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記事・コラム 2026.06.09

プロフェッショナルインタビュー

第3回「千葉西総合病院をトップ病院に」千葉西総合病院 院長  三角和雄

話題沸騰!数々の人気番組に出演している医師たちが語る
「キャリア」「信念」「未来」そのすべてに迫るインタビュー!

どのようにしてスキルを高め、逆境を乗り越えてきたのか?
日常の葛藤、医師としての信条、そして描く未来のビジョンとは――。

【出演番組一部抜粋】
情熱大陸

今回は【千葉西総合病院 院長】の三角和雄 先生のインタビューです!
テーマは 第3回「千葉西総合病院をトップ病院に」をお話しいただきます。

プロフィール

名前
三角(みすみ) 和雄(かずお)
病院名
千葉西総合病院
所属
院長
資格
  • 米国内科学会専門医正会員
  • 米国心臓病学会専門医正会員
  • 日本内科学会専門医評議員
  • 日本循環器学会専門医日本循環器学会専門医
  • 日本心血管インターベンション治療学会心血管カテーテル治療専門医・施設代表医
  • 日本冠疾患学会評議員
  • 日本老年病学会専門医
  • 米国カリフォルニア州・ハワイ州医師免許など
経歴
  • 1957年に大阪府大阪市で生まれる。
  • 1982年に東京医科歯科大学(現 東京科学大学)を卒業、長尾優学術奨励賞(金時計)授与、すぐに東京医科歯科大学第三内科(現 東京科学大学循環器内科)に入局し、東京医科歯科大学医学部附属病院 (現 東京科学大学病院)に勤務する。
  • 1983年に横浜南共済病院に勤務する。
  • 1984年に東京医科歯科大学医学部附属病院に勤務する。
  • 1985年にイリノイ大学医学部シカゴ校に心臓血管病理の研究留学をする。
    その後、ニューヨーク医科大学リンカーン・メディカル&メンタルヘルスセンター内科レジデント、カリフォルニア大学ディヴィス校神経内科レジデント、ピッツバーグ大学メディカルセンター内科レジデント、カリフォルニア大学アーヴァイン校心臓内科クリニカル・フェローとして、研修を行う。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)グッド・サマリタン病院心臓内科で2年半のクリニカル・フェロー研修を行う。
  • 1996年にハワイ大学医学部内科(循環器部門)臨床系助教授に就任する。
  • 1998年に千葉西総合病院に心臓センター長、研修委員長として着任する。
  • 2000年に千葉西総合病院副院長に就任する。
  • 2003年から2017年まで東京医科歯科大学(現 東京科学大学)臨床教授を兼任する。
  • 2004年に千葉西総合病院病院長に就任する。
  • 2017年から2020年まで東京医科歯科大学(現 東京科学大学)特命教授を兼任する。

─ 1998年にアメリカから帰国されて、千葉西総合病院に入職されました。

私は千葉西総合病院の存在すら知らなかったんです。医科歯科の第三内科の関連で、某病院からの話もあったのですが、その病院は心臓血管外科が充実しておらず、私が得意とするロータブレーター治療の施設基準を満たしていなかったんです。もちろん医科歯科の病院も同様でした。一方で、その基準をたまたま満たしていたのが千葉西総合病院でした。それで見学に来たところ、なぜか分からないけれども徳田虎雄さんの写真が飾ってありました。でも千葉西総合病院には徳洲会という名前はついていません。名前はついていないけれども徳洲会の病院だということをそのときに初めて知ったんです。私はそういう事情を全く知りませんでした。ただ自分の腕を奮うことができる病院を見つけたかっただけで、それがこの病院だったというだけです。私の人生は全部「たまたま」なんですよ。たまたま大学入試直前に目を怪我したから、たまたま第二志望の医科歯科に入って、たまたま第三内科に入局して、たまたま学生実習でアメリカに行って、たまたま気に入ったから日本での研修後にまたアメリカに行ってという感じです。そして、たまたま見つけた千葉西総合病院に入職しました。病院に初めて行ったのが1997年12月で、勤務が始まったのが1998年1月なので、今から28年前です。そこからずっとこの病院にいます。

─ 入職当時の病院はいかがでしたか。

建物も古くて研修医もいない状態でしたが、入職当時に驚いたことは研修医育成をしていなかったことです。アメリカでは当然のことでしたが、その頃の日本ではその重要性を理解している医師は少なかったんです。人に教えようと思えば、自分も常に勉強しておかなくてはいけません。日々の診療だけでは日進月歩の医学についていけないということを分かっていない医師もいました。そこで、私としては自分の理想とする医師を研修医から育てていこうと思いました。病院を渡り歩くのではなく、きちんと地に足の着いた医師を新人から鍛えようとしたんです。

─ どのようにして研修医を集められたのですか。

徳洲会が開いている研修医説明会に乗り込み、これはという人を一本釣りしたんです。「僕がちゃんと教えるから」「その他大勢になるより、突き抜ける存在になったほうがいいよ」などと、毎日、ストーカーのように勧誘の電話をかけていました(笑)。研修医になったあとで当院を選んだ理由を聞くと、「三角先生があまりにしつこかったから」と言われたこともありました。

─ 2004年には臨床研修制度が始まりました。

当院にも多くの医学生が見学に来るようになりました。やる気がある学生、しっかりと考えている学生はすぐに分かりますね。採用試験の前から「これは」と思った学生にはこちらからアプローチしています。当院は症例数が圧倒的に多いので、ほかの病院で3年かかって習得することが1年でできます。やる気のある人に是非、来ていただきたいです。当院では研修医を受け入れるにあたって出身大学は全く気にしていません。医学部を卒業して、医師国家試験に合格するだけの基本的な能力があれば、卒業した大学は関係ないのです。やる気やモチベーション、それからコミュニケーション能力を重視しています。

─ そうしてスタッフの数も増え、手術数がトップの病院になっていったのですね。

手術数1位を目指してきたというよりも目の前の患者さんに対して、やらなければいけないことを頑張ってやってきた結果です。千葉県には約600万人の人口がありますが、本格的な心臓カテーテル治療ができる医療機関は少ないという地域のニーズもあります。心臓病は日本人の死亡原因の第2位ですので、患者さんは続々といらっしゃいます。さらに口コミなどにより、全国からの患者さんも少なくありません。量が増えると質も上がり、プラスの循環が生まれます。「量より質」という言葉もありますが、医療では量と質は相関します。多くの経験を積めば、色々なことに対応できるようになるからです。

診療方針

─ 先生の診療方針をお聞かせください。

私は日本生まれですが、アメリカでトレーニングを受けた循環器内科医なので、「born in Japanだけれど、made in USA」です。アメリカでの私の師匠が言っていたのは「通常の治療を通常の方法でしっかりやれば問題ない」ということです。アクロバティックなことをする必要も、ヒーローになる必要もありません。実際、当院でもほかの病院でできない難症例は10%あるかないかです。普通の治療を合併症なく、普通にやることが一番大事で、実はそれが一番難しいんです。それができないから、人間の弱さがあるのかもしれません。要するに、当たり前のことを当たり前のように、皆がルールを守って生活すれば、世の中から交通事故も犯罪もなくなるわけです。どこかでルールを破ったり、エゴを出したりするから、事故や犯罪になります。医療も同じです。普通のことや当たり前のことを普通に当たり前にやるのがスタンダードであって、意外と難しく、それができないと合併症になります。それと、もう一つあります。

─ どういったことでしょうか。

「やらなければいけないこと」と「やってはいけないこと」を区別することです。やらなければいけないことはやらなくてはいけないし、やってはいけないことはやってはいけません。これだけで医療事故がなくなるし、色々な問題がかなり少なくなります。この2つを端折って、「まあいいか」でやるとロクなことになりません。具体的に言うと、合併症は難しい症例のときには起きません。数多くの診療をしていてうまくやっていると、どこかに心の隙が生じてしまい、「ああ大丈夫だ」と油断したときに合併症が起きます。心の隙が生じると、色々なことが当たり前ではなくなってきて、様々な問題が出てくるのです。これは私の弟子の開業医も「こんなの大したことないと油断すると足元を掬われます。これは大変だと思いながら慎重にやるほうが合併症は少ない」と言っています。全ての合併症の原因は油断です。そもそも世の中に簡単な手術は存在しません。当院のスタッフにも「簡単という言葉を使うな。普通か、難しいかのどちらかだ」と話しています。そのぐらい慎重に取り組んでいかないと、患者さんの安全は確保できません。

─ 千葉西総合病院で取り組まれている最新の医療について、お聞かせください。

色々な予定があります。例えば、私が専門にしている心臓血管治療では私が何十年もやって得意としているロータブレーターのほかに、大きなドリルや衝撃波という圧力で広げる方法もあります。弁膜症についても以前は胸を開く手術しかできなかったのですが、カテーテルで治療できるようになりました。不整脈もほぼカテーテルで治せます。これまで治療できなかった人がどんどん治療できるようになったことは素晴らしいことだと思います。消化器外科の手術にしても同様です。今はお腹を大きく掻っ捌くような手術は少なくなり、腹腔鏡のような内視鏡下での手術になってきました。そういう流れなんです。ですから、私たちはそういった流れを敏感に感じ取って、流れに遅れないようにしないといけません。その意味で、日本の医師免許は更新制のほうがいいと思います。

─ なぜでしょうか。

研鑽を積むためです。日本の医師免許は一回取ってしまえば、死ぬまでの一生ものです。ところがアメリカは2年ごとの更新制なんです。更新にあたってテストを受ける必要はありませんが、それなりに自己研鑽をしなくてはいけません。ですから、日本も「最新技術をある程度は知っていないと医師免許を更新できませんよ」という国であるべきではないかと思います。そういうことを言われなくても、医師は最新の医学や医療に対して常にアンテナを張っておく態度でないと、正しい医療はできないのではないでしょうか。そこで、私は当院のスタッフに対して、「カテーテルおたくになるな」と話しています。

─ どういった意味ですか。

カテーテル治療は心臓や血管診療のごく一部にしかすぎません。心臓カテーテル治療で全国1位の病院になったからと言って、カテーテルばかりをしていればいいというわけではなく、当院では内科、循環器、カテーテルの専門医資格を全て取ることを義務づけています。私自身もアメリカで働いていたときに、将来は日本で働くことを考え、わざわざ帰国して、日本の内科専門医資格を取りました。当時の先輩医師から「循環器の専門医には内科専門医は必要ない」と言われたこともありましたが、第三内科の主任教授でいらした前沢秀憲先生は「専門医資格は将来、必ず必要となる」とおっしゃいました。そして2018年からの新専門医制度では循環器を専門にする場合でもその前に内科専門医の取得が必要になりましたので、前沢先生がおっしゃっていたことが本当になりました。循環器が専門だから、循環器以外のことはよく分からないということでは本当の意味で患者さんに役に立つ医師にはなれないのです。