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今回は若返り関係のお話。だいぶ前になるが、以前ウチでNMNの点滴の効果をテロメアのG-tail長で測定して有効を証明した話をしたと思う。

これでも、私は癌や難病だけでなく「若返り」も色々トライしていているのだ。そこで、論文かき集めて、今現在、若返りに効果があるとされる物質(サプリ扱いから抗がん剤などの医薬品まで)をサーティイン遺伝子の活性化、マクロファージとセノリティックスによる老化細胞の除去、mTOR経路の抑制の目的で用量、飲み方を整理した「若返り薬セット」なるものを作っている。
で、結構好評なのだが、何をもって「若返った」か?だ。まあ、体感として調子が良いなどの感想はあるが、やはり効果判定してみたいと思いません?
そこで、生年月日からの年齢である「カレンダーによる年齢」よりも実際の身体状態の年齢を表す「生物学的年齢」の測定が出来るものが必要になる。
同じ50代の女性でも30代に見える方も居れば70代に見える方もおられる。男性も同様だが、特に女性の方が顕著な気がする。(別に女性差別ではありませんよ。なんせ、女性の方が容姿に対する意識が高いので余計目立つだけ。念の為)
今回、その生物学的年齢を測定するエピジェネティッククロック(Epigenetic Clock)を日本で展開するところと提携できそいうなので、それについて触れてみたいと思う。
まあ効果のある物質集めてるので「何もありません」はないと思っているが、こればかりはやってみなければわからない。なかったら大変だけどね。
エピジェネティッククロック(Epigenetic Clock)とは
1. 概要

エピジェネティッククロック(Epigenetic Clock)は、DNAのエピジェネティック修飾の一つであるメチル化パターンを解析することにより、個体の生物学的年齢(biological age)を推定する手法だ。これは従来の暦年齢(chronological age)とは異なり、実際の老化プロセスの進行度や健康状態、さらには疾患の感受性や予後を反映するとされている。近年、老化研究や予防医療、再生医療、パーソナライズドメディスンにおいて本手法の有用性が注目されており、複数のアルゴリズムが提案・商用化されている
。
2. メカニズムと生物学的背景
DNAメチル化は、主にCpGジヌクレオチド(シトシン-グアニン配列)のシトシン塩基に5位のメチル基(CH3)が付加される現象であり、遺伝子発現の抑制に関与する。老化に伴って、ゲノム全体でこのメチル化パターンに特徴的な変化が起こることが明らかとなっている。具体的には、発生過程でメチル化されていた領域の一部で脱メチル化が進行する一方、通常非メチル化状態にあったプロモーター領域などで異常なメチル化が観察されることがある。
加齢により一定のCpG部位で一貫したメチル化変化が生じることが多数の研究で確認されており、これを機械学習など統計解析手法によって年齢予測モデルとして構築したものがエピジェネティッククロックである。重要な点として、これらのメチル化変化は細胞種間でも共通する傾向があることから、血液、皮膚、唾液、臓器由来サンプルなど幅広い材料で測定可能となっている。
3. 主なエピジェネティッククロックとその特性
3.1 Horvath Clock
Horvathクロックは2013年に発表された最初のpan-tissue型のモデルで、353のCpGサイトを利用しており、臓器横断的な年齢推定が可能である。多くの組織で年齢との相関が非常に高く、現在でも標準的指標として広く用いられている。老化関連疾患との関連も報告されており、がん、神経変性疾患、糖尿病との関係性が注目されている。
3.2 Hannum Clock
Hannumらによる血液特化型のモデルで、約71カ所のCpGサイトに基づく。免疫系との関連や炎症状態の影響を受けやすく、臨床検体との相性が良いことが特徴だ。
3.3 PhenoAge(Levine Clock)
生理的老化との相関を重視し、血液バイオマーカー(CRP、白血球数、アルブミン、クレアチニンなど)とDNAメチル化データを統合して開発されたモデル。疾患予測や死亡率との関連が高く、より臨床的アウトカムに即した解析が可能。
3.4 GrimAge
GrimAgeはエピジェネティッククロックの中で最も予後予測精度が高いとされ、喫煙歴、血漿タンパク質マーカー、疾患リスクを含む情報をDNAメチル化から予測することで、死亡リスクを高精度で評価できる。心血管疾患、慢性腎疾患、呼吸器疾患との関連も深く、老化のリスク因子として非常に有用である。
3.5 DunedinPACE
比較的新しいモデルで、若年層から中年層までの縦断データを活用して加齢速度(Pace of Aging)を算出する。ライフスタイル介入の効果を短期的に評価する手段として有用であり、介入研究との相性が良い。
続きは次回に。