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2024.04.15 15:48:43

24時間使えるAED、学校校門前やコンビニに設置の自治体増…盗難の懸念にはGPSや保険で対応

 救命処置に使われる自動体外式除細動器(AED)が、屋外や24時間営業の店舗に設置されるケースが増えてきた。AEDの多くは屋内に置かれているが、施設の休館日や夜間には持ち出せない。各地の自治体が旗振り役となり、学校の校門前やコンビニエンスストアなどに設置を進め、住民らに活用を呼び掛けている。

 さいたま市は昨秋、市内全58中学校の校門前などにAEDを設置。住民向けに説明書もつけた。昨年12月には、付近の商業施設で倒れた女性の救命処置に使われたこともある。市内の小学校では2011年、駅伝の練習直後に倒れた小学生が亡くなる事故があった。当時、AEDがすぐに使われなかったことを教訓に、市は市民講習会を開くなど活用に積極姿勢だ。市内の区役所でも、屋内に加えて屋外への設置を進める。

 24時間営業の店舗など63か所に置いたのは東京都港区。いつでも使えるAEDが半径300メートル以内にない地域を抽出し、該当エリアの住民の希望を聞き取ってきた。千葉県我孫子市は昨年度、誰でも24時間使える状態で置く場合、購入費などの半額(最大25万円)を補助する制度を導入した。市の担当者は「24時間営業の店舗が近くにない場所もある。少しでも設置しやすくしたい」と話す。

 心停止の状態になると、助かる確率は1分ごとに約10%低下するとされ、AEDの迅速な活用が救命率の向上につながる。規制緩和で一般の人も使えるようになってから今年で20年。公共施設や店舗に設置されたAEDは全国で約67万6000台(22年)に上るとの推計もあるが、埼玉県が県内の状況を調べたところ、23年9月末現在、24時間いつでも使えるのは14%にとどまっていた。

 ただ、屋外設置の場合に懸念されるのが盗難だ。さいたま市ではAEDに全地球測位システム(GPS)機能をつけ、持ち出された場合の追跡を可能にした。24年度中に学校や図書館など約220か所のAEDを屋外に移す計画の東京都江戸川区は一部に盗難保険をかけた。

 活用には、どこに設置しているかを日頃から知らせておくことも必要となる。東京都港区や大田区はホームページなどに「AEDマップ」を載せ、周知を図っている。救命処置などの蘇生科学が専門の石見拓・京都大教授は「近くにいつでも使えるAEDがあれば、自宅で心停止が起きた場合の救命にも役立つ。どこにあるのか、一目でわかる地図と一緒に整備を進めるのが望ましい」と話している。

2024.04.12 18:56:25

iPS細胞を全自動作製できる技術を開発…京大財団とキヤノン、費用大幅減・品質安定

 医療用のiPS細胞(人工多能性幹細胞)を患者本人の血液から自動的に作製する技術を、京都大iPS細胞研究財団(京都市)とキヤノン(東京)が共同開発した。iPS細胞の作製費用を大幅に減らせるといい、来年の実用化を目指している。

 iPS細胞は血液などの細胞に複数の遺伝子を導入して作製する。患者本人のiPS細胞を作り、筋肉や神経などの細胞に変化させれば、移植しても拒絶反応が起きにくく、免疫抑制剤を使う必要がない。病気やけがで失われた体の組織や機能の再生が期待できる。

 ただ、従来の手作業での作製では専用施設の整備や維持、技術者の人件費などのコストがかさみ、1人分の作製に約4000万円かかるとされる。

 キヤノンなどが開発した方法では、血液から赤血球など不要なものを取り除き、残った細胞に遺伝子を導入。できたiPS細胞を増やして回収するまでの約20日間の工程を自動化する。

 全自動の装置が完成すれば、人の手が必要なのは血液や試薬のセットと、iPS細胞を回収した容器を取り出す作業だけとなり、品質の安定につながるという。臨床試験などを行う大学や企業に対し、作製したiPS細胞を提供し、患者に移植することを想定している。

 財団は、患者本人の細胞から医療用iPS細胞を短時間に安価で作製する「my iPSプロジェクト」の一環として、この技術開発を進めており、1人あたりのコストを「100万円程度」に下げる目標を掲げる。キヤノンメディカルシステムズ研究開発センターの山口陽介さん(45)は「できるだけ早く患者由来のiPS細胞を作り、治療に生かしたい」と話している。

2024.04.12 13:54:46

子どもへの「付き添い入院」医療機関の4割要請…こども家庭庁調査、保育士らの手厚い配置促す

 こども家庭庁は12日、入院する子どもの世話を家族が泊まり込みで行う「付き添い入院」に関する実態調査の結果を公表した。入院する際に約4割の医療機関が付き添いを家族に要請している実態が明らかになった。

 調査は、全国の医療機関約350施設に対し、アンケートなどで実施した。43・6%が「子どもの病状を勘案し、基本的に付き添いをお願いしている」と回答し、家族の付き添いが難しいため、入院できなかったり、転院を調整したりしたケースも確認された。

 付き添いを要請する理由として、子どもの年齢が小さいことを挙げた施設が多かった。8割超の医療機関が寝具を貸与しており、宿泊施設と連携し、院外で就寝できる仕組みを整えている事例もあった。

 公的医療保険制度では、患者の年齢を問わず、入院中の看護は看護師らが担うものとされている。制度上、家族の付き添いは任意だが、付き添い入院によってケアが長期にわたり、体調を崩す事例が多いことなどが問題になっている。

 政府は6月から新たな診療報酬を適用し、保育士らの手厚い配置を医療機関に促すなどして、家族をサポートする体制を整える。

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