医療ニュース 2024.03.08

iPS細胞由来の心筋球、心不全患者に移植し一部機能改善…慶大発の新興企業が発表

 慶応大発の新興企業「ハートシード」(東京)などのチームは8日、人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作った心臓の筋肉(心筋)の細胞を塊にした「心筋球」を重い心不全患者に移植し、3人で移植部位の心臓機能に改善がみられたと発表した。神戸市で開かれた日本循環器学会で、半年の経過観察を終えた患者の状態を明らかにした。

 チームは、患者10人に心筋球を移植する治験を2022年12月から始めた。他人のiPS細胞から作った心筋球5万個を特殊な注射器で心臓に移植する。

 チームによると、心臓全体の収縮機能は3人中2人で改善した一方、1人は悪化した。ただ、3人とも移植部位の収縮機能は改善しており、心筋球が心臓の一部として働いているとみられるという。同社は今後、治験を続け、最短で来年中の実用化を目指す。

 国立循環器病研究センターの北井豪・心不全部長の話「心筋球の効果に期待できる可能性がある。まだ症例数が少ないため、最終的な治験結果を見守りたい」