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2023.12.20 13:25:21

香川の小4、糖尿病リスク過去最悪16%…コロナ禍の運動不足が原因か

香川県は小学4年生と中学1年生を対象に実施した2022年度「小児生活習慣病予防健診」の結果を発表し、小学4年生で糖尿病リスクの高い児童が16%、脂質異常は11%と、いずれも過去10年で最悪だった。コロナ禍での運動不足や生活習慣の乱れなどが要因とみられる。中学1年生でも、糖尿病リスクは前年度より増え2割超となり、県は「啓発に取り組んできたが、悪化している」と危機感を募らせている。(山本貴大)

生活習慣病リスクの高い子どもの早期発見につなげようと、小学4年は2012年度から、中学1年は19年度から毎年調査している。

 今回は、県内17市町の小学4年7131人と、14市町の中学1年2974人が対象。血液検査を行い、脂質、糖代謝、肝機能などを調査した。合わせて食事や運動など生活習慣のアンケート調査も行った。

 健診結果によると、糖尿病となるリスクが高い割合では、小学4年が過去10年で最大の16・2%(前年度比3・9ポイント増)、中学1年も20・6%(同3・0ポイント増)となり、いずれも前年度から増えた。

 肥満の割合は、小学4年が12・7%(同0・2ポイント増)で増加傾向が続いている。男子は14・7%、女子は10・5%で、男子の方が肥満傾向は高かった。

 中学1年はここ数年ほぼ横ばいで11・6%(同0・4ポイント減)だった。

 脂質(コレステロール、中性脂肪)の異常については、小学4年が過去10年で最大の10・7%(同1・0ポイント増)で、中学1年は8・8%(同0・9ポイント減)だった。

 県健康福祉総務課は、小学生で数値が悪化している要因について、「ゲームやスマートフォンなどのメディアの利用時間が長かったり、体を動かす量が少なかったりするなど、コロナ禍の生活習慣を引きずっている可能性がある」と指摘。一方、中学生は「行動制限が緩和され、部活動が再開されたことで改善につながった部分はある」と分析している。

 また、生活習慣のアンケート調査の結果によると、小学4年では「加糖飲料を毎日飲む」(30・3%)、「夕食後の間食をほぼ毎日食べる」(12・4%)、「情報メディアの利用時間が2時間以上」(50・6%)といった項目が前年度より増加した。

 中学1年は「いつもおなかいっぱい食べる」(54・6%)、「1週間のうち、1人で食事をとることがある」(26・7%)、「情報メディアの利用時間が2時間以上」(66・6%)などだった。

 同課の担当者は「今回の結果を受け止め、改めて自身の健康について見直す機会にしてもらいたい」とし、「大人や子どもを問わず、健診で異常が見つかれば、症状がなくても受診してほしい」と呼びかけている。

2023.12.18 13:21:42

HPV検査、子宮頸がん検診に来年4月導入決定…発症リスクがある人の早期発見に期待

 厚生労働省は、市区町村が実施する子宮 けい がん検診に、がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を調べる検査を来年4月から導入することを決めた。30~60歳を推奨する対象に設定した。導入するかは自治体の判断次第で、準備が整ったところから順次始める。18日の有識者検討会で了承された。

子宮頸がんは性交渉によるHPVの感染が主な原因だ。新たに加わる「HPV検査」は、子宮の入り口近くから細胞を採取し、細胞がHPVに感染していないかを調べる。がん発症のリスクがある人を早期に見つけられる利点がある。

 子宮頸がん検診は20歳以上の女性が対象で、がん細胞などの異常の有無を調べる「細胞診」という検査法が実施されている。自治体がHPV検査を導入する場合、20~29歳には従来通り細胞診を行い、30歳から切り替える。

 HPV検査で「陰性」と判定された人は、次回は基本的に5年後となり、2年に1回受ける細胞診と比べ、受診者の負担は軽くなる。ただ、「陽性」と判定されれば細胞診を行い、異常が見つからなくても発症のリスクが高いため、1年後に検診を受ける。

2023.12.18 13:18:37

市販薬のオーバードーズ防止へ、20歳未満に大容量・複数個の販売禁止方針…依存性ある成分の品目

厚生労働省は18日、20歳未満に風邪薬などの市販薬で乱用の恐れがある薬を販売する場合、大容量や複数個の販売を禁じる方針を決めた。若者を中心に市販薬の過剰摂取(オーバードーズ)の問題が広がっているため、対策を強化する。専門家部会での議論を経て、2025年までに医薬品医療機器法(薬機法)を改正したい考えだ。

18日に開かれた別の有識者検討会で規制強化案が了承された。

 対象は、医師の処方箋なしに薬局やドラッグストアなどで購入できる市販薬のうち、依存性のある6種類の成分を含むもので、約1500品目あるとされる。

 対策では20歳未満は小容量の製品1箱のみとする。1箱でも対面かオンライン通話での販売を義務づけ、身分証による本人確認のほか、副作用などの説明を必須とする。繰り返しの購入かどうかを見分けるため、販売記録を保存する。

 20歳以上でも、複数個や大容量の場合は、対面かオンライン通話での販売を求める。ただし、小容量の1個については、ネット販売を認める。

危険ドラッグの規制が強化された14年以降、若者の間で、市販薬を過剰摂取するケースが広がっている。国立精神・神経医療研究センター(東京都)の調査では、薬物依存症で治療を受けた10歳代の患者のうち14年までは市販薬を使うケースはなかったが、22年には65%まで増えた。

 厚労省は現在、乱用の恐れがある薬について、中高生に販売する場合、氏名や年齢を確認するよう店側に求めているが、徹底されていない実態がある。厚労省の担当者は「最近は過剰摂取の問題が深刻化しており、法改正を待たずに導入できる対策は前倒しで実施する」としている。

2023.12.16 00:37:00

精神科のオンライン診療、対面と同等の治療効果…研究チーム「通院困難な人が受診しやすくなる」

精神科でのオンライン診療は、対面診療と同等の治療効果があるとの研究結果を、慶応大などの共同チームが発表した。治療の継続率や患者の満足度にも大きな違いはなかった。精神科におけるオンライン診療の有効性を裏付ける国内初の研究という。

論文が16日、国際医学誌に掲載された。研究には慶応大など国内19の医療機関が参加。うつ病、不安症、強迫症の患者計199人を「オンライン診療と対面診療を併用」と、「対面診療のみ」の2グループに分けて、24週間の治療を行った。治療効果を点数化して比較したところ、治療成績は同等だった。

オンライン診療は2020年4月から、新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、初診から利用できるようになった。しかし精神科では他の診療科と比べて診療報酬が低く抑えられていることなどから、ほとんど利用されていないという。

研究代表者の岸本泰士郎・慶大特任教授は「オンライン診療が広がれば、精神科にかかりにくいと感じている人や、症状によって通院が難しい患者が受診しやすくなる」と話す。

 日本遠隔医療学会理事で、「こどもとおとなのクリニックパウルーム」(東京)の黒木春郎院長は「精神疾患をオンラインで診ても効果があると確認できた研究だ。精神疾患の患者が利用することで、通院の負担が軽減し、医師と話がしやすくなることもある」と話している。

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