した。28日時点で脳死下の臓器提供は46件あり、うち76%にあたる35件の摘出手術が土日祝日(正月三が日を含む)に集中していた。1日の間に2件以上の臓器提供があった日は10日間で、うち9日間は休日だった。

 背景には、平日は提供施設の手術室が予定で埋まることが多く、人員や病床を確保しやすい休日に摘出手術が計画されることや、脳死者の家族が 看取みと りのため集まりやすいことなどがあるとみられる。休日の摘出手術率は近年増えており、2016~19年には平均41%だったが、20~23年は同61%に増えた。

 同じ日に特定の移植施設に複数の臓器の受け入れ要請が集中することで、受け入れを断念するケースが相次いでいる。日本移植学会の緊急調査によると、昨年は、東京大、京都大、東北大の3大学病院で計62件の受け入れ断念例があった。

2024.05.29 19:37:00

災害時に医薬品や食料品のドローン輸送拡大へ…禁止空域でも許可得ずに飛行可能に

 政府は、災害時のドローン活用を拡大する方向で最終調整に入った。医薬品や食料品など支援物資の輸送であれば、飛行禁止空域でも許可を得ずに飛行できる仕組みの規制緩和を検討しており、規制改革推進会議が31日にもまとめる答申案に明記する見通しだ。6月に閣議決定する規制改革実施計画に盛り込み、年内にも実施する。

 ドローンの飛行は、住宅密集地など通常の禁止空域に加え、災害時には捜索や救助にあたるヘリコプターなどの妨げにならないよう、航空法に基づき飛行禁止空域が追加される。現状では、禁止空域で飛行させるには国土交通相の許可が必要で、都道府県警や自治体からの依頼があった場合には、許可が不要となっている。

 1月に発生した能登半島地震では、道路が寸断され、孤立集落への対応が課題となった。ドローンは、被害状況を把握するための空撮などでは使われたものの、支援物資の輸送での活用はわずかにとどまった。

 被災地からの要望も踏まえ、答申案では、医薬品や食料品などを輸送する場合には、禁止空域でも許可を得ずに飛行できることを明確化するよう国土交通省に求める。被災者に迅速に物資を届けるため、ドローンの活用を促す狙いがある。

 このほか答申案では、スタートアップ(新興企業)を支援するため、株式会社などの設立に必要な定款の認証制度も見直す。定款の認証にかかる手数料について、スタートアップを対象に、現行の最低3万円から半額程度に引き下げを検討することを明記する方向だ。

 手続きの簡素化も進め、今年度中に、定款案の提出から法人の設立登記までを72時間以内に完了させる新たなシステムの運用を始める。デジタル庁の「法人設立ワンストップサービス」を使った場合は、24時間以内に完了させる。

 個人が自家用車を使って有償で人を運ぶ「ライドシェア」を巡っては、需要増が見込まれる雨天やイベント時にも活用できるよう制度改善を盛り込む見通しだ。タクシー会社以外にも参入を認めるかどうかについては調整が続いている。

2024.05.27 16:13:04

プールの更衣室にも混浴のルール準用、異性の利用は「6歳まで」…子供の発育以前より早く

 自治体や民間のプールで、異性の更衣室を利用できる子どもの年齢を引き下げる動きが広がっている。公衆浴場で混浴を制限する年齢の目安が「10歳以上」から「7歳以上」に変更され、これを準用する施設が相次ぐ。夏本番が近づく中、親子連れでプールに行く際は注意が必要だ。(柏原諒輪、岩島佑希)

施設がサポート

 日曜日の26日、東京都北区のレジャー型プール施設「元気ぷらざ」は、多くの人でにぎわっていた。

 「息子が1人で更衣室を使うのは不安なので、少しでも滞在時間を短縮できるよう、水着を着させてきた」。小学2年の長男(7)と訪れた練馬区の自営業女性(42)は、こう話した。長男には防犯ブザーを持たせているという。

 施設では2023年11月から、異性の更衣室について、利用を制限する年齢を「小学3年生以上」から「7歳以上」に変更した。ホームページで周知しているが、知らずに訪れる人もいる。

 このため、利用者の求めに応じ、更衣室を1人で使う低学年の子どもには職員が付き添う。ロッカーの使い方やプールサイドへの入場方法を案内するなどのサポートもしているという。

 小学1年の長女(6)と一緒に男性更衣室を利用した北区の会社員(37)は「周囲の視線が気になる時もあり、変更は理解できる。娘が7歳になったら女性更衣室を使わせたい」と語った。

発育進む

 プールの更衣室の異性の利用について、年齢を制限する法律はない。公衆浴場法や国の衛生管理要領に基づき、銭湯の衛生や風紀などを定めた自治体の条例を参考にするのが一般的だ。

 衛生管理要領で、混浴できない制限年齢がおおむね「10歳以上」と定められたのは00年。「子どもの発育が早くなっており、現状にそぐわない」との指摘もあり、19年12月に専門家らが混浴年齢や子どもの発育に関する調査に乗り出した。

 結果をまとめた報告書では、7~12歳の男女1500人を対象にした調査で、混浴を恥ずかしいと感じ始めた年齢は6歳と7歳で約半数を占め、子どもの発育が以前より進んでいることも指摘された。

 これを受け、厚生労働省は20年12月、混浴の制限年齢をおおむね「7歳以上」に変更するよう通知し、自治体は相次いで条例を改正した。一般財団法人「地方自治研究機構」によると、47都道府県や政令市など約160自治体のうち、今年4月時点で110自治体が条例で「7歳以上」と定めている。

心配の声も

 この規定が、プールの異性の更衣室利用にも準用されている。青森県、埼玉県、三重県などの自治体が運営するプールは、制限年齢を「7歳以上」としている。学年で線引きする自治体もあり、札幌市や鳥取県、熊本県などは「小学1年生以上」となっている。

 一方で、低学年は着替えなどで保護者のサポートが必要だとして、熊本市、姫路市の一部施設では「小学3年生以上」とする。宮城県や名古屋市などは制限を設けておらず、自治体によって対応は分かれている。

 子どもが1人で更衣室を使い、トラブルや性的被害などに遭うことを心配する声は少なくない。職員が付き添う施設もあるが、7歳の息子がいる埼玉県のシングルマザーの女性(38)は「今夏もプールに行きたいが、息子は人見知りなので初対面の人のサポートは不安」とこぼす。

 東京都あきる野市の「東京サマーランド」では、子どもが単独だと心配な親子や、身体が不自由な人らが利用できる個室「みんなの更衣室」を設置している。

安心して利用へ…工夫と周知必要

 混浴の制限年齢引き下げのきっかけになった調査に携わった植田誠治・聖心女子大学教授(学校保健学)は「盗撮や性的被害のリスク軽減の観点から、混浴のルールをプールに準用し、異性の更衣室の利用制限年齢を7歳以上とするのは一定の妥当性がある」と理解を示す。

 そのうえで、「子どもの心身の発育状況には個人差がある。不安を持つ親子が安心して利用できる多目的スペースを用意するなどの工夫が必要で、施設側の周知も大切だ」と指摘する。

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