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2024.07.23 15:05:58

iPS細胞を使った最先端の治療技術、万博で3Dホログラム展示…キラーT細胞が働く様子など再現

  iPS細胞(人工多能性幹細胞)などを使って、血液のがんである白血病や新型コロナウイルス感染症の治療応用を目指す京都大発の新興企業が、治療用に開発した免疫細胞の最先端技術を2025年大阪・関西万博に出展する計画を進めている。治療のイメージをコンピューターグラフィックス(CG)を使って立体化した「3Dホログラム」で展示する方向で検討している。23日午後に発表される。

 出展を計画しているのは、京大医生物学研究所の河本宏教授(免疫学)が19年に創業した「リバーセル」(京都市)。河本教授のチームは、様々な細胞に変化するiPS細胞やES細胞(胚性幹細胞)を使って、白血病のがん細胞や新型コロナウイルスの感染細胞を撃退する免疫細胞「キラーT細胞」を大量に作製することに成功した。

 25年度には、急性骨髄性白血病の患者10~20人を対象にした医師主導治験を京大病院で開始し、早ければ28年頃の実用化を目指す。

 万博への出展は、公益財団法人「大阪産業局」の支援プロジェクトの一環で実現。キラーT細胞ががん細胞などを撃退する様子を再現するという。

 河本教授は「iPS細胞などからキラーT細胞を作る技術は、これまでの治療法とは桁違いの効果が出る可能性がある。万博での展示を多くの人に知ってもらうきっかけにしたい」と意気込んでいる。

2024.07.19 12:13:17

大麻の国内生産者は27人、海外では「環境に優しい新素材」と注目…三重大が研究センター開設

 三重大学は18日、産業用大麻の研究開発を進める「神事・産業・医療用大麻研究センター」を開設したと発表した。麻薬成分が少ない産業用大麻は古来、神社のしめ縄や衣料などに活用されてきた。近年はバイオプラスチックやバイオ燃料の原料として再注目されつつある。センターは各学部と連携し、新品種の開発や効率的な生産技術の確立を進め、産業用大麻の安定的な生産を支援したい考えだ。(松岡樹)

 産業用大麻はかつて、衣類や漁具など幅広く利用された。1950年代半ばには全国で約3万7000人の生産者がいたとされる。その後、外国産の繊維や化学繊維が普及して需要が減った。国の規制強化もあり、2022年時点の大麻の生産者は27人に減った。

 一方、海外では産業用大麻が「環境に優しい新素材」として注目され、自動車の車体や建材など様々な分野で活用が進む。

 三重大の研究センターが扱う産業用大麻は、麻薬成分の含有量が極めて低いもの。2~3年後までに、神事に使われるしめ縄などに適した新品種を開発することを目標に掲げる。向精神作用のない有効成分の活用なども研究する。

 三重大は昨年3月から、産業用大麻とゆかりのある明和町や生産者と連携し、大麻を生産するプロジェクトを始め、明和町の斎宮跡などで無毒性の大麻を栽培してきた。センターは医学部や工学部と連携しながら、生産プロジェクトも支援していく方針だ。

 18日に記者会見した諏訪部圭太センター長は「学内の全ての学部を巻き込み、産業や医療に応用・活用していく道ができた。さらなる実用化に向けて研究していきたい」と力を込めた。

2024.07.17 14:04:50

手足口病、過去最悪のペースで感染拡大…38都府県で警報基準超える

 乳幼児の夏風邪「手足口病」が過去最悪のペースで広がっている。国立感染症研究所が16日に公表した感染症発生動向調査によると、7日までの1週間に全国約3000の小児科定点医療機関から報告された患者数は1医療機関あたり11・46人(速報値)。現在の調査が始まった1999年以降、同時期で最多だった。

 流行のピークは例年、7月下旬に迎える。今年の感染状況は、これまでの調査で最多の患者数を記録した2019年7月22~28日の13・44人に迫る勢いだ。

 今回の調査結果を都道府県別にみると、三重(25・98人)、埼玉(18・80人)の順に多く、38都府県で厚生労働省研究班が示した警報基準の5人を上回った。厚労省は「感染者が急増している原因は不明」とする。

 手足口病は、ウイルスの感染症で、手足や口の粘膜に発疹ができる。 飛沫ひまつ や唾液、排せつ物の接触で感染し、流水とせっけんの手洗いでの予防が望ましい。

 例年、患者の9割が5歳以下だ。多くは軽症だが、まれに髄膜炎や脳炎など重い合併症に至る。のどの痛みで水分をとれない場合、脱水に注意が必要だ。感染症に詳しい水野泰孝・グローバルヘルスケアクリニック(東京)院長は「子どもの様子をよくみて、高熱や頭痛、吐き気など心配な症状がある時は、医療機関を受診してほしい」と話す。

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