医療ニュース 2024.05.07
rTMS療法、子どもへの実施は「適切でない」…発達障害へは「非倫理的で危険」
18歳以上のうつ病患者を対象に公的医療保険が適用されている「反復経頭蓋磁気刺激療法」(rTMS療法)について、日本児童青年精神医学会は「18歳未満の子どもへの有効性と安全性は十分には認められていない。実施は適切ではない」などとする声明を出した。一部の医療機関が「発達障害に有効」として、子どもを対象に自費診療で行っていることについて、「非倫理的で危険性を伴う」としている。
rTMS療法は、専用の機器を使って、頭の外側から脳の神経細胞を磁気で刺激し、うつ病の症状緩和を狙う。保険の対象は、抗うつ薬では十分な効果を得られない18歳以上のうつ病患者で、別の専門学会の使用指針では18歳未満には行うべきではないとしている。
声明では、この療法は重い副作用として、けいれん発作が表れることがあると指摘。発達障害や精神疾患がある18歳未満の子どもを対象にした海外の臨床試験を精査した結果、有効性と安全性は十分には認められないと判断した。
日本児童青年精神医学会の岡田俊代表理事は「rTMS療法の自費診療を行う医療機関の多くは、副作用に対応できない懸念がある。子どもへの有効性や安全性を臨床試験で十分に検証してから行うべきだ」と話している。