話題沸騰!数々の人気番組に出演している医師たちが語る
「キャリア」「信念」「未来」そのすべてに迫るインタビュー!
どのようにしてスキルを高め、逆境を乗り越えてきたのか?
日常の葛藤、医師としての信条、そして描く未来のビジョンとは――。
【出演番組一部抜粋】
主治医が見つかる診療所、林修の今知りたいでしょ!、など
今回は【東京女子医科大学病院 高血圧・内分泌内科】の市原 淳弘先生のインタビューです!
テーマは 第4回「教授選には10人の立候補者がいたので、激戦だったんです」をお話しいただきます。
目次
- プロフィール
- 2011年に東京女子医科大学に教授として着任されましたが、東京女子医科大学に移られたきっかけをお聞かせください。
- 先生がその激戦を勝ち抜けたのはどうしてだと思っていらっしゃいますか。
- 教授として、教室を主宰されるようになった当初はいかがでしたか。
- 講座の特徴として、「攻めの医療」を掲げておられます。
- 講座のメンバーも増えてきましたか。
- 診療にあたって、心がけていることをお聞かせください。
- チーム医療をどのように推進されていますか。
- 病診連携に関してはいかがですか。
- 先生は卒後臨床研修センター長も務めていらっしゃいますね。
- 今はパワハラや長時間労働など、先生が医師として育ってこられた時代には許されていたことが許されないものになりましたね。
- 指導医の先生方へのご指導はどのようにされているのですか。
プロフィール
- 名前
- 市原(いちはら)淳弘(あつひろ)
- 病院名
- 東京女子医科大学
- 所属
- 高血圧・内分泌内科
- 資格
-
- 日本内科学会専門医、指導医
- 日本高血圧学会理事、評議員、特別正会員、専門医、指導医
- 日本内分泌学会評議員、専門医、指導医
- 日本心血管内分泌代謝学会理事、評議員
- 日本動脈硬化学会評議員、専門医、指導医
- 日本妊娠高血圧学会監事(前理事長)
- 日本腎臓学会学術評議員、専門医、指導医
- 米国心臓学会高血圧部門評議員
- 日本透析医学会専門医など。
日本循環器学会、日本糖尿病学会、日本抗加齢医学会、日本神経内分泌学会、日本甲状腺学会、米国内分泌学会、欧州内分泌学会、国際高血圧学会、米国生理学会にも所属している。
- 経歴
-
- 1961年に愛知県名古屋市で生まれる。
- 1986年に慶應義塾大学を卒業後、慶應義塾大学病院内科で研修医となり、大田原赤十字病院(現 那須赤十字病院)などに勤務する。
- 1990年に慶應義塾大学内科学教室に入局し、慶應義塾大学病院に勤務する。
- 1995年に米国Tulane大学に留学する。
- 1998年に帰国し、川崎市立井田病院に勤務する。
- 2001年に慶應義塾大学腎臓内分泌代謝内科助手に就任する。
- 2007年に慶應義塾大学抗加齢内分泌学講座講師に就任する。
- 2009年に慶應義塾大学抗加齢内分泌学講座准教授に就任する。
- 2011年に東京女子医科大学内科学(第二)講座主任教授に就任する。
- 2018年に東京女子医科大学内分泌内科学講座教授・講座主任に名称変更となる。
- 2025年に東京女子医科大学内科学講座液性病態制御内科学分野教授・基幹分野長に名称変更となり、東京女子医科大学病院副院長 兼 卒後臨床研修センター長に就任する。
- 2026年に東京女子医科大学高血圧・内分泌内科 特任教授 兼 病院長補佐に就任する。
─ 2011年に東京女子医科大学に教授として着任されましたが、東京女子医科大学に移られたきっかけをお聞かせください。
私が所属していた慶應の腎臓内分泌代謝内科は教授が猿田享男先生のご退官により、伊藤裕先生に代わっていたのですが、その伊藤先生から「東京女子医科大学の教授選に出ないか」とお声がけをいただいたので、その公募に立候補しました。その教授選には10人の立候補者がいたので、激戦だったんです。
─ 先生がその激戦を勝ち抜けたのはどうしてだと思っていらっしゃいますか。
どうでしょうね。私の研究生活は先輩の研究の手伝いのため、犬を抱っこすることから始まりました。そして当時の教授でいらした猿田先生から流行でもない、意外なテーマを与えられたりもしました。でも、それらを受け入れながら、自分で最善の努力を続けてきたからかもしれません。アメリカでNabar教授のハードワークを目の当たりにして、私自身も成果を出しましたし、そういう成果が数多くあったことも理由の一つでしょうが、忍耐力や継続力といった部分も評価されたのかもしれません。
─ 教授として、教室を主宰されるようになった当初はいかがでしたか。
慶應と女子医大では大学の文化が違いますが、そういう違い以外でもかなり大変でした(笑)。女子医大の高血圧・内分泌内科はもともと内科学第二講座で、私が着任したときは第二講座のままだったのですが、途中でナンバー制を廃止しようということになり、内分泌内科学講座になりました。女子医大には以前から内分泌のメッカだと言われてきた歴史があります。昔も今も希少な内分泌疾患の患者さんが大勢いらっしゃるので、そういう意味では私自身も勉強になりました。ただ、私が来たことで、新しい治療を始めたり、研究面でも経営面でも新しい風を吹かせて、前向きなものが与えられたのではないかと思っています。スタッフの融合やリクルートは大変でしたので、苦労しなかったと言えば嘘になります。伝統を守りつつ、その中に新しく、前向きなファクターを入れることに苦心しました。
─ 講座の特徴として、「攻めの医療」を掲げておられます。
既に分かっている診断法や治療法に胡座をかいて、それを単に継続していくだけでは意味がありません。もう一歩前に出るために、常に何か新しいものやより良いものを提供できないかという視点で物事を考え、診療をさらにステップアップできるよう、努力を続けていくことを心がけています。
─ 講座のメンバーも増えてきましたか。
そうですね。人が集まってきて、とても充実しています。ただ、女子医大は報道を賑わせてしまった時期があるので、そこで一旦、停滞してしまったのですが、その事件が落ち着いてからは再び息を吹き返しつつあるところです。
─ 診療にあたって、心がけていることをお聞かせください。
内分泌内科医として、どの患者さんに対しても、例えば風邪一つとっても、その患者さんの身体の中でどういうホルモンが今、どういうふうに動いているのだろう、どういうふうにバランスを崩しているのだろうということを頭の中で想像しながら診療しています。そのためホルモンの観点から、患者さんには「今、あなたにはこういった部分が不足しているから、こういう生活習慣にしてみたらどうか」というアドバイスをしたり、あるいはホルモンの補充を提案したりしています。患者さんからすれば「自分の病気はシンプルだし、これで治せばいいんだろうな」と思っておられたところに、私がホルモンの観点からの見解を申し上げると、新しい視点に驚かれる患者さんもいます。一方で、非常に興味深く感じてくださる患者さんもいますので、常にそういう視点を持って患者さんに接することを心がけていますね。
─ チーム医療をどのように推進されていますか。
ホルモンを測定するのは臨床検査技師さんですし、看護師さんは日常の診療の中で我々が気づかない患者さんの特徴などに気づいてくれたりします。さらに栄養士さん、リハビリ中の患者さんがいれば理学療法士さんなど、常にチーム医療を意識したミーティングを行っています。ミーティングでは一人一人の患者さんへの気づきを共有していますので、そこから正しい診断に導けたり、「この患者さんは実はこういう病気も合併していた」ということが分かったりしますので、非常に有益です。
─ 病診連携に関してはいかがですか。
非常に落ち着いた患者さんについては紹介していただいた先生に必ずお返ししますし、そういう先生がいらっしゃらない場合は患者さんが通いやすい病院や診療所を見つけて、そこに通っていただくようにしています。ただ、私どもで診ている疾患は内分泌に関わる疾患ですので、何も変化がないことを確認したり、あるいは変化があるかもしれませんので、年に1回は必ず私どもの外来に来ていただき、ホルモンチェックをしたり、例えば下垂体疾患であれば下垂体のMRIを撮影したりなどのチェックをさせていただいています。一方で、普段のお薬や状況は近隣の先生で診ていただき、何かあればご連絡をいただくという連携も行っています。
─ 先生は卒後臨床研修センター長も務めていらっしゃいますね。
卒後臨床研修センター長の仕事はなかなか大変です。当院で初期臨床研修を希望する医学生の試験から始まり、面接、入職をして、2年間の初期研修の間、お世話をさせていただくのですが、その間に初期研修医が病気になったり、妊娠や出産をしたり、ご家庭の事情を抱えることになったりなど、色々なことがあります。私自身の子どもでさえ大変なのに(笑)、他人さまの子どもさん、しかも大人を2年にわたってお世話させていただくことは本当に大変です。ただ、当院には指導医の先生方が揃っていますし、その指導医を育てるための指導医講習会も行っています。指導医を育てること、その指導医を介して、研修医を育てることなど、キリがないぐらい忙しく働かせていただいていますよ。ただ、やはりそういう先生方が一人前になって立派に育っていく姿を見ると、いいものです。研修医はどこまで、またどのように思っているのかは分からないのですが、私は何か社会に貢献した気がして、良かったなあと自己満足に浸っています(笑)。
─ 今はパワハラや長時間労働など、先生が医師として育ってこられた時代には許されていたことが許されないものになりましたね。
そうですね。働き方改革もありますし、以前の私たちのように朝から深夜まで働くことはできず、研修医や専攻医を早く帰さないといけないという制約があります。言葉遣いにも気をつけないといけませんし、無理なことはさせられません。ただ、やはり大切なのは心です。「社会に貢献しよう」「患者さんに奉仕しよう」といったホスピタリティの心のありようを伝えて、若い先生方が「もう少し前向きに頑張ろう」「自己研鑽しよう」という自発的な気持ちや意欲を引き出せるような努力を続けています。もちろん、皆が皆そうなるとは限りませんが、中にはそういう言葉に反応してくれて、前向きになったり、意欲的になったりしてくれる人がいます。そういう人が一人でもいると嬉しいですが、毎年数人はいますので、本当に嬉しく感じています。
─ 指導医の先生方へのご指導はどのようにされているのですか。
指導医講習会では働き方改革のルールの周知はもちろんですが、メンタルのケアやコーチングの方法などをお伝えしています。それから、指導医の先生方がこの臨床研修制度をより良くするにはどうしたらいいのか、どういうことを検討していけばいいのかということを考えていただけるように、卒後臨床研修センター長としての視点から初期研修医を育てることに対する意識を高めていくという内容を入れています。