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2024.07.09 13:00:28

鳥インフルH5N1、人への感染性高まった可能性…アメリカでは牛を介し感染例も

 米国で飼育される牛の間で感染が広がる高病原性鳥インフルエンザウイルスのH5N1について、従来と比べて人への感染性が高い可能性があるとする分析結果を、東京大などの国際研究チームが明らかにした。

 哺乳類の間での弱い 飛沫(ひまつ) 感染も確認されており、チームは「人でも感染が広がらないよう、封じ込めを急ぐ必要がある」としている。論文が8日付けの科学誌ネイチャーに掲載される。

 米国では今年3月以降、牛の感染が少なくとも12の州で確認された。牛から人に感染し、目の充血などの症状が出たことが数例報告されている。

 東京大など日米のチームが感染した牛のウイルスを分析すると、人の喉や鼻に多い分子に結合する性質があり、この分子を介して人でも感染する可能性が示された。従来のH5N1は、この分子に結合する能力が低かったという。

 またウイルスを感染させた哺乳類のフェレットの4匹中1匹で飛沫感染したことが血液検査で判明した。チームの国立国際医療研究センター研究所国際ウイルス感染症研究センター長、河岡義裕・東大特任教授(ウイルス学)は「ウイルスが変化し感染性が高まっている可能性がある。病原性の変化も注視することが必要だ」と話す。

  北海道大学の迫田義博教授(ウイルス学)の話 「飛沫感染したフェレットのウイルス量は非常に少なく、すぐにパンデミック(世界的大流行)につながるとは言えないが、注意は必要だ。検出の時期や場所が違うウイルスを調べ、データを蓄積することを急ぐべきだ」

2024.07.08 18:40:15

水俣病マイク切り問題受けて再懇談スタート、伊藤環境相が被害者団体に謝罪…回答に反発も

 水俣病の患者・被害者団体と伊藤環境相との懇談で、環境省職員が団体側の発言中にマイクを切った問題を受け、伊藤氏と団体側の再懇談が8日、熊本県水俣市で始まった。伊藤氏は、問題が起きた5月の懇談時に団体側が提出した共同要求書に回答したが、団体側は、具体的な中身がないとして「ゼロ回答だ」と反発した。

 再懇談は8、10、11日の3日間で行われ、初日は5月の懇談に参加した8団体のうち、水俣病被害者・支援者連絡会に所属する6団体が対象。5月の懇談では「1団体3分間」が持ち時間だったが、今回は発言時間は制限しない。

午前8時20分頃に会場に到着した伊藤氏は、6団体の代表ら一人一人に頭を下げた。冒頭、マイクを切ったことを「 真摯しんし に耳を傾ける意識が欠如していたことは遺憾だ。大いに反省している」と改めて謝罪。「十分な時間で丁寧な意見交換をしたい」と述べた。

 団体側は要求書で、現行の水俣病の認定制度を「被害の実態を無視している」として見直しを求めていた。未認定患者の救済を目指した2009年の被害者救済法に明記され、実施されていない不知火海(八代海)沿岸の健康調査の早期実施なども主張していた。

 これに対し、伊藤氏は、水俣病に関する過去の判決を踏まえ、水俣病の認定基準は否定されていないとした。健康調査に関しては「手法を開発中。遅くとも2年以内をめどに開始できるように必要な準備を進める」としたが、団体側は「これまでの交渉と同じもの」などと批判した。

 伊藤氏はこの日、1956年の水俣病公式確認のきっかけとなった「原点の患者」とされる小児性患者・田中実子さん(71)とも対面した。関係者によると、歴代の環境相で田中さんと会うのは伊藤氏が初めてという。

 残る2団体との懇談は10、11日に行われる。鹿児島県長島町の離島・獅子島などを訪問し、団体の島民らと面会する。

2024.07.05 16:02:50

日本で未承認の医薬品、国主導で臨床試験要請へ…海外からの導入を迅速化

 海外で承認された薬が日本で使えない「ドラッグロス」問題を改善するため、厚生労働省は、必要性の高い医薬品の臨床試験を日本で行うよう、国が主導して製薬企業に要請する新たな仕組みを設ける調整に入った。5日午後に開かれる有識者検討会に提案し、了承されれば今年度中に開始する。

 厚労省によると、昨年3月時点で、欧米で承認されているが日本では未承認の医薬品は143品目ある。日本での承認申請には、薬の有効性や安全性を調べる臨床試験を国内で行う必要があるが、86品目で始まっていなかった。

 こうした未承認の薬の数を迅速に削減するため、厚労省は、国内で未承認となっている薬を定期的に把握する取り組みを始める。あわせて、〈1〉学会の考え〈2〉臨床試験に向けた動き〈3〉対象となる患者数――などの調査を行う。

 その上で有識者検討会で議論し、命に関わり生活への影響が著しい病気の薬で「医療上の必要性が高い」と判断された場合は、厚労省が製薬企業に、日本で臨床試験を行うことなどを要請する。

 国内で試験が始まっていない86品目のうち、米国などの新興企業の製品が48品目を占めるが、こうした企業は日本に支社がなく、日本市場への進出も計画していないことが多い。厚労省は、こうしたケースでは公募を行い、主に国内企業が試験などを担うことを想定している。要請や公募に応じた企業には、試験費用の助成などを行う。

 これまでも学会や患者団体が要望した場合に、企業に要請する仕組みはあったが、海外での薬の承認状況の把握に時間がかかるという課題があった。厚労省は、ドラッグロスの拡大を防ぐため、国が主導する、より迅速な仕組みが必要だと判断した。

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