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2024.01.17 14:59:38

中国の人口208万人減の14億967万人、出生率は建国以来最少…「人口減時代」突入か

 【北京=川瀬大介】中国の国家統計局は17日、香港、マカオを除く中国本土の総人口が2023年末時点で14億967万人となり、前年から208万人減少したと発表した。人口減は1961年以来、61年ぶりに減少に転じた2022年に続いて2年連続。出生数は7年連続して前年を下回った。中国は、本格的な人口減時代に入った模様だ。

 23年の出生数は902万人で、前年比54万人の減少だった。死亡数は1110万人で、人口の減少幅は前年の85万人から拡大した。人口1000人当たりの出生率は6・39人で、出生数とともに1949年の建国以来最少を更新した。

 65歳以上の人口は2億1676万人で、総人口に占める割合は前年から0・5ポイント増の15・4%。少子高齢化が進んでいる実態も浮き彫りになった。

 中国の人口減は、1979年に導入された「一人っ子政策」が2015年末に廃止されるまで続いたことによる影響が大きい。中国では人口減に危機感を強める 習近平シージンピン 政権の号令で、出産を奨励する補助金の支給など対策が打ち出されているが、歯止めがかからない状況だ。

 国連人口基金(UNFPA)の推計によると、中国は23年中に人口世界一の座をインドに明け渡したとみられている。

2024.01.16 15:51:35

老化抑える脳細胞特定、マウス実験で寿命延長も成功…5年以内に人への応用目指す

 老化を抑える働きを持つ脳内の神経細胞をマウス実験で特定したと、米ワシントン大の今井眞一郎卓越教授(老化学)らの研究チームが発表した。この神経細胞を操作して老化を遅らせ、寿命を延ばすことにも成功しており、5年以内に人での臨床応用を目指すという。論文は米科学誌「セル・メタボリズム」に掲載された。

 チームは、哺乳類の視床下部にある「Ppp1r17神経細胞」に注目した。遺伝子操作でこの神経細胞の働きを強化したところ、何も操作しなかったマウスより寿命が7~8%延びた。運動量も通常の1・5~2倍に増加したという。

 この神経細胞は脂肪細胞を刺激し、老化を抑える働きがある「 eNAMPT 」という酵素を分泌させる。加齢とともにこの神経細胞の働きが衰え、老化が進むと考えられるという。今井氏は「人間でも同様の仕組みがあるか確かめ、抗老化の治療法の実現に向け、研究を進めたい」と語る。

 理化学研究所の影山龍一郎・脳神経科学研究センター長(神経発生学)の話「特定の神経細胞が、寿命にこれほど影響することが示されたのは驚きだ。仕組みの解明や人での研究が進めば、老化研究は大きく進展する」

2024.01.16 09:00:00

開運力やモテ度を顔動画で判定、就活・婚活での自己診断に活用…徳島大が開発「今後は医療分野でも」

 徳島大は人の心について、顔のわずかな振動やその周波数を分析することで、「健康」「情熱」「モテ度」など“心の魅力度”を判定するシステム「カリスマ鑑定団」を開発したと発表した。就活、婚活で自己診断に使えるほか、今後は医療分野への活用も目指す。(北野浩暉)

 システムでは、スマートフォンなどで約1分間、静止した顔の動画を撮影し、表情の微妙な動きや、頭部の微振動、その周波数などを解析。それらの数値から、攻撃性やストレス、安定性、自制心など10項目について点数化し、10万人のビッグデータと照らし合わせて鑑定する。

 鑑定では▽心の健康▽才能▽情熱▽前向きな思考にもとづく「開運力」▽人を引きつける「モテ度」の5要素を合わせて「心の魅力度」と定義。上限を350点とし、260点以上は「カリスマ、モテ無限大」、230点以上は「エリート、モテモテ」、200点以上は「ホープ、チョイモテ」などの5段階で心の魅力度を判定し、結果に応じたアドバイスを提示する。

 システムで使用しているのは、カメラで撮影した情報と画像処理により、人のわずかな動作や微振動を解析できる「バイブライメージ技術」。人間の頭部の微振動は、平衡感覚をつかさどる前庭器官や感情的な反射とつながっており、頭や目の動きが感情の状態を反映するという。

 この技術は、かつて旧ソ連が潜入したスパイを見つけるために開発。現在、日本でも防犯システムなどに活用されているという。

 「カリスマ鑑定団」は、脊椎動物であれば使用可能で、犬や猫の「心の魅力度」も判定できるという。これまで就職活動中の学生の自己分析に使ったり、婚活に導入したりして検証を重ねてきたという。

 開発した徳島大学大学院社会産業理工学研究部の宇都義浩教授(情報工学)は「自分で取り繕えない、無意識の動きを解析するシステム。うつ病治療など、医療分野でも活用できるように研究を進めたい」と話した。

2024.01.12 17:58:54

県立病院と消防局の関係が悪化、医師が救急救命士への指示を一時拒否…消防側「搬送時にパワハラも」

 鳥取県東部で唯一の「3次救急医療機関」に指定されている県立中央病院(鳥取市)と県東部消防局との関係が、救急搬送を巡って悪化している。昨年末には同病院の医師が、救急救命士に特定の救急救命処置を行うための指示を出すことを一時拒否。消防側は病院医師から搬送時にパワーハラスメントを受けてきたと訴え、病院側に調査を要請する事態となっている。(藤本綾子、山内浩平、中島高幸、藤本幸大)

 同病院は重篤な患者を受け入れる3次救急病院として鳥取市など1市4町(人口約22万人)を担当し、3次救急のない県中部からも患者を受け入れている。

 県東部消防局などによると、昨年12月5日、同病院救急集中治療科部長が同消防局担当者に、搬送時の救急救命処置「特定行為」の指示に関する救急救命士からの要請を受け付けない旨のメールを送信。10日間にわたって指示要請を拒否した。この間、いったんは要請を受け入れるとしたが、搬送時になって病院側が要請を断ったため、救急救命士は他の2次救急病院の医師の指示を受けつつ、中央病院に運んだケースが複数あった。

 これに対し、医療・消防関係者から「患者のスムーズな受け渡しに支障が生じる可能性があり、要請拒否はありえない」などと批判の声が上がり、広岡保明院長は消防など関係先に謝罪したうえで、28日に「指示要請に応じなかったのは大変不適切な行動だった」とのコメントを病院のホームページに掲出した。

 広岡院長によると、部長は拒否の理由について、搬送時の手順を取り決めた県の「プロトコル」の内容が不十分で、これを基に指示を出すことは責任が取れないと説明。同プロトコルは国のたたき台を基に、医師や消防関係者らで構成する県の協議会が作成し、中・西部も同じものを使っているが、運用に不都合は生じておらず、県消防防災課は「内容や記載に問題はない」と反論する。

 一方、消防側は12月中旬、要請拒否期間に中央病院へ救急患者を搬送した際、病院医師らからパワハラ行為を受けたとして、医師や消防関係者でつくる組織名で病院に調査を要請した。関係者によると、搬送時に患者の情報を電話で伝えようとすると、話の途中で切られたほか、ストレッチャーからベッドに移す際に医師や看護師に手伝うそぶりがなかったり、大声で伝えたことを再度聞かれ、先ほど伝えたと話すと「聞こえないのは意味がない」と言われたりしたとしている。

 また、関係者によると、消防側は約2年前から、特定行為の指示要請中に電話を途中で切る▽引き継ぎ内容を聞こうとしない▽搬送時に処置を手伝っていると、体を押し当て「邪魔だからどけろ」と言われた――といった医師らの行為が続いてきたと主張している。

 病院は消防側へ12日に調査回答を示す予定。広岡院長は読売新聞の取材に「(指示要請拒否は)行き過ぎた行為だった」と話しているが、パワハラ被害の訴えは「12日の記者会見で説明する」とし、部長は正式な取材要請に応じていない。

 小谷穣治・神戸大教授(災害・救急医学)は「医療機関と消防は、医療事故のリスクを抑え、地域住民に影響が出ないよう円滑な連携を取ることが求められる」としている。

  ◆特定行為 =救急救命士が医師からの具体的な指示を受けないと行えない救急救命処置。医療器具を用いた気道確保や心肺機能停止状態の患者への薬剤投与など、国が五つの行為を指定している。

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