医療ニュース 2023.12.16

精神科のオンライン診療、対面と同等の治療効果…研究チーム「通院困難な人が受診しやすくなる」

精神科でのオンライン診療は、対面診療と同等の治療効果があるとの研究結果を、慶応大などの共同チームが発表した。治療の継続率や患者の満足度にも大きな違いはなかった。精神科におけるオンライン診療の有効性を裏付ける国内初の研究という。

論文が16日、国際医学誌に掲載された。研究には慶応大など国内19の医療機関が参加。うつ病、不安症、強迫症の患者計199人を「オンライン診療と対面診療を併用」と、「対面診療のみ」の2グループに分けて、24週間の治療を行った。治療効果を点数化して比較したところ、治療成績は同等だった。

オンライン診療は2020年4月から、新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、初診から利用できるようになった。しかし精神科では他の診療科と比べて診療報酬が低く抑えられていることなどから、ほとんど利用されていないという。

研究代表者の岸本泰士郎・慶大特任教授は「オンライン診療が広がれば、精神科にかかりにくいと感じている人や、症状によって通院が難しい患者が受診しやすくなる」と話す。

 日本遠隔医療学会理事で、「こどもとおとなのクリニックパウルーム」(東京)の黒木春郎院長は「精神疾患をオンラインで診ても効果があると確認できた研究だ。精神疾患の患者が利用することで、通院の負担が軽減し、医師と話がしやすくなることもある」と話している。