以前ご紹介したOld riderのW氏から、無線機は初めて使うならこんなものが良い、とお勧めを頂き、私も自分なりにいろいろとNetで検索したが、Net通販でも意外と高価なので驚いた。国境を超えて通信するような上級者は、自宅に天まで届きそうなアンテナを立てて、大掛かりな無線局を開設している。私の場合は、バイクツーリングで使うだけなので、トランシーバーがあれば済むはずだ、と探してみたところ、適当なものが見つかった。「FT-70D エアーバンドスペシャル 八重洲無線 C4FM/FM 144/430MHz デュアルバンドデジタルトランシーバー UHF(黒)」という無線機だ。2万円台で買えるので初心者の入門機としては良さそうだ。
そう思って購入したのは良いが、充電して電源をOnにしても、何も聞こえない。。とにかく、無線機なるものをいじったのは人生初なので、お恥ずかしいが、何も分からない、ということが分かっただけだった。受信も送信も出来ない4級アマチュア無線技士が、まずやることは、この無線機を総務省管轄関東綜合通信局に登録して、無線局の開局をすることだ、と気を取り直して、その方法を調べることにした。
無線局開局の手続き
最近の役所は、なんでも電子化している。無線局開局申請も、「総務省 電波利用 電子申請・届出システム Lite」を使わないといけない。以前、はがきで送られてきたユーザーIDとパスワードを利用して、以下のような流れで申請するのだが、携帯端末からは受け付けず、PC利用が必要とアナウンスされる。入力項目の説明が、我々一般人には不慣れな用語で書いてあるので、何を入力したら良いか分からず、添付ファイルの形式も、どれに変換すれば良いのか、と戸惑うことばかりだった。
入力が済んでNet申請すると、総務省から返信メールが送られてきた。
料金は電子納付手続きを、というので、クリニックの支払いに使っているネットバンキングからやってみたら、滞りなく実行できた。役所の決済も今後はどんどんと変わっていくのだろう。そうしてみたら、我々が日々行っている医療の内容も、紙ベースからdigitalベースへと変わりつつある。今現在、戦力として実際に現場で働いている人々であっても、ITリテラシーを持たない医療者は、今後第一線から引き下がらずを得ないだろう。
団塊の世代といわれる人口の多い時代に生まれた医療者が高齢になって、そろそろ引退を考えているといわれるが、加えて、digital化の波に飲まれて消えていく人たちが、今後加速度的に増えていくに違いない。そうした時に、日本の医療の土台となる人材育成を、従来とは違った視点で構築していく必要がある。どこまで国がその準備を進めているのかが見えて来ないが、喫緊の課題であることは間違いない。
免許状の交付
とりあえず、審査が終了して、返信用封筒を入れて関東総合通信局に送った。手数料、電波使用料も納付し、およそ2週間後に免許状が送られてきた。無線局に恭しく掲げる物だから、どんな意匠の物が送られてくるのか、と期待していたが、何のことはない、無味乾燥の紙ペラ1枚だったのには少しがっかりしたが、兎にも角にもこれで私のミッションは完結したといえるだろう。
私のアマチュア無線免許取得作戦については、social mediaで知人、友人にお知らせしていたが、自分も持っています、と連絡を頂けたのはお二人だけだった。それも、昔若い頃に取得して、今ではもう電波を発信することもなく錆び付いています、というお知らせだった。ペーパードライバーは少ないが、ペーパーアマチュア無線技士は予想以上に多そうだ。
トランシーバーは、移動局としてバイクでも使える。時々路上で、停車中のバイク便のドライバーが、肩口にトランシーバーを着けて通話しているのを見かけることがあるが、ちょっとカッコイイと思う。私もあれをやりたいのだが、若い人たちとは違って、old riderがやるのはどんな物だろうか、と考えてしまう。しかし、それをやらなければ、私もこのままペーパーアマチュア無線技士で終わりそうだ。とりあえず、4月にバイクをHarley-Davidson XL883Rに乗り換えたので、そのサイドバックには入れておこうと思っている。もしツーリングで見晴らしの良いところへ行ったら、そこで電波を飛ばしてみたい。
Phonetic Alphabet
免許状に乗っている私の識別信号(call sign)は、JK1XVHで、いいまちがい、聞き間違いを防ぐために、一文字一文字をはっきりと識別させるための読み方が決められている。それをPhonetic alphabet というが、飛行機と管制塔とのやりとりや、軍隊の師団間の無線のやりとりなどで聞いたことがあると思う。「こちらアルファ1、チャーリー2聞こえますか?」などと、昔白黒TV「Combat(米ABCで1962~1967年まで放送された、米兵たちのヒューマンドラマ)」で、チップ・サンダース軍曹やブロックマイヤー二等兵(無線通信手)がやっていたのを、子供の頃真似したことがあった。以前もお話ししたが、米国留学中にセスナの免許取得のための訓練で、管制塔とどの滑走路を使用するかのやり取りにも使っていた。日本語の「朝日のア」「すずめのス」といった和文通話表もあるが(日本語の電報を打つ際に使われる)、無線ではほとんどが英文通話表(Phonetic Alphabet)を使っているようだ。
このPhonetic Alphabetを使うと、私のcall signはJuliett Kilo one X-Ray Victor Hotelと読む。もしアマチュア無線技士の方がいたら、呼びかけて頂ければ応答が可能かもしれない。
<資料>
1) Phonetic Alphabet:https://mi135.cap.gov/-training/phonetic-alphabet