【第39回】見た目は違うが、生まれは似ている~日本の「株式」と中国の「股份」
2024年09月05日 公開中国本土の株式会社は、社名の最後がもれなく「股份有限公司」となっている。この「股份」とは、株式という意味だ。 日本の「株式」は、江戸時代の「株仲間」に由来する。株仲間は同業の問屋によるカルテル組織。「株」を持つ問屋だけが […]
講師 千原 靖弘
内藤証券投資調査部
1971年福岡県出身。東海大学大学院で中国戦国時代の秦の法律を研究し、1997年に修士号を取得。同年に中国政府奨学金を得て、上海の復旦大学に2年間留学。帰国後はアジア情報の配信会社で、半導体産業を中心とした台湾ニュースの執筆・編集を担当。その後、広東省広州に駐在。2002年から中国株情報の配信会社で執筆・編集を担当。2004年から内藤証券株式会社の中国部に在籍し、情報配信、投資家セミナーなどを担当。十数年にわたり中国の経済、金融市場、上場企業をウォッチし、それらの詳細な情報に加え、現地事情や社会・文化にも詳しい
中国本土の株式会社は、社名の最後がもれなく「股份有限公司」となっている。この「股份」とは、株式という意味だ。 日本の「株式」は、江戸時代の「株仲間」に由来する。株仲間は同業の問屋によるカルテル組織。「株」を持つ問屋だけが […]
香港の住環境は劣悪だ。観光地である香港島のビクトリアピーク(太平山)から周囲を眺望すると、山腹に華麗な豪邸が点在するが、これは極めて例外的な存在。多くの香港市民は、“狭い、古い、高い”の三拍子そろった住宅で暮らしている。 […]
香港の面積は札幌市と同程度にすぎないが、域内の“街並み景観”は多様だ。 英領香港の土地は、“王領植民地”(クラウン・コロニー)と中国からの租借地に分かれていた。王領植民地は香港島と九龍地区。租借地は“ニューテリトリー”( […]
英領香港の土地制度は複雑だった。“アヘン戦争”を終結させた「南京条約」が1842年8月29日に締結され、1843年6月26日に発効。これに先立つ1843年4月5日に、大英帝国のビクトリア女王は “香港勅許状”(中国語:英 […]
1978年12月に改革開放が始まる前の中国本土では、都市の住宅とは売買できる“私有財産”ではなく、勤務先の“単位”から従業員へ割り当てられる“公有財産”だった。 “単位”とは、中国の政府機関や国有企業などを意味する言葉だ […]
共産主義を標榜する中華人民共和国では、三大生産要素の筆頭格である土地が、国有あるいは集団所有となっている。個人所有の土地は存在しない。「中華人民共和国憲法」の第十条にも、“都市の土地は国家所有に属す”と明記されている。農 […]
急速な近代化や経済発展にともなう労働力需要は、新たな犯罪組織が勃興する契機となる。日本では明治時代がそうだった。 明治時代の前から日本のヤクザ者には、賭場を資金源とする「博徒系」と露天商を営む「的屋系」という二つの系統が […]
香港の三大犯罪組織として知られる「和勝和」「14K」「新義安」は、その創設背景は異なるが、いずれも清王朝の時代に誕生した秘密結社「洪門」の伝統を引き継いでいる。 香港を含む広東では、「洪門」から派生した「三合会」が、犯罪 […]
香港には多くの犯罪組織が存在し、その歴史は長い。中国南部では清王朝の時代から、「天地会」と呼ばれる秘密結社が存在した。その目的は中国を征服した満州人の清王朝を転覆し、漢民族の明王朝を復興すること。天地会は明王朝の開祖であ […]
中国共産党(共産党)が統治する中国本土でも、犯罪集団の存在が暴かれることがある。そうした悪者どもの界隈を「黒社会」と呼ぶ。 黒社会の犯罪集団は、改革開放政策による高度経済成長の副産物だ。正業を営んでいた地方の商売人や無頼 […]
新疆ウイグル自治区のウイグル人は1200万人弱。一方、ドイツのミュンヘンに拠点を置く世界ウイグル会議などの海外団体は、2000万~3000万人に達すると主張しているが、これを多くの学者は否定している。 米国では2018年 […]
新疆ウイグル自治区の面積は、中国全体の約6分の1に相当するが、砂漠や山脈など不毛の土地が多くを占める。厳しい自然環境を背景に、人口は2022年末でも約2587万人であり、中国全体の2%弱にすぎない。 ただ、それでも200 […]
新疆ウイグル自治区は広大であり、その面積は日本の約4.4倍。中国全体の約6分の1を占め、周辺8カ国と国境を接している。 その地形は非常に複雑。「三山挟両盆」(三つの山脈が二つの盆地を挟む)と形容される。 自治区内を東西に […]
現在は主に中国西部の新疆ウイグル自治区に定住するウイグル人だが、9世紀まではモンゴル高原に帝国を築いたテュルク系の遊牧民族であり、人種はモンゴロイドだった。 755年に中国の唐王朝で「安史の乱」が勃発すると、ウイグル帝国 […]
日本でウイグル人の姿を目にした人は、きっと少ないだろう。一方、中国駐在の経験がある日本人などは、中国の街角で彼らを見かけ、強い印象を持ったのではないかと思う。 ウイグル人のステレオタイプな容貌は、鼻筋が高く、髪や眼の色も […]
チベット自治区は広大だ。面積は日本の約3倍に相当し、中国の8分の1を占める。だが、人口は2021年末で360万人ほど。日本の横浜市と同程度であり、中国の0.3%にすぎない。1㎢の人口密度は3人を下回り、日本の100分の1 […]
チベットは百年あまり前まで、謎が多い“世界地図の空白”だった。この地で育まれたチベット仏教が世界に知られると、“神秘の地”というイメージがさらに広がった。そうした神秘のベールの裏側を今回は紹介する。 チベットでは7世紀に […]
日本や西洋で“チベット”と呼ばれる地域は、中国語で“西蔵”(シーザン)という。チベット語では“プー”と呼ぶ。 中国語の“西蔵”という呼称は、17世紀中ごろから清王朝で使われるようになった。このうち蔵(ザン)の字は、チベッ […]
モンゴル人の元王朝が中国を支配していた13世紀に、この地を旅したマルコ・ポーロの東洋に関する知見は、「東方見聞録」という書物にまとめられ、欧州各地に伝わった。 「東方見聞録」が伝えた中国の姿は、当時の欧州人には信じられな […]
漢民族の中国社会は多様であり、北緯33度付近の秦嶺山脈と淮河を東西に結ぶ「秦嶺・淮河線」を境に、北部と南部に分かれる。漢民族も小麦食の北方人と米食の南方人に分かれ、言語や文化も大きく異なる。 北部と南部は、そもそも自然環 […]