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2024.04.26 17:27:56

濃度1・5倍のBCGワクチン、香川の病院が8年間接種…看護師ら説明書確認せず

 香川県綾川町の陶病院は25日、結核を予防するBCG接種で約8年間にわたり、通常より1・5倍濃い濃度のワクチンを誤って投与していたと発表した。

 接種の期間は2016年4月頃~24年3月8日で、いずれも1歳未満で綾川町の630人、高松市や丸亀市など他の自治体の82人の計712人が受けていた。同院は誤って接種した人数は把握していないが、7割程度が該当するとしている。

 同院によると、ワクチンを準備する際、複数の看護師が0・15ミリ・リットルの生理食塩水でワクチンを溶かすべきところを、誤って0・1ミリ・リットルで希釈していた。ワクチンに添付された説明書を確認せず、前任者らの誤った説明のまま行っていたことが要因という。

 BCG接種では元々、まれにリンパ節の腫れやケロイドの形成といった副反応が起こるとされている。濃度が高まることで、副反応が出やすくなる恐れがある。ただ、一般的に接種から1年以上経過した場合、副反応が起こる可能性は極めて低いとしている。現状で体調不良などの報告は入っていない。

 また、ワクチンの効果には問題はなく、再接種の必要はないとしている。

 同院の大原昌樹院長は記者会見で「関係者の皆さまに多大なご心配をおかけしていることに心から反省している」と謝罪。今後は、看護師が説明書を確認し、相互確認を行うなど再発防止策を講じる予定。接種した人の自宅に謝罪の文章を送付しており、院内に相談窓口(087・876・1185)を設置した。

2024.04.25 18:35:18

「消滅可能性自治体」秋田県内9割超で全国ワースト…知事「不安を与える表現だ」

 人口戦略会議が24日に公表した報告書で、秋田県内は秋田市を除く24自治体が、最終的に消滅する可能性が高い「消滅可能性自治体」と分析された。前回2014年の同様の分析と比べると、同市が消滅可能性自治体から脱した一方、新たに大潟村が加わった。関係者らは改めて危機感を共有し、対策に取り組む意向を示した。

 「非常に危機的な状況は変わっていない。人口減少を前提としながら、生活基盤をどう残すか、対策することが必要だ」。佐竹知事は同日夕方、県庁で報道陣の取材にこう語った。そのうえで、「消滅」という言葉については、「市町村、住民の皆さんに不安を与える表現だ」といぶかった。

 分析では、若年女性(20~39歳)の減少率の推計は、秋田市が42%と県内で唯一5割を下回ったが、残る24自治体は最大で77・4%に達するなど上回った。消滅可能性自治体の割合は9割超で、秋田県が47都道府県でワーストとなった。

 秋田市の穂積志市長は「雇用創出や子育てしやすい環境づくりなど、各種施策の展開から改善されたものと認識している」との談話を出した。同市の人口は昨年11月に30万人を割り込んだことから、「将来にわたって持続可能な『選ばれるまち』を目指し、人口減少対策に全力を挙げて取り組む」とした。

 大潟村は、若年女性人口が前回の15・2%増から一転、58%減となり、落ち込み幅は全国一となった。高橋浩人村長は、「前回があまりにも高く出すぎた。今回の方が実態に即していると思う」と受け止めた。

 減少率が77・4%で県内ワーストだった男鹿市の鈴木健・総務企画部長は「非常に厳しい結果。若い女性が働く場所が少ないなど様々な要因があるが、給食費や保育料の無償化といった子育て支援策などを進め、少しでも減少に歯止めをかけたい」と話した。

 女性活躍推進を担当する県の丹治純子理事は「危機感はあるが、県の社会減は改善傾向にある。社会減をゼロやプラスにするのは難しく、緩和させていくのが目標」と語る。また、「秋田の自治会活動では、メインは男性、女性はお茶くみなど性別で役割が決まっていると聞く。女性からは、挑戦したいのにそうした環境がないとの声が聞かれる。こうした固定観念が女性の人口流出にもつながっているのではないか」と話した。

7月にも90万人割れ

 県は24日、4月1日現在の人口が前月比4381人減の90万2060人となったと発表した。

 県調査統計課が公表した「県の人口と世帯」(4月1日現在)によると、3月は県外への転出者が転入者を上回る「社会減」が3109人だった。例年3月は転勤や進学で社会減が拡大する傾向にあり、2月の社会減(165人)から大幅に悪化した。死亡数が出生数を上回る「自然減」は、1272人だった。

 昨年の人口減少数は4月が304人、5月が982人、6月が1016人。昨年と同様のペースで人口減が続くと、県人口は7月に90万人を割り込むことになる。

2024.04.24 18:22:49

ジェネリック薬の安定供給へ、集中期間5年で業界再編促す…政府会議が報告案

 ジェネリック医薬品(後発薬)の安定供給に向けて、政府の専門家会議がまとめる報告書案が判明した。5年程度の集中改革期間を設けて業界再編を促すのが柱となる。後発薬メーカーでは不正が相次ぎ、一部で品薄となっている。統合による生産や管理業務の効率化で、供給不安の解消や安全性の確保を図る。

 専門家会議は大学教授や弁護士、コンサルティング企業の幹部らがメンバーで、経済産業省がオブザーバーとして参加し、昨年7月から議論を進めてきた。厚生労働省が24日の会議で報告書案を示す。

 報告書案は、後発薬メーカーの多くが中小企業で、多品種の医薬品を少量ずつ生産する「少量多品目生産」であることを構造的な課題だと指摘する。さらに、製造工程が複雑化して生産が非効率になり、不良品が発生するリスクを招き、収益性が低下しているとしている。管理が行き届かず、ガバナンス(企業統治)や人材育成も後手に回っているとまとめている。

 このため、再編を促して規模を拡大し、経営の効率化や生産、品質の管理体制の強化を求める。改革期間の工程表を作り、改善状況の確認も行う。

 具体的な手法としては、大企業による合併・買収(M&A)のほか、品目の集約や事業再編を想定したメーカー間の提携や協業を提案する。再編に伴うシステム統合にかかる費用は、「金融・財政措置など、様々な面から企業の取り組みを後押しする方策を検討するべきだ」としている。

 また、管理体制を強化するため、すべての後発薬メーカーに対し、製造方法などの自主点検を要請する。第三者機関による点検や従業員らへの聞き取りを踏まえ、結果の公表のほか、厚労省や都道府県への報告も求める。

 政府は、患者の負担軽減や医療費の抑制につながるとして、後発薬の普及拡大を目指している。だが、2020年には小林化工(福井県)の製品で健康被害が見つかったり、その後も日医工(富山市)で品質不正が発覚したりするなど、不正が相次いだ。今年3月までに20社が業務停止などの行政処分を受けている。

2024.04.23 16:02:19

新たな感染症対応で感染研と連携、地方衛生研の体制強化へ…「日本版CDC」移行へ環境整備

 政府は新たな感染症に備え、全国の都道府県や政令市などが設置している地方衛生研究所(地衛研)の体制強化に乗り出す。新型コロナウイルスの教訓を踏まえ、感染症対策の拠点である国立感染症研究所(感染研)や医療資材を保有する民間会社などとの連携を深め、検査体制などを整える。

 地衛研は地域における保健衛生行政の科学・技術的な中核機関で、全国85か所に設けられている。感染症発生時に病原体の解析や検査、住民への情報提供などを担う。

 だが、コロナ禍では、PCR検査の依頼などが地衛研に集中し、検査の人員や検体を分析する機材、試薬の不足といった課題が生じた。2020年4月の第1波時は、地衛研などでの検査能力は1日4830件にとどまり、目詰まりが問題となった。新しい病原体を大量に検査する事態を想定していなかったためだ。

 政府は体制見直しが必要と判断し、病原体などを研究する感染研に対し、病原体の検査・研究手法に関する情報を地衛研と密に共有するよう促す。最新の知見を生かし、検査の迅速化や省力化につなげる。地衛研には、変異株の発生情報などを速やかに感染研に提供するよう要請し、情報共有を万全にしたい考えだ。

 資材不足の克服に向けては、感染研が民間会社から試薬や医療機材を確保して地衛研に配布するほか、民間会社に直接、地衛研に提供することも働きかける。全国の地衛研で作る協議会を通じ、感染症発生時に近隣の地衛研同士で試薬を融通し合う仕組みも拡充する。

 地衛研の中には、床の劣化などの老朽化でコロナ関連の資材が搬入できない施設もあった。対策として、24年度予算に計上した関連経費には、国が自治体からの求めに応じて地衛研施設の改修・整備費を補助する費用も盛り込んだ。

 政府は25年4月に、感染研と感染症の治療などにあたる国立国際医療研究センター(NCGM)を統合した専門家組織「国立健康危機管理研究機構」(日本版CDC)を設立する。米国で感染症対策を中心的に担う疾病対策センター(CDC)がモデルで、地衛研との連携も重視している。地衛研の体制強化は、日本版CDCへの移行に向けた環境整備の意味合いもある。

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