目次
いよいよ学生実習目前! どんな準備をしよう?
~国家試験対策 冬編~
【初めに】
CBT、OSCEの結果は如何だったでしょうか。
色々とあったと思いますが、この記事を読んでくださっている皆様におかれましては、何とか無事に試験の壁を乗り越えたのではないかと、そう信じております。
今回は実習が終わり、いよいよ迫る学生実習に向けて、一体どんな準備をするのが良いのか皆様にお伝えできればと思います。
何かの役に立てば幸いです。
【まずはこれらを買い揃えておこう】
実習に当たって最低限必要になる物品がいくつかあります。
それをいくつか紹介します。
白衣およびケーシー
それぞれ長袖、半袖4枚ずつで合計8枚はあった方が良いと思います。
理由としては、病院実習は意外とあちらこちら歩き回る関係で案外汗をかきます。なので、白衣やケーシーの類はこまめに洗濯をした方が良いです。
特にケーシーは汗がかなり染みますので、注意しておきましょう。
聴診器とペンライト
この二つは最低でも実習中は常に持ち歩きましょう。理由としては、この二つは自由診療の世界に進まない限り、医師になってから何科でもほぼ必ず使うからです。
具体的に何に使うかというと、死亡確認の際です。保険診療をやるなら、まず死亡確認をしたことがない医師というのは一人もいません。
なので、聴診器とペンライトは可能な限り買っておいた方がよいです。
なお、聴診器に関してはリットマンを持っておけばとりあえず外すことはないと思います。
いわゆる録音機能が付いたような特殊な聴診器を買った方が良いかというと、大体宝の持ち腐れになります。なので、普通のリットマンを買っておけばそれで大丈夫だと思います。
手技が見える
借りても良いですが、持っておくと何かと便利です。実習期間中に頻回に向き合うことになる一冊です。手技が見えるは、どの道研修医になっても使います。なので、一冊持っておくのが良いでしょう。
総合内科マニュアルなどの研修医向けの本
内科をローテーションする時は、とりあえずこういう研修医向けの本を一冊ポケットに忍ばせておくと、医師たちのマインドが分かります。
余裕があれば、こういう本を何となく読んでみるのも良いでしょう。因みに僕は当直御法度を読んでました。
何故こういう本を実習期間中に読めばよいかというと、こういう本を読むことで、症候学と鑑別学の感覚が身につくからです。
この症状から、これとこの病気は最低限考えて、この検査を優先的に行っていく、という効率的な発想が現場では求められます。その現場力を磨くのに、こういう本は凄く有効です。
メモ帳とペン
実習で一番の相棒です。スマホやタブレットはカンファでは百歩譲っていいですけど、患者さんの前で使うとクレームが入る事があります。なので、できる限り紙の方がいいです。
【実習に入る前にやっておくと良い勉強は?】
実習に入る前に何か予習的なものができるのであればやりたい。そう思われる方は、病態生理の勉強をしておくと良いかもしれません。
病態生理を理解できていると、実習で何故そのような事をやっているのかが何となく見えてきます。現場ではそこからプラスアルファで診療のプロトコルを理解していくということもやるようにするといいでしょう。
因みに、外科系のローテーションから始まる場合は、まずは解剖から勉強をするといいです。外科は一にも二にも、まずは解剖の理解です。
解剖が理解できていないと、どこを切っているのか、何をやっているのかがさっぱりです。なので、事前にネッター解剖学は見ましょう。
【ワクチンはお忘れなく】
皆さんは病棟実習の前に、必ずいくつかのワクチンを打っておく必要性があります。
代表的なのは、B型肝炎と麻疹・風疹です。抗体価があるかどうかまずは調べて、その後抗体価が低いものに関してワクチン接種をする必要性があるので、事前に病院に行って検査を受けてくるようにしておいてください。
少なくとも実習では血液暴露のリスクがあるので、B型肝炎は受けておいた方が良いです。案外忘れがちで、病棟実習の直前にバタバタとワクチンを受けに行く事になりがちなので、今のうちに行っておくのが良いでしょう。
【【病棟実習に対する心構え】
病棟実習ってどんな感じかを先輩に聞くと、「正直意味がなかった」とか「余裕でさぼれる」とか、無価値であるかのような事を言う人を稀に見かけます。
ですが、その点に関しては明確に否定しておきます。それはその人が無意味になるような実習の過ごし方をした人というだけであって、適切な姿勢で実習に挑めば病棟実習はこれから先の国試や初期研修でも大きな意味を持つものになります。
例えばですが、患者さんを身体診察する機会をもらえるのであれば、積極的に身体診察に参加してください。身体診察は医師にとって基本的な手技になります。もちろん指導医の許可を取る事は忘れてはなりませんが、基本的に身体診察をしに行きたいという学生の求めを指導医が拒否することはあまりないでしょう。
ですから、勉強する時も可能であれば病棟の待合室で勉強するのが良いのではないかと思います。
他にも、外科であれば積極的にガウンを着て、オペを間近で見るという姿勢は見せた方が良いです。外科に関しては、はっきり言って内科と異なり、書物では学べません。どのようにドレーンを管理し、何に注意をして、どのように縫合しているかは実際に見て触れて感じる他ないのです。
勿論、各大学で実習の事情は様々あるでしょうが、基本的な姿勢は全国同じだと思います。なので、積極的に気になる事は質問して積極的にトライできそうな事は指導医の許可を得てトライしてみてください。
【予備校のビデオ講義はどうする?】
また5年生になると、国試対策委員から予備校のビデオ講義の案内が来ると思います。これはどうしたらいいのか、という点に関しては、とりあえず申し込むで良いと思います。
理由としては、病態生理の講義をある程度やっておくと、実習中の理解が深まるからです。
ただ、外科ローテーションで手術を死ぬほどこなしてフラフラしながらビデオ講義を受けようとしても、結局居眠りしてしまうことになるので、勉強をするタイミングは考えねばなりません。
僕は実習期間中、どちらかというとビデオ講義はそこそこに、実習で経験している症例についてあれこれ調べて、深く考えるというふうにしていました。
場合によっては先生の授業も入る事があるかもしれません。そこは体力とも相談して、できる範囲内でやると良いでしょう。最悪、5年生で全ての講義を見ることができなくても、6年生に持ち越してやるという方法もありますので(僕はそうしました)。
【最後に】
学生実習に入る前に準備をしておくべきものについて解説させていただきました。
白衣や診察器具はやはり基本的に必要なので購入は必須ですが、本の類は図書館を活用されてもいいかもですし、場合によっては先輩などから借りても良いかもしれません。
勉強に関しては、まずは病態生理から。これを理解しておくだけでも、実習で一体何をやっているのかが分かるようになります。外科の前は解剖の勉強です。
皆様が無事に合格できますよう、心の底から応援しております!
著者プロフィール
ペンネーム:なつ
プロフィール:市中病院勤務の脳神経内科医。趣味は釣りと小説と東洋医学。臨床をこなしながら、CES医師国家試験予備校で講師として「アウトプットする授業」をモットーとして学生の指導に当たっている。
僕のコラムが何らかの形で皆様の力になれば幸いです。
一緒に頑張りましょう!