話題沸騰!数々の人気番組に出演している医師たちが語る
「キャリア」「信念」「未来」そのすべてに迫るインタビュー!
どのようにしてスキルを高め、逆境を乗り越えてきたのか?
日常の葛藤、医師としての信条、そして描く未来のビジョンとは――。
【出演番組一部抜粋】
情熱大陸
今回は【千葉西総合病院 院長】の三角和雄 先生のインタビューです!
テーマは 第5回「おそらく10年以内には大きく胸を開く手術はなくなるでしょう」をお話しいただきます。
目次
プロフィール
- 名前
- 三角(みすみ) 和雄(かずお)
- 病院名
- 千葉西総合病院
- 所属
- 院長
- 資格
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- 米国内科学会専門医正会員
- 米国心臓病学会専門医正会員
- 日本内科学会専門医評議員
- 日本循環器学会専門医
- 日本心血管インターベンション治療学会心血管カテーテル治療専門医・施設代表医
- 日本冠疾患学会評議員
- 日本老年病学会専門医
- 米国カリフォルニア州・ハワイ州医師免許など
- 経歴
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- 1957年に大阪府大阪市で生まれる。
- 1982年に東京医科歯科大学(現 東京科学大学)を卒業、長尾優学術奨励賞(金時計)授与、すぐに東京医科歯科大学第三内科(現 東京科学大学循環器内科)に入局し、東京医科歯科大学医学部附属病院 (現 東京科学大学病院)に勤務する。
- 1983年に横浜南共済病院に勤務する。
- 1984年に東京医科歯科大学医学部附属病院に勤務する。
- 1985年にイリノイ大学医学部シカゴ校に心臓血管病理の研究留学をする。
その後、ニューヨーク医科大学リンカーン・メディカル&メンタルヘルスセンター内科レジデント、カリフォルニア大学ディヴィス校神経内科レジデント、ピッツバーグ大学メディカルセンター内科レジデント、カリフォルニア大学アーヴァイン校心臓内科クリニカル・フェローとして、研修を行う。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)グッド・サマリタン病院心臓内科で2年半のクリニカル・フェロー研修を行う。 - 1996年にハワイ大学医学部内科(循環器部門)臨床系助教授に就任する。
- 1998年に千葉西総合病院に心臓センター長、研修委員長として着任する。
- 2000年に千葉西総合病院副院長に就任する。
- 2003年から2017年まで東京医科歯科大学(現 東京科学大学)臨床教授を兼任する。
- 2004年に千葉西総合病院病院長に就任する。
- 2017年から2020年まで東京医科歯科大学(現 東京科学大学)特命教授を兼任する。
─ 若手医師への指導について、お聞かせください。
私の指導方針は前回、お話しした通りで、「事故をしないこと」「患者さんに優しくすること」「救急を受けること」です。初期研修医に対して、細かく教えていくのは内科や外科の若手医師の仕事です。循環器内科でも循環器内科に回ってきた研修医を指導するのは若手医師です。私がカテーテルをするときにたまたま初期研修医がいれば、私が直接教えることもありますが、私の仕事は当院の宗教のような考え方を浸透させることにあります。当院の初期研修医は1学年22人いますので、一人ずつに座学のように教え込むのは難しいです。そのため、日々の診療の現場で若手医師だけでなく、中堅医師も加わり、「これがうちの方針だよ」「こうしたほうが患者さんにメリットがあるよ」「こうしたほうが見逃しが少なくなるよ」と毎日教えて、それを積み重ねていかなくてはいけません。そもそも研修医に教えるべき人間を最初に教えたのは私です。その時代はずっと前に過ぎ去りましたが、私の教育を受けた医師が残っていますので、教えられた人間がさらに下を教え、次の時代、次の時代へと教育していきながら、今の姿ができあがりました。カテーテルも同様です。若手は「何が何でも」とのめり込んでしまいますので、「絶対に無理をするな」「無理が通れば道理が引っ込むと言うんだよ」「無理していいことはなく、引き際が肝心だ」と伝えています。こういう話はよくしますね。
─ 教育の歴史が積み重なっていったのですね。
当院はカテーテルをこれだけやって、治療数ランキングでも日本一になっていますが、医療訴訟が全くありません。もちろん合併症はありますが、患者さんやご家族から訴えられ、訴訟になったことはありません。訴訟にならない理由の一つに当院のカテーテル室の特徴があります。あのカテーテル室だと皆の様子が見えますから、お互いが目を光らせることができます。患者さんのカテーテルを操作している医師の目の前とカテ室の外にもモニターがあって、2段階でチェックできます。これはほかの病院でもそうなのですが、当院はカテ室の外の大きい壁にもモニターを設置しています。これにより、手前に座っている医師もモニターを確認でき、「これ、何かおかしいからチェックしたほうがいいよ」とアドバイスしたり、「1カテが何か変だよ」「どれどれ、ああ血圧が落ちているね。何か原因があるね」ということが頻繁にあります。当然、私が座っている指令室にもモニターがありますから、全部で4段階のチェック体制があります。そのため、ヒヤッとすることがあっても、ある医師の「これで大丈夫だ」という独断から急変して亡くなったということが1回もありません。このカテーテル室だと診療をしている医師も安心できます。そして若手医師がカテーテルをするときにはベテラン医師が必ずヘルプに入りますし、待機的な冠動脈のカテーテル治療に関しては私が100%、目を通しています。だから、これだけの数を行っていても医療訴訟がないのだと思います。ここまでのセキュリティ対策のある病院は全国にもなかなかないと自負しています。これに加え、war room(戦略集中室)もあります。ここでは循環器と透析室を24時間、心電図などのモニターを監視していますので、急変したときにはすぐに駆けつけることができます。
─ 患者さんへの教育にも力を入れておられますね。
患者さんへの教育に関しては若手医師への教育と同じように、「普通のことをきちんとしてくれればいいんですよ」とお話ししています。でも、いくら言っても、それができない方は大勢おり、医師への教育のようにはいきません。薬を飲み忘れたり、大酒を飲んだり、煙草を吸ったりなどですね。これらは各個人に帰するところがあり、いくら言っても守れない方もいれば、かなり神経質に守ろうとする方もいます。ただ、「ご自身の健康のためにこれだけはやってくださいよ」と言っておかないと、素人である患者さんには分かりません。その中で当院では栄養指導に力を入れています。脂っこいものや甘いものを食べていいのかという判断は大事ですし、教えておかないと分からないことなので、必ず1回は栄養指導を入れるようにしています。
─ 循環器内科の面白さや遣り甲斐はどういったところにありますか。
目の前で患者さんが良くなることです。循環器治療は治りが早く、詰まっていた血管がさっと広がり、苦しんでいた患者さんがすぐに良くなります。例えば糖尿病治療だと薬を変えて、2カ月や3カ月後に採血してというふうに結果を待たないといけませんが、循環器は勝負が早いんです。その場で良くなることが醍醐味ですね。心臓は止まったら最後の臓器であり、私たちが頑張らないと止まってしまいます。この意義は大きいですし、循環器内科医は誰でも同じ思いでいることでしょう。
─ 一方で、循環器内科の難しさはどういったことでしょうか。
やはり救急が多いことですね。今どきの話でいくと、ワーク・ライフ・バランスが良いとは言えません。特に働き方改革が始まってからは当直後にすぐに帰らないといけなくなったため、ほかの医師にしわ寄せが行くようになり、やりにくい時代になりました。きちんとマネジメントしないと回っていかないですね。医師のほうもいわゆる9時5時で帰宅し、自分の時間を取るということをあまり期待しないほうがいいです。以前よりは休めるようになったものの、患者さんは待ってくれませんし、「夜5時以降には心筋梗塞にならない」という法則もありません。だから警察官や消防官の仕事と似ています。どこかに泥棒が入ったとしても「明日の朝まで待ってください」とは言えないし、どこかが火事になったとしても「夜8時ですから、今日は行きません」とも言えません。心臓とはそういうものなんです。整形外科で診る骨折ならある程度、急を要するでしょうが、風邪を引いて喉が痛くて熱があるぐらいなら、「まずは解熱剤を飲んで、病院には明日行こう」となります。でも胸が痛い、非常に苦しいという場合、明日はないんです。心臓は待ってくれません。これは宿命のようなものなので、この宿命を受容する覚悟がないと循環器内科は難しいです。
─ これからの循環器内科はどのように変化していきますか。
傾向としては人間の身体に傷をつけない、侵襲を加えない、入院が短くなるといった、いわゆるストレスの少ない治療になっていくでしょう。これまでは大きく胸を開いていた手術が胸を開かなくなったり、全身麻酔が局所麻酔になったりという治療が主流になります。これは間違いないですね。携帯電話のガラケーがスマホになったり、飛行機がドローンになったのと同じです。最近の撮影はドローンが主体になってきたように、循環器内科の治療も身体に優しい治療が中心になります。おそらく10年以内には大きく胸を開く手術はなくなるでしょう。こうした手術に代わり、時代に対応できる技術を身につけることが重要になります。
─ そうした変化に対して、どのような布石を打っていらっしゃるのですか。
当院には各領域の専門家がいますから、「今度、こういう治療ができるようになる。ああいう治療ができるようになる」という情報が入ってきます。そういうアンテナを立てていると、情報は自然に入るんですね。そのときに「まあ、これはしなくていいや」と言わず、積極的に取り入れていきたいと考えています。
─ 先生は医療機器を積極的に購入されるのですか。
いえ。不必要なものは買わず、必要なものを買っています。必要と言えば必要だけれど、もう少し待って成績を確認してから買おうとしたり、べらぼうに高いものは買いません。そこには経営的な判断が必要です。そのバランス感覚も大事ですね。高額なものを買うと、頑張って症例数を増やして、足りなかったらもう1台、さらに1台と増やしていけば、導入した機器が無駄になりません。そして医療機器を導入すると、どのぐらいの稼働率なのかといった統計を取ることにしています。これにより、高額な機器を買っても思ったよりも使わず、無駄になったということがありません。
─ 心臓CTの導入は早かったと伺いました。
心臓CTは絶対に役に立つと分かっていました。高額な機器ですが、カテーテルをしなくても、瞬時に冠動脈のどこに問題があるかが分かります。素早く治療方針を決めるにはとても有用な検査機器ですし、患者さんもドームの中に寝ているだけで、負担もありませんから、2008年という時期に早々と導入しました。でも、当院が日本での第一号かと言うと、違います。私が導入したのは64列で、16列や32列のものを入れていた病院もありました。しかも、初期のものは価格が高く、高いわりに16列や32列だと見えないんです。そのため、「もう少ししたら高性能のものが出て、値段も下がる」と思い、すぐには買いませんでした。ダ・ヴィンチという手術用ロボットも同様です。最初のものは高すぎるし、より良いものが安く出てから買おうと決めました。当院でダ・ヴィンチを導入したのは2016年3月で、最高機能のダ・ヴィンチXiを全国でもかなり早い段階で、しかも従来の機種よりも廉価で導入することができました。ですから、新しいものにすぐに飛びつくことはしません。
─ それでは若い先生方にメッセージをお願いします。
奇を衒ったことはせず、当たり前のことを普通にやりましょう。そして、やらなければいけないことはやらなければいけないし、やってはいけないことはやってはいけません。それだけです。それさえやっていれば、まず問題なく、技術を磨き、知識も増やして、自分をより良い医師にすることができるはずです。