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記事・コラム 2026.04.21

プロフェッショナルインタビュー

第4回「今の医学生がとてもよく勉強していることが分かります。」旭川赤十字病院 副院長 瀧澤克己先生

話題沸騰!数々の人気番組に出演している医師たちが語る
「キャリア」「信念」「未来」そのすべてに迫るインタビュー!

どのようにしてスキルを高め、逆境を乗り越えてきたのか?
日常の葛藤、医師としての信条、そして描く未来のビジョンとは――。

【出演番組一部抜粋】
 情熱大陸

今回は【旭川赤十字病院 脳神経外科 副院長】の瀧澤克己先生のインタビューです!
テーマは 第4回「今の医学生がとてもよく勉強していることが分かります。」をお話しいただきます。

プロフィール

名前
瀧澤(たきざわ) 克己(かつみ)
病院名
旭川赤十字病院
所属
脳神経外科
日本脳卒中の外科学会、日本頭蓋底外科学会、日本救急医学会、医療の質・安全学会にも所属する。
資格
  • 日本脳神経外科学会専門医
  • 日本脳卒中学会認定医・指導医・評議員
  • 旭川医科大学臨床指導教授
  • 藤田医科大学ばんたね病院客員教授
  • 日本脳神経外科救急学会評議員
  • 日本意識障害学会評議員
  • 病院総合医など。
経歴
  • 1965年北海道虻田郡倶知安町で生まれる。
  • 1990年旭川医科大学を卒業後、旭川医科大学脳神経外科に入局する。
  • 1996年旭川赤十字病院脳神経外科に勤務する。
  • 1998年秋田県立脳血管研究センター(現 秋田県立循環器・脳脊髄センター)研究員となる。
  • 2000年旭川赤十字病院脳神経外科に勤務する。
  • 2007年旭川赤十字病院脳神経外科第三部長に就任する。
  • 2010年旭川赤十字病院脳神経外科第二部長に就任し、医療安全推進室長を兼任する。
  • 2011年旭川医科大学臨床教授を兼任する。
  • 2012年旭川赤十字病院脳神経外科第一部長に就任し、上席院長補佐を兼任する。
  • 2015年藤田医科大学ばんたね病院客員教授を兼任する。
  • 2020年旭川赤十字病院副院長を兼任する。

─ 先生は医学生と接することもありますか。

旭川医科大学から依頼を受け、脳神経外科を希望している学生の実習をお受けしていますし、それから初期研修先を選ぶための見学に来る学生と接することもあります。

─ 医学生に対してはどういう指導を心がけていらっしゃいますか。

医学生が初期研修先の病院を選ぶ基準の一つになっているのが「どのぐらい経験させてくれるのか」ということですし、そこを質問してくる人も多いです。それで手術室に一緒に入り、見学していただいています。私としては「本当にやる気があるのかな」と思うこともありますが(笑)、一緒に手術室に入ってみると、今の医学生がとてもよく勉強していることが分かります。医学部のカリキュラムにしても、初期研修のシステムにしても、私たちの頃と比べると優れたものになっています。私は学生時代、医局にただ遊びに行くだけで、夜は説明会でいただく弁当を食べているぐらいでしたが、今の若い人は学生時代から勉強をよくしていて、人生設計をしっかり立てているのだなと感じます。それは利点でもあり、欠点でもありますね。

─ 初期研修医に対してはいかがですか。

当院の枠は1学年10人ですが、その中で毎年2、3人は脳神経外科を希望しています。例えば2025年は10人のうち、4人が脳神経外科に進むことが決まりましたし、2024年も2人が脳神経外科に進みました。脳神経外科医を毎年、生産している病院だと思います(笑)。

─ 救急外来で指導されることもありますか。

ありますよ。私は今も当直していますし、昨日も当直しました。働き方改革が始まる前は月に1回か2回の当直をして、残りは急患の臨時手術が決まったときに病院に行くという感じだったのですが、働き方改革が始まってからはそうはいかなくなりました。私は副院長なので、時間外手当がつかず、自己研鑽という形になります。他の先生の時間外勤務が上限を超えないようにしないといけないため、今は月に5、6回の当直をしています。当院の脳神経外科には私を含めて11人の医師がいますが、高齢化しているんです(笑)。私は60歳ですし、血管内治療を専門にしている医師が2つ下の58歳、それから57歳が2人、54歳、53歳と続きます。一番若い医師は2024年に専門医を取ったばかりで、その下は北海道大学から来ている専攻医です。そのメンバーで、脳神経外科を回る初期研修医や救急外来で一緒になる初期研修医の指導にあたっています。

2025年4月 日赤脳外科スタッフと

─ 専攻医にはどのような指導をされているのですか。

専攻医だからというのはなく、ほかの医師と同じ感覚で指導していますし、手術もさせています。

─ 手術の手技をどのように教えられるのですか。

教え方は難しいですよね。一人でさせるのか、横にいて指導するのかのどちらがいいのかは微妙なところです。大事なことは専攻医が自分でできるようにならないといけないということで、「自分でできるようになる」とは手先の技術ではなく、判断力も含めて「できるようになる」ということです。指導医がすぐ横にいて「ここやれ、これやれ」と指示を出しながら手術させることを「二人羽織手術」と言っているのですが、それだと「ここやれ」と言われたことはできても、一人でやってもらうとなるとできないんですよね。でも、成功体験を持たせることも大切です。横にいて「ここやれ」と言って、専攻医ができたときに「できたね」という教え方をする人もいますし、それがいい面もあります。しかし、私は基本的には一人でやらせます。ただ、私も専攻医を一人きりにはさせず、全てを見ています。

─ どのように声をかけられるのですか。

専攻医が自分では頑張ってやっていると思っていても、良くない状況になることもあります。そんなときは私が代わって、同じところを手術すると「術野がこんなに変わるんだ」ということが分かります。専攻医がそれを見ることで、「こうやったら、こうなるんだ」ということが分かってくるんですね。「ここやれ」と言われながらやると、それが当たり前になります。でも「自分でやってできなかったことを指導医の先生がすれば、こんなに違うんだ」という経験を繰り返すことによって、専攻医自身がどう考えて、どうやるかというプロセスが磨かれていくのではないかと思います。ただ、手術には練習はなく、常に本番です。当科では学生実習でも糸を結んだり、縫ったりもさせていますが、それも練習ではなく、その1本が緩かったら合併症になるかもしれないので、全てを100%でやらないといけないと指導しています。

─ 実際の患者さんに対して、経験させていらっしゃるんですね。

実際の患者さんで経験できると、学生はもちろん、研修医や専攻医も嬉しいものです。でも練習が足りていない人もいます。それを指導医に言われて練習するのは駄目ですね。実際の患者さんへの行為を「練習」と言うのは語弊がありますが、患者さんへの手術でないと経験できないこともあります。一方で、糸結びなどは患者さん相手でなくても練習できることですよね。だから、駄目だと言われて練習するのではなく、患者さんではないところで自分で練習しておかなくてはいけないと思います。「実際にやってごらん」と言われたときには「よく練習しているね」と言わせてやるみたいな気持ちで取り組んでほしいです。でも、これをやっている人は少ないです(笑)。患者さん相手でなくても、糸結びや縫合は自主練習をしっかり行っていれば、私よりもうまくなる可能性がありますよ。

日赤手術室スタッフと

─ 先生はそうやって練習されてきたのですね。

若い頃は自分がやれることは決まっています。縫うこと、縛ることといったことですよね。そういう自分がやれることは上の先生よりもうまくなれる可能性があると思っていました。若い医師は慢性硬膜下血腫の手術やシャント手術を担当することが多いのですが、これらを「自分のレベルで頑張った」のではなく、「シャント手術なら、上級医よりもうまくやってやろう」という考えでやっていました。その積み重ねで今に至っています。

─ 先生は藤田医科大学でも教えていらっしゃるのですね。

藤田医科大学の加藤庸子教授には海外での教育でお世話になっているのですが、藤田医科大学ばんたね病院で難しい症例があると呼んでくださるようになりました。毎月1回、5、6年ほど続けています。

─ 脳神経外科の難しさ、面白さはどのようなところにありますか。

難しいことはやはり一歩間違ったら、患者さんの人生に関わるような後遺症になったり、命に関わったりするところです。逆に面白さは色々なサブスペシャリティがあることですね。脳神経外科は脳卒中も診ますし脊髄や末梢神経も診ます。血管内治療やてんかんなどの機能外科などもあり、自分が興味を持った分野に進むことができます。また脳の機能にはまだ分からないことも多くありますので、そういう意味でも面白い科であると感じています。